一顆明珠~住職の記録~

尽十方世界一顆明珠。日々これ修行です。いち住職の気ままなブログ。ときどき真面目です。

電車の窓の外は

2011年02月14日 | 
昨日はお寺の涅槃会(お釈迦さまのお亡くなりに供養する法要)でした。

法話のなかで紹介した詩です。

琴線に触れたのでシェアしたいと思います。


「電車の窓の外は」高見順


電車の窓の外は

光にみち

喜びにみち

いきいきといきずいている

この世ともうお別れかと思うと

見なれた景色が

急に新鮮に見えてきた

この世が

人間も自然も

幸福にみちみちている

だのに私は死ななければならぬ

だのにこの世は幸せそうだ

それが私の心を悲しませないで

かえって私の悲しみを慰めてくれる

私の胸に感動があふれ

胸が詰まって涙が出そうになる


『死の淵より』


自分の死としっかりと向き合い、

自分の死を受け入れることができたとき、

世界は輝き、真実、生かされていることの喜びを知る。

そして、本当の生き方に眼差しが向けられる。


それが「無常を観ずべし(死を想え)」と説く、仏教のねらいである。