ソプラノ歌手 中川美和のブログ

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走水、もうすぐです。

2014-01-08 22:16:07 | 歌のこと
来週にせまったコンサートの本番、「21世紀音楽の会 第11回作品展」のお知らせです。
1月16日の木曜日。19時開演(18時半開場)
東京文化会館小ホールです。一般3000円・学生2000円。

詳細は→ ♪ こちらをクリック ♪

現代日本で今活躍中の作曲家の若手からベテランまで、全て新作初演による作品展です。私が歌わせて頂く『走水』(はしりみず)はプログラム一番最後の予定。

国枝春恵先生の新曲、とにかく素晴らしい曲で、才能がほとばしって止まらない、みたいな曲です。
天才ってこういう方のことを言うんだなーとしみじみ。

今までもプログで何回か書きましたが、題材は 『古事記』をもとにしており、水野修考作曲のオペラ『天守物語』の台本を書かれた金窪周作先生が、ベテラン国枝先生と組まれて書かれたすさまじい作品です。奇跡の名作です。
『古事記』の語り部である稗田阿礼(ひえだのあれ)が、倭建命(やまとたけるのみこと)の后、弟橘媛(おとたちばなひめ)の入水の場面を語るという作品です。

チェロとフルート、ソプラノというたった3人で構成されている15分ほどの曲で、聴いた感じは、ほとんど完全に雅楽。しかし、それでいながらプーランクの『声』のような、歌手が1人で演じる完全なオペラ作品となっています。
たった15分、そして3人という人数でこれほどのものが表現できるのか、と何度衝撃を受けたことか。
大きなオーケストラ、大人数の合唱やキャストのグランドオペラの名作は沢山ありますが、たった3人、そしてこれほどの短かさでこの内容をどうして表現できるのか。凝縮し、無駄をそぎ落とし、シンプルなものだけを最後に残す。俳句の世界にも通じる、日本人ならではのものを感じます。

また、台詞回し、台本部分も素晴らしいのです。
本当に大事な台詞や文章だけが残されていて、作曲家は、たとえばポルタメント一つで余計なものは使わず、切り替えを表現していく。すごすぎるのです。
オーケストラパートであるチェロとフルートは、たった2つの楽器だけで、荒海の迫力と神秘的な静寂、穏やかな愛情、凪いだ海の空気までを表現しつくしています。

私が歌わせて頂くのは『古事記』の語り部である稗田阿礼。今回、阿礼は巫女という設定です。女性ですね。
私なりに解釈をし、阿礼をイタコのような存在としてとらえました。
阿礼は阿礼という存在でもありながら、人間としての弟橘媛でもあり、しかし、語り手そのものである。
そして最後は御霊となった弟橘媛ともなります。

今回、私はすべてをかなぐり捨ててぶつかっています。
新しく作曲されたばかりの楽譜を頂いてから一か月、作品のすごさと、それに対する自分の力のなさに、泣きながら練習してました。
でもどうしてもこの作品が好きで好きで、あまりの素晴らしさに、どうしてもこの作品の初演にかかわらせて頂きたくて、絶対に降りたくなくて。
今は巫女として、稗田阿礼となりきる事によって、皆様にこの『走水』の世界を感じて頂きたいと思っています。
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉通りの心境です。

そして、あの激むずかしいオケパートを弾きこなして、ずっと私の練習をサポートしてくれたピアニストの伊藤友香ちゃんにも感謝~。
て、まだ終わってないけどね(笑)

うむ、ついつい夢中になって、アツ苦しくなってしまいました(笑)
でもでも、そのくらい素晴らしい作品なんです。そんなわけで、お時間のある方、どうぞ聴きにいらして下さいね
チケットは、私に直接ご連絡いただければご用意できます。

【チケットのお申込み・お問い合わせ】
お電話か、メールにて、
「お名前・ご住所・お電話」「 希望枚数 」 を、

「アンダンテ企画」まで
(電 話)080-2553-5670(平日10時~17時)
(メール)ticket@nakagawa-miwa.com


ちなみに、桐朋生なら皆様ご存じ、安良岡先生も別の作品の指揮をなさいます。
別に理由は全くないのですが、当日お会いするのが何となくちょっと怖いのは、桐朋生ならでは(笑)


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