雪の朝ぼくは突然歌いたくなった

2005年1月26日。雪の朝、突然歌いたくなった。「題詠マラソン」に参加。3月6日に完走。六十路の未知の旅が始まった…。

欅にも実の生ることをヒヨドリの

2008-12-05 18:38:03 | 日々写す



               欅にも実の生ることをヒヨドリの教へくれけり冬の朝に


        

                                  自宅マンションの窓辺にて


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日々歌ふ0811(70首)

2008-12-05 18:14:55 | 日々歌ふ2008

081103
 わが魂を茜に染めて秋の陽の秩父の嶺に昇らむとす
 うす雲をつかの間染めて昇りくる朝陽を待てり山の牧場で
 濃く淡く山並み見ゆる秩父にぞ朝の雲もいとしかりける
 朝霧にひとつの街の沈みゐる暮らしのありぬ武甲とともに
 心にも朝陽を待ちて白霧のながるる襞のあまたあるらむ
 (襞=ひだ)
 なにゆゑにわれら惹かるる秋の陽にまぶしく光る赤き葉群に
081104
 風立てば葉群色づく白樺ゆ高原の陽の黄金ふるふる
081105
 秩父野にダリアの赤く咲き乱る少女ら群れてさざめくごとに
 秩父路に柿の巨木は秋描き空の青かり雲の白かり
081106
 浅黒き肌持つ人をリーダーに選びしときのアメリカに来ぬ
 米国のトップに立つ日リンカーンの言葉引く人その言うやよし
 オバマ言ふ武力や富にアメリカの真の強さをわれら求めずと
 ルールなきグローバリズムと投機をば果たして<change>オバマのなすや
 アフガンに増派をなすと言ふ人の知るや知らずや躓きの石を
081107
 緒方拳、筑紫哲也とつづく死にわが年齢思ふ六十路半ばの
 (年齢=とし)
081108 
 飲桐の赤房高く浮かびゐる木の間にあをき秋の空かも
 (飲桐=イヒギリ)
 不忍の池畔に月の高くして晩秋告ぐる冬鳥の影
081109
 ブラウンの管を通じて馴染みたる人と出会ひてしばし戸惑ふ
 無名なるしあはせ思ふ人びとの視線気にせず暮らし営み
 教へ子のあまたにあれば<先生!>と思はぬ場所でふいに呼ばるる
 ロンドンで釜山でふいに<先生!>と呼ばれし際のわが顔想ふ
 (際=きは)
081111
 ―<「舘野泉ピアノリサイタル2008~彼のための音楽を彼が弾くVol,2~」(11/10:紀尾井ホール)を聴きて>
 自らに捧げられしの曲のみを一夜弾きける舘野泉は
 楽の音は舘野泉の左手ゆ酌めど尽きせず湧き出でにけり
 古希過ぎて舘野泉のめざしゆく左手でこそ弾きうる世界を
 アンコール終はりし後に沸き起こるハッピイバースデイの歌声
081112
 陽射しなき日々をうとめば眼裏に櫨のまぶしき紅葉浮かびぬ
 (櫨=はぜ)
081113 
 青空に飢えてゐたれば朝の陽に吾も色づく欅のごとに
081114
 空おほひ黄葉あふるるユリノキの大樹を仰ぐ秋のしあはせ
 (黄葉=もみぢ)
 どどどんと満月浮かぶ大きさに意表つかれて憂きこと忘る
081115
 はるかなるメヒコの空を仰ぐごと木立ダリアの高く咲きける
 名にし負ふ歌に詠まれしサネカヅラ人こそ知らねその実赤きを
081116
 ―<現役航空幕僚長の侵略美化の言動を知って>
 人にあれ国にしあれど何を恥じなにを誇るか真価問はるる
 外つ国で殺戮なしたる歴史をも誇る輩が<空軍>にぎりき
 田母神の一人にあらず上層に巣食ひてをらむ国家フェチらの
 田母神とワイン飲みつつ鳩山も核を肯ふ議論なせりと
 (鳩山=鳩山由紀夫)
 麻生とて小沢にしても胸底で拒みてをらむ<村山談話>を
