おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

まさかの訃報

2012-09-30 21:10:40 | Weblog
夕方から風が強くなって来ている

台風17号は、この後未明にかけて関東を通過するらしい

昨年9月の台風のせいでベランダ側の窓には大きくヒビが入っている

今回の暴雨風でそれが割れたりしないかとても心配である

勢力が弱まって早く温帯低気圧に変わらないかしら

窓の向こうの強い風の音を聞きながら不安な夜を迎えている


昨夜、営業前にサキ子が顔を出した

最近とんとご無沙汰だった彼女だが

少し前に近所の店のマスターが亡くなった事を

電話で知らせてくれた

久しぶりに現れたサキ子は一頃に比べて随分と痩せた

「相変わらずダイエットしてるの?」

「そんなに痩せたかしら?」

昔はダルマの様な体系でジーンズのジッパーも壊れそうなイメージだった

それが食事制限で2~30キロは減量したと思われる

リバウンドもなくそのまま維持している所を見ると

案外意志が強いのかもしれない

「ところでさァ、知ってる?」

前置きもほどほどに彼女はスクープでも報せる様に口を開いた

「あの子、ほら喘息持ってるあの子よォ

 名前なんだっけ、中学生の娘が居るあの子…」

それだけでは私も誰の事か判らなかった

「そうそう、タエ子タエ子!!!」

「あ~、タエ子ね、そう言えば最近顔出さないわねェ」

「そりゃそうよ、死んじゃったんだもん」

私は絶句した


2~3ヶ月に一度のペースで遊びに来ていたタエ子

いつも中学生の娘の話をしていた

「ミサキが練習がきついっていつも泣いてるのよ~」

バレーボールの推薦入学で入った中学校は

コーチがとても熱血でミサキはいつも生傷が絶えない

それでも彼女は好きなスポーツのために頑張っているが

自宅に帰って母親に愚痴って泣いている

それを聞くのが辛いと言っていたタエ子

一卵性親子の様なこの2人は

お互いに依存し合っていて

「ミサキが居なかったら私は生きてる意味がない」とか言っていた

タエ子はバツイチのシングルマザー

現在は内縁の夫も居て3人で暮らしている


ある日当店で知り合ったカエと意気投合し

自宅に招んだり、他の飲み屋にも一緒に行ったりしている

金曜日にカエが遊びに来た時もタエ子の話をしたばかりだった

「ホントあの子はだらしないよね~

 最近は連絡もないし、こちらからもかけないわ」

女の友情は長続きしないと言う典型かと思っていた

そのカエが新しい女友達を連れて土曜日も遊びに来た

さっき開店前にサキ子から聞いた話をした途端

カエは一瞬信じられないと言った表情をしたが

すぐに大粒の涙を流し始めた

エッちゃんと言う女友達は、もらい泣きしながら

カエの肩を抱いている

「ウソでしょう、あんな殺しても死なない様な女が…」

タエ子は自宅で突然倒れてそのまま息を引き取ったらしい

心筋梗塞か何かだったのだろうか

娘のミサキはその場に居たのだろうか

それとも学校から帰って来て変わり果てた母の姿を見たのだろうか

どちらにしてもあまりにも残酷だ

母親に依存していた娘はきっと立ち直れないで居るだろう

そして彼女の今後についても心配である

「横浜の方にミサキのお爺ちゃんが居る」

タエ子の実父についても聞いた事がある

祖父の下に引き取られるのだろうか


さっきからカエは泣きっぱなしだ

「ホントあいつ、アル中で安定剤とかも飲んでて

 どうしようもない子だったけど

 死んじゃったらおしまいだよね…」

その時、偶然にも有線から工藤静香の歌声が流れて来た

タエ子がよくカラオケで歌っていた曲だ

あまりにも突然に人生を終えてしまったタエ子

さぞかし娘のことを案じて彷徨っているのではないだろうか















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ハヤトの告白2

2012-09-29 07:50:57 | Weblog
前回の続き…

池袋のお店で働いていた時のお客さんでハヤトと言うオナベが居た

彼は居酒屋でバイトしていて店長だけが元オンナである事を知っていた

胸は脂肪を抜き平らになっていてタイで子宮も摘出したそうだ

日サロでこれでもかと焼いた肌は不自然なくらい黒く

声もかなり低くなっていて

小柄だが一見すると渋谷あたりに居そうなチャラ男だ

ハヤトは自分のセクシャリティを母と姉にはカムアウト済みだ

「小さい頃から何となく気付いてたから」と特に驚かれる事もなかったらしい

問題は父親だ

ある日ハヤトは勇気を出して父親に恐る恐る切り出した

女に産んで貰ったけど、心は男であり、恋愛の対象は女である事を打ち明けた

仕事一筋で中々面と向かって話し合う事もなかった父はしばらくの沈黙のあと

ハヤトをじっと見据えて静かにこう言ったのだ

「すまない、お前の悩みに気付いてやれなくて…」

ハヤトは思いがけない父の優しい言葉に涙が止まらなかった

「アンタ、本当に素晴らしいお父さんで羨ましいわ

私達の時代は裏の納屋に監禁されるか勘当のどちらかよ」

齢70近い大御所、ミドリ姐さんがハンカチで目頭を押さえながらハヤトに諭す

「そんな立派な親御さんを泣かす様な事しちゃ駄目よ、しっかり親孝行するのよ」

薩摩生まれのミドリさんは故郷に歳老いた母を残したままだ

墓参りに帰る事さえままならず望郷の念にかられ

酔うとカラオケで地元の民謡を声を詰まらせながら唄う

♪花は霧島~煙草は国分~

今夜もミドリ姐さんの涙唄がガラガラの店内にこだまするのだった
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ハヤトの告白

