壁際椿事の「あるくみるきく」

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『なぜカイシャのお偉方は司馬遼太郎が大好きなのか?』を読んだ

2010年07月29日 | 読書(ノンフィクション、実用)
『なぜカイシャのお偉方は司馬遼太郎が大好きなのか?』(春日直樹著、小学館)を読みました。非常に斬新な切り口の会社論でした。以下、引用(一部改変)。

下級藩士(ヒラ社員)は、君主(社長)や家老(重役)などの時代遅れな経営者に直談判し、藩営で新規事業プロジェクト(社内ベンチャー)を起こしたり、旧守波追放クーデター(コーポレートガバナンス改革)を企てる。それでもダメなら(藩が動かなければ)、脱藩(退社)して草莽の志士(起業家)となって、薩長同盟や統幕(M&A)を仕掛ける(後略)。

つまり、泰平の江戸時代に戦闘色があせたとはいえ、元々戦う集団であった武士団(藩)こそが、会社組織のルーツだというのです。

このほかにも、斬新な切り口が盛りだくさん。
1)リクルートカット(髪型)は、子どもから大人へのイニシエーション(通過儀礼)だ。
2)新卒一括採用は、年齢階梯であり、仲間(カンパニー)意識を高めるための装置だ。

また、同書の前書きには、こんな式もありました。

会社=純粋金儲け+その他

上式の「その他」というのは、CSR(企業の社会的責任)とか福利厚生とかの要素で、つまり純粋金儲け以外の部分全て。また、この式を発展させ、次のような式もありました。

会社=(教団+結社+軍隊+学校……)×金儲け

著者は、大阪大学の文化人類学の先生。切り口が斬新なのも納得です。

謎多いカイシャですが、その正体が見えてしまうと(以下引用)たとえばカイシャが成果主義の大キャンペーンを繰り広げても、ちっともビビりまくる必要などなくなる。じっくり身構えることが可能になるのだ。(以上引用)

営業成績などで、明に暗にパワハラを受けている人は、ぜひ。真面目の働くのがバカらし、もとい、面白くなること請け合いです。