3月も今日で最後
明日から新年度のスタート
私も○十年前のこの季節に
田舎から出て来て一人暮らしを始めた
専門学校に通う為だ
想い出のアパートは古くて日当たりの悪い4畳半
東京に夢を求めてやって来た18歳の私
映画を見るのが大好きだったあの頃
暗い部屋は希望に満ちていた
田舎のお祖母ちゃんに東京の様子を伝えようと
手紙を書いた
近所に60階建てのビルが見える事や
都会の景色を色々と綴ったように思う
まるで太田裕美の「木綿のハンカチーフ」で
都会に旅立ったボーイフレンドが
田舎に残した彼女にメッセージを送ったように…
しかし現実には窓から陽の光が入って来ない
昼間でも電気を点ける海の底の様な部屋で
訪ねてくる友人もまだ居ない
そんな寂しさを紛らすように
3本立て500円の名画座をハシゴしていた
根っから映画が好きだったので
一日中スクリーンを見つめていたら
お腹が空くのも忘れていた
専門学校は映画やテレビの世界を目指す若者で溢れていた
私は放送芸術科を選んだ
友達はすぐに出来た
ジョン・レノンに心酔している男で
射殺された時はショックだったらしく
彼は何日も学校を休んだ
バイト先は希望通り映画館だった
ピンク専門だったけれど…
歌舞伎町にあったその映画館では
バイトにも「四葉会」と言うパスを貸してくれた
それがあればロードショーをタダで見る事が出来るのだ
学校の帰りに、ジョン命の彼とよく映画を見に行った
いつしか私はハッテン場に通うようになり
学校はサボりがち
たまに出ても午後からで
帰りは数寄屋橋のハンターで
ジョン命とレコードを漁っていた
そう言えば新宿の“しょんべん横丁”で
安い定食を食べた事もあった
ジョン命と「アラビアのロレンス」のリバイバルを見た帰りだった
その日、私はあの長い映画の間中
ぐっすりと眠っていたのだった
「オマエ、何のために来たんだよ」
ジョン命は呆れていたが
この頃から映画館で寝る習慣が付いた
ジョン命は今何してるのか知らないが
きっと良いお父さんになってるだろう
確か私が今住んでる町の出身だったが…
明日から新年度のスタート
私も○十年前のこの季節に
田舎から出て来て一人暮らしを始めた
専門学校に通う為だ
想い出のアパートは古くて日当たりの悪い4畳半
東京に夢を求めてやって来た18歳の私
映画を見るのが大好きだったあの頃
暗い部屋は希望に満ちていた
田舎のお祖母ちゃんに東京の様子を伝えようと
手紙を書いた
近所に60階建てのビルが見える事や
都会の景色を色々と綴ったように思う
まるで太田裕美の「木綿のハンカチーフ」で
都会に旅立ったボーイフレンドが
田舎に残した彼女にメッセージを送ったように…
しかし現実には窓から陽の光が入って来ない
昼間でも電気を点ける海の底の様な部屋で
訪ねてくる友人もまだ居ない
そんな寂しさを紛らすように
3本立て500円の名画座をハシゴしていた
根っから映画が好きだったので
一日中スクリーンを見つめていたら
お腹が空くのも忘れていた
専門学校は映画やテレビの世界を目指す若者で溢れていた
私は放送芸術科を選んだ
友達はすぐに出来た
ジョン・レノンに心酔している男で
射殺された時はショックだったらしく
彼は何日も学校を休んだ
バイト先は希望通り映画館だった
ピンク専門だったけれど…
歌舞伎町にあったその映画館では
バイトにも「四葉会」と言うパスを貸してくれた
それがあればロードショーをタダで見る事が出来るのだ
学校の帰りに、ジョン命の彼とよく映画を見に行った
いつしか私はハッテン場に通うようになり
学校はサボりがち
たまに出ても午後からで
帰りは数寄屋橋のハンターで
ジョン命とレコードを漁っていた
そう言えば新宿の“しょんべん横丁”で
安い定食を食べた事もあった
ジョン命と「アラビアのロレンス」のリバイバルを見た帰りだった
その日、私はあの長い映画の間中
ぐっすりと眠っていたのだった
「オマエ、何のために来たんだよ」
ジョン命は呆れていたが
この頃から映画館で寝る習慣が付いた
ジョン命は今何してるのか知らないが
きっと良いお父さんになってるだろう
確か私が今住んでる町の出身だったが…