おかまのよろめき

現役おかまのお店日記&趣味のはなし

ミッちゃんに呼ばれて

2009-06-10 08:54:08 | Weblog
朝からどんよりとした空だ

半袖の腕に湿気を帯びた空気がベタッと張り付いて不快だ

今夜あたり、ひと雨来そうな予感がする


昨夜はミッちゃんから久々電話があった

早い時間に熟年カップルが来ただけで

店は閑古鳥が鳴きまくっていた

「あら~ミッちゃん久しぶり~」

「私の愛するベイビー、今から吉祥寺まで迎えに来て」

以前から是非に会わせたいママが居ると言っていた

その内のひとり、スナックPのママ

前回は電話でお話したのだが

こちらから伺う事は出来なかった

今夜は店も暇だしお邪魔する事にしよう

「スグ行くから待っててね」

タクシーに飛び乗り店へと向かった


その通りは何軒ものキャバクラやスナックがひしめき合う

競争の激しいところだった

午前一時近いこともあって人通りはまばらで

キャッチのお兄さん達が暇そうに佇んでいた

スナックP、此処だ

入り口の扉が並びの店に比べて立派なので

入るとき若干の緊張が走った

扉を開けるとそこは普通のスナックだった

ミッちゃんは入り口に近いテーブルで

彼女の横には恰幅の良い着流しの男性が寄り添っていた


「あらミッちゃん、おデートのお邪魔かしら?

 素敵な殿方じゃない…」

その途端、着流しの彼が席を立って

私をそこに座るように勧めてくれた

せっかく良いムードなので

私はミッちゃんの向かいに腰掛けると言うと

「いいのよ、ミッちゃん待ってたんだから」

とオネエ言葉で私に席を譲ったのだ

“あら、ここのマスターなのかしら?”

着流しでオネエ言葉とはきっと大御所なのだろう

年齢も60歳前後のようだ

私達の他には隣のテーブルに中年カップルが一組だけだ

耳をダンボにして突然現れたデカいオカマと

着流しのオネエの会話を聞いている


ママさんはカウンターの奥で私が注文した焼きそばを作っている

時おり合いの手を入れたりして

我々の会話に参加している

ミッちゃんが着流しに「いつものやって!」と頼むと

彼はギターを手にして「無法松の一生」を歌い始めた

どうやら流しのようだ

力強く熟練したボーカルは私の耳を釘付けにする

迫力のある歌声にミッちゃんも大満足のようだ


ところでこのPと言うお店

カウンター後ろのキャビネットには高そうなお酒が並んでいる

こんな不景気にボトルを開ける人が居るのだろうか

「一応、置いてるだけで中々入れてくれるお客さんが居ないわね

 ほとんどのお客さんはこっちの焼酎よ」

ママが指差す先には“はげあたま”と言う芋焼酎のボトルが

ズラーッと並んでいた

このお店のお客様の年齢層に合わせたのだろうか


楽しい時間はあっと言う間である

時計を見ると1時40分

そろそろ店に戻らないといけない

ミッちゃんと着流しの彼の3人でタクシーに乗った

店に戻るとまたしっちゃかめっちゃかだったのである

続きは明日…
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