ソプラノ歌手 中川美和のブログ

ソプラノ歌手 中川美和のブログ

ルチア、終了しました~その1

2014-09-23 23:19:08 | コンサートのご案内&ご報告

Le voci公演 『ランメルモールのルチア』、無事に終了しましたー!
ご来場下さったお客さま、ありがとうございました!!
さすがに全精力を使い果たすほどやり尽くしたので、翌日はずっと死んでおりました(笑)

まさに本番の舞台裏での写真付きで、ご報告させて頂きまーす


まず、一幕目のルチアの衣装から…

これは結婚式の時まで着ていた、ルチアのおうちドレス。
このドレス、とっても素敵でお気に入りでしたー!


こちらは結婚式の場面に登場する時の花嫁衣装。
衣装の森さんにつきっきりで手伝って頂き、素敵にして頂きました(´∀`)


後ろにいらっしゃる森さん(笑)、本当にお世話になりました~!!

さて、実はこの花嫁衣装の場面は、休憩なしのまま、一枚目の写真のアンティークドレスから花嫁衣装に早着替えで突っ込んでいくので、時間との戦い!!

でも結婚式の花嫁だからできる限り綺麗にはしたい!
そこで高速ヘアメイクの濱野さんの腕が鳴る!!
めちゃくちゃ時間なかったはずなのに、あっちゅー間にロングヘアから髪をアップにし、すてきな髪飾りもつけて下さいました・・・
しかも、ルチアはこの頭で、散々転んだり崩れ落ちたりして頭を振りまわすのですが、髪型が全く崩れる気配すらなし!
しかもとっても綺麗なの・・・プロってすごい・・・


結婚式の髪型
あーっ、後ろのペットボトルやゼリー飲料のクズ等のガラクタはお気になさらず…

で。
もちろん、共演したキャスト仲間とも写真を撮りましたー。でも私、かなり出ずっぱりだったので一緒に撮れなかった方もいて・・・
マエストロ安藤さんと、ライモンド吉川さんとは撮れなかった~(T_T)
全体写真で我慢・・・

さて、気を取り直して。
それぞれの役に対するルチアの私の思いも。


エンリーコ役の岡元敦司さんと。
これは、狂乱の場のすぐ後に撮った写真なので、顔から首から手まで血まみれですー
カーテンコールの時には、メイクさんが顔をきれいに拭いて下さいました。
岡元さんとは、三月に『利口な女狐の物語』でもご一緒したので、森番と女狐に見えるかもしれませんが、違います(笑)

いわば悪役としてとらえられがちなルチアの兄エンリーコですが、決して単純な悪役ではなく。領主としての責任、兄としての愛情も持った、何とも人間らしい役だと思っています。
エンリーコはとても怖いし、威厳のある役なため、ルチアは追い詰められていくのですが。
ルチアが狂ってしまったあとは領主としてではなく、普通の兄としての愛情と、妹を狂わせてしまったという罪悪感だけの存在となるのがあまりに悲しい。

狂乱の場面の時に「ルチア、ルチア・・・!」と言いながら、狂ってしまった妹の私を抱きしめる岡元さんの演技に、何度泣きそうになったことか。
ルチアがもし正気だったら、その言葉だけで全てを許せてしまうくらいの兄の愛情を感じました。



ルチアの恋人エドガルド!松尾順二さんですー。

思うんだけど、ルチアとエドガルド、愛情は比べられるものではないとはいえ。
エドガルドはルチアが思ってる以上に、下手したらルチアが彼を愛する以上に、彼女の事を愛していたと思う。
色々やってくうちにそう思えてならない。
ルチアの一族にあれほどの復讐心や怒りがあっても、それでもルチアを愛する事を選んだ彼の愛情というのはすごいものがあると思う。
何だかんだルチアは女だから、本当の意味での血の抗争をわかっていたわけではないのだから。

ただ、その代わりルチアは知らない強みというか・・・暴力ではない方法で、エンリーコの一族とエドガルドの一族の対立している負の連鎖を、愛情という形で終わらせられる人だったんだなあ、と。
お稽古中から演出の奥村啓吾さんからそう言われていたのですが、終演してから改めて痛感!

