ソプラノ歌手 中川美和のブログ

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ドン・バジリオが好き

2019-10-17 22:48:51 | 歌のこと

明日は、「フィガロの結婚」についてのオペラ講座で講師をさせて頂くので、原作のボーマルシェの「フィガロの結婚」の台本を読み返してるんですが。

やっぱり私は、ドン・バジリオが好きだな~。

以下、「フィガロの結婚」のドン・バジリオに興味がない方には面白くないかも知れません。
でもいいの、私一人で語るから……笑


私が「フィガロの結婚」の原作の戯曲で、特に好きな部分は、写真のこの箇所です。
オペラだと1幕終わりの後。
オペラでは1幕はフィガロのアリアで終わっていますが、原作の戯曲では、その後にまだ会話が続いてるというわけ。






あともう1箇所。
フィガロが、マルチェリーナとバルトロの子供とわかった後。
やはりオペラにはない場面で、そこにバジリオがやってくるんですがね。
二人が口喧嘩をする所。
こんな所、音楽がついたら本当に面白いだろうに……




残念ながら、モーツァルトに作曲してもらえなかったこの二箇所、フィガロとバジリオの口喧嘩の場面は、二重唱、いや伯爵も加わって三重唱とかになったら、超面白いのではないでしょうか!

あぁわくわくする……

そして水がめのくだりは、レチタティーヴォで作って頂きたい。
ここ、すっごい好き……

私がバジリオなら、「腹が膨れる~」の所は、敢えてフィガロに背を向けて言いたいかな。
そして言ってから、フィガロの方を見てニヤッとしたい。

それにしても、この戯曲のバジリオの台詞の数々から、あのバジリオのアリアの歌詞を生み出したダポンテは、やはり天才としか思えないですよ。
ロバの皮っていうね。

戯曲のバジール(バジリオのフランス語読み)も面白いキャラクターだけど、オペラになったバジリオは更に面白くて。

バジリオのアリアの内容を鑑みるに、オペラの台本を書いたダ・ポンテの何かが投影されてるように私には見えるのです。

だって、原作者ボーマルシェは何も書いていない所に、ダポンテが figlio caro と、わざわざバジリオの過去の話を作ってアリアに付け加えている、って面白すぎませんか。

ボーマルシェの戯曲では、バジリオはマルチェリーナに惚れてるけど、このアリアで歌ってる女性は、明らかにマルチェリーナではない誰か…

じゃあこの女性は誰?

女性が大好きで、溢れる才気で敵を作りまくったダ・ポンテの過去や想いが、投影されてる気がしてならんのですよ。

だからこそ、重唱で cosi fan tutte という、後のタイトルになるような、気に入った言葉もバジリオに言わせたのじゃないかなあ。

……と、

明日のオペラ講義では、ここまで偏ったマニアックな話はせずに、もう少しバランスのとれたお話をしようと思っています。笑



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