 琳派あり刺身文化のある国をわれ愛すれど<侵略>を恥ず
                  *
 ミゾユウのフシュウ漂ふボンボンに代はる男もオザワザワザワ
                  *
 蒼空に色づき初めし銀杏樹の巨木映えゐぬ人生の秋に
 (人生=ひとよ)
081117
 春に見し薄くれなゐの花思ふ空に光りて花梨実れば
                 *
 カルパッチョ、アクアパッツァにソイ二尾を仕立てて食めば夕餉はなやぐ
 つややかな歯ごたへありぬソイといふ北海道に獲れし魚は
081118
 若さゆゑ見れど見えざるものありき櫨の紅葉の空に映ゆるも
081119
 青き葉の朽ちゆくさまをわれら愛で紅葉もみぢといふにあらずや
081120
 一輪の山茶花のみに当たる陽に惑ふこころのわが裡にあり
 秋の陽の池面に映すベンガラと白の校舎に往時を偲ぶ
081122
 散り際のいのち燃やして青空を櫨の葉群の朱に染めゆく
 杜陰の昏き池面に鮮やかな秋色照りて時のゆらめく
081123
 鮮やかに青空覆ふ黄葉の榎と知れば胸の高まる
 抜けゆける空の青さに隣国ゆ渡りし櫨の紅葉目に染む
081124
 もみぢ葉にまざるちひさき実を知りて見れど見えざるものらを想ふ
 無機質の造形にさへ時として見れど見えざる美のひそみゐりける
 春先の花とばかりに思ひゐしホトケノザ見ゆ冬のまぢかに
 アメリカゆ渡りし花のひめやかに咲くもかなしき雑花なれど
 (雑花=あらばな)
 赤き花ゆれゐる先に年古りし墓碑にまどろむ菩薩おはしぬ
081125
 無花果の熟すを待ちて木を仰ぐ日々のありたり戦世の後
081127
 あと一年あと半年と定年を指折り待ちて四月となりぬ
 (四月=よつき)
 十年の四度めぐりていつしかにわれ老ひたれど生徒ら若く
 本当に来年やめてしまふかとわれに問ひ来る子らぞ愛しき
 暴力と怒号をせめて職場から一掃せむとわれたたかひき
 よろこびは子らの伸びゆくその様を日々年々に寄りそひ見しか
 かなしみは伸びゆくちから見失ひこころ閉ざせし子らの増えしか
 乏しかるわが能力で為しうるを為して終らむ教師の業を
                 *
 公園の銀杏、欅の落ち葉ふみ走る六十路に雨のそぼ降る
081128
 降らば降れ冷たき雨よ欅樹の葉群を濡らし彩深め
 (葉群=はむら、彩=いろどり)
081130
 ―<Re-trickのライブを再び聴きて:11月29日(土)【お茶の水NARU】>
 底知れぬ音の世界をひた走る若きトリオに一夜酔ひ痴る
 (一夜=ひとよ)
 軽々と超絶技巧をこなしつつ若きトリオは音楽奏づ
 パワフルな音とリズムとかけあひに若きトリオの音楽あふる
 音楽を楽しみつつも限界に挑むトリオのひたむきさよし
 緩急も間合ひも自在に弾きこなす若きトリオの行く末想ふ


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081205 日々歌ふ

2008-12-05 17:43:21 | 日々歌ふ


―<三十六歳で逝きし父の五十八回目の命日に>

父よりも二十八歳年上になりて迎へる父の命日

寒き日の寒き朝に父逝けばわれら泣きたり炬燵に入りて

何悔やみなにをば願ひ父逝きし戦終はりてわづか五年で

亡き父がわが子の世代といつしかになりつる時をわれら生きたり

亡き父の祖父母の世代となるほどにせめて生きむかわれらしぶとく

                *

欅にも実の生ることをヒヨドリの教へくれけり冬の朝に


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