2012-09-27 19:41:56 | Weblog
オナベのハヤト

まだ20歳で居酒屋でバイトしている

小さい頃からスカートを穿く事に違和感を覚え

自分は他の女の子とは違うのかなと思っていた

中学の時にクラスの男子から好意を寄せられ付き合う事になった

そうすれば普通の女の子の様になれると考えたからだ

しかし結果的にそれがとても苦痛な事だと解ったのだ

その後は姉や母の薦めで女子高、女子大で青春を過ごす

先輩に恋をしてやはり自分は女性を愛する事の方が自然なのだと自覚する


母と姉にはカミングアウトをした

両者ともハヤトのセクシャリティに関しては薄々気付いてたと理解を示したが

問題は父親である

果たしてどんな反応を示すだろうか

怒りか嘆きかそれとも失望か

意を決して己の心の内を明かしたハヤト

父は黙って聞いていた

目の前に居る今は娘ではない子供の告白はさぞかしショックだったに違いない

沈黙のあと父は口を開いた

それは予想だにしなかった言葉であった

以下つづく
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姉妹の店

2012-09-26 20:14:55 | Weblog
昨夜御来店いただいた近隣のスナックKのママとチーママ

姉妹でお店を始めて4年目だと言う

お歳は60代半ばくらいと思われるが、とても若々しい

チーママで妹のケイコさんは今の店を手伝う前に

少し離れた住宅街で御自分の店をやっていたが

手を怪我してやむなく店仕舞いしてしまった

活発なイメージのお姉さんに比べ、穏やかで上品な妹さんは

お姉さんが飲みに通ってたお店の閉店に伴い、後を引き受ける形になったので

怪我の様子を見ながらお手伝いする事となった様だ


私がこの姉妹と出会ったのはかなり前で

ある演歌歌手のディナーショーで同じテーブルだった事で意気投合したのだった

その時はお姉さんのフサコさんだけだったが

それ以来、妹さんも連れて時おり当店に遊びに来られる様になった


年配のお客様でシンボさんと言う方が居て

彼は妹のケイコさんの店によく入り浸っていて

そのルートでも姉妹には良くしていただいている

Kと言う店にもシンボさんに連れて行っていただいたが

近所に住む常連さんで賑やかだった

昨夜は定休日との事で日頃ご愛顧いただいている方々を訪ねていたついでの御来店だった

話は景気の悪さを嘆きつつ何とか店を継続している事や

彼女たちが応援している演歌歌手の近況

それに近所のお店の噂などで盛り上がった

それにしてもタイプの違う姉妹だが本当に仲が良く人柄最高なのだ

そしてとてもお客様に対して感謝の気持ちを忘れずいつも腰が低いのである

カラオケ屋が当店と同じなので担当者から聞いたのだが

出始めでまだ高価だったLED電球を何故かそのカラオケ屋が販売していて

姉妹は担当者が若くて頼りなさそうなタイプだったからと何個か買ってくれたらしい

「ホントにあのママさんたちは優しくて助かりました」と

当時の担当者だった彼は感謝していた

約2時間お喋りして姉妹は帰って行った

この後も他のお得意様回りだろうか

私も彼女たちを見て初心忘れるべからずと肝に銘じたのだった
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胃もたれ

2012-09-25 05:14:04 | Weblog
昨夜はジャーマンポテトを作って食べた

じゃがいもと玉葱を加えて炒めるだけの惣菜の素をかなり前に買ってあった

じゃがいもも早く使わないと芽が出そうだし

玉葱も買って一週間くらい常温で放置してたので慌てて皮を剥く

やだわ、玉葱が若干傷んでるじゃないの

でもそこだけカットすれば使えそう

レンジで5分くらい温めたじゃがいもを先に炒めていた玉葱に混ぜる

1分くらい混ぜ炒めた所で惣菜の素を加える

あっと言うまに出来上がりだ

丼に山盛り

一人分にしては多過ぎる

昔なら平気だったが50を過ぎると後が怖い

ところがテレビを見ながらつまんでいたら完食してしまったのだ

全く食い意地の張ったオカマは嫌ね~と我ながら呆れる

テレビを見終えブログを更新して床についた

また昨日みたいな嫌な夢を見ません様にと祈りながら目を閉じた


朝になり洗濯でもしようと起きかけたら胃の辺りがどうもスッキリとしない

あら、胃もたれかしら

胃薬を飲んで少し横になるも定期的にやって来る軽い嘔吐感

やはり食べ過ぎなんだわ

お腹の辺りもやけに膨らんでいる

あ~気持ち悪い

何度かトイレに走るが出るのはオナラだけ

やだ~今夜出勤できるかしら~

取り敢えず洗濯機を回しながら時折襲って来る吐き気と戦っていた

もしかして玉葱がいけなかったかしら

テレビをボ~ッと眺めながら、お昼は食べなくても良いわと思う

てか、この状態で昼の心配はする必要がないだろう

何度かトイレと居間を往復している内に吐き気が治まった

薬が効いてきたらしい

それと共に張っていたお腹も少し楽になった

洗濯物を干しながら、そう言えば冷蔵庫の鷄のモモ肉、そろそろ期限だと思い出す

簡単なのは唐揚げね

唐揚げ粉に生姜とニンニクを足して下味を付ける

さっきまで胃もたれで苦しんでいた事も忘れて

一人分にしては多過ぎる鶏肉をひたすら揚げる私なのだった
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