そう、最初のエドガルドとの重唱のところ、奥村さんから言われたんですが。
エドガルドが怒りのあまり思わず一瞬暴力的になった瞬間も、ルチアはショックを受けつつもそれを受け入れてあげて、と言われて。
上手く言えないのですが、その時ルチアという人の愛情が何だかわかった気がしました。

その後、エドガルドに向かってルチアが一人で歌いかける部分は、強く言うのではなく、深い哀しみを持ちながら、ただただ、切々と語りかける・・・これがルチアの愛情なのかなーって。
そんな事を感じながら、エドガルドと重唱してました。

・・・ところで今気付いたんだけど。
このエドガルドとの写真、ずっと後ろの方でエンリーコ役のカバーキャストの伊東くんがVサインしてくれてやがるわ・・・
彼はお稽古を録画してる私のビデオカメラにも、よく突然ポージングして映りこんで登場してきてたんだけどね・・・
最後までやりよったな (笑)



こちらは政略結婚の相手、アルトゥーロ。岡嶋晃彦さん
アルトゥーロはルチアにとっては嫌われ役というかー、殺される役なんですけれども。
楽屋裏では普通に仲良くしておりました。当たり前だ、殺しはしない(笑)

でもせっかくなので、殺してる場面を再現しよう~(゜∀゜)ノ
てなことで、やってみました。短剣で刺してるところ。
この殺人再現場面、私のFacebookでは連作ものになっております。良かったら見てねー(笑)



こちらはエンリーコの腹心、親衛隊長のノルマンノ。
新後閑大介さん。

彼は唯一ルチアと会話も交わさない役でしてね。なかなかからむ事はなかったなぁ~。
でも男声合唱に大人気でございました(笑)兄貴分!



侍女のアリーサ。石橋佳子さん。
アリーサは唯一、最後までルチアの味方だった人。
彼女はいざとなったら、エンリーコを裏切っても味方でいてくれた人なんじゃないかなあ。ライモンドにも追いつめられた後、ルチアにとっては彼女の存在がどれだけ救いになったか・・・


そして、家庭教師のライモンド役、吉川賢太郎さんとの写真がなくて本当に残念。

ライモンドとの場面は通常だとよくカットされるのですが、今回は楽譜通り上演しました。その結果、ここはできるだけカットしない方がいいな、と心の底から痛感しました。

なぜなら…
ライモンドはいつも優しく、時には厳しく、ルチアにとっては父親のような存在。(ライモンド自身も、「私の娘」、とルチアに言っている)
そんな存在だったはずの人なのに、家のために犠牲になってくれ、その身をささげてくれ・・・とルチアに言う事の圧力。
ルチアにとっての不幸を『なんという喜び』と言われてしまう衝撃。
間違いなく、彼女が狂ってしまう大きな要因になる人です。ルチアはエンリーコの圧力によってだけ狂乱に進んだのではない。

ライモンドという本来自分の味方であった人が、自分を追い詰めていく恐怖が彼女を狂乱に進めました。
だからルチアは何を信じていいのかわからない。
それ故に彼女はライモンドに、「私をどうか導いて」と言ったのだと思います。

本当にこのライモンドという役は、ルチアにとってものすごく大事な存在でした。また、ライモンド役の吉川さんがすごく声に存在感がある方なので、説得力があって。
彼がいる事によって、私はとても狂いやすかったです。ライモンドのあのアリアがあって本当に良かった。ありがとうございました!

長くなったので、次回に続きまーす。



コメント欄開きました♪一言下さるとうれしいです
ブログランキングに参加してます。ポチっと!クリックして下さいね~。 






最新の画像もっと見る

コメントを投稿