壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

富士そばの箸立

2010年07月27日 | 見聞きしたこと
首都圏で立ち食いそばチェーンを展開する、富士そば。箸立には、いつも割り箸がびっしりで、溢れんばかりです。なぜか。その理由を店員に聞いたこともあるのですが、知らないようで、要領を得た返事が返ってきません。ずっと気になっていたんです。

ひょんなキッカケで、理由が分かりました。

明治末期まで、駄そば屋では、杉の丸箸を、箸立に差し、客は勝手に掴み出して、用いていた。使用済みの箸は、水洗いし熱湯消毒し、再利用。古ぼけると表面を磨き、使い続けていた。箸立には、滝登りをする鯉が描かれた瀬戸物が使われていた。そんな、大衆的なそば屋の繁盛風景を詠んだ、こんな川柳があります。

はやる蕎麦屋は干す箸も盛りがよし

以上は、『蕎麦辞典』(植原路郎著、中村綾子編、東京堂出版)の知識です。(ちなみに事典でなく辞典が正しいです)。出典より引用のため「駄そば屋」としましたが、現在の感覚では「大衆的なそば屋」というニュアンスでしょう。

なぜ、富士そばの箸立が、いつもぎっしりか? 「盛りがいい」→顧客に満足して欲しい→商売繁盛祈願。こんな験担ぎの意味があったんですね。さすが丹社長。