日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

安い労働力を求めるだけの中国進出はもう終わり

2010-07-15 | 中国経済関連
ダイヤモンド連載の莫邦富の記事より

・ある日系アパレル企業の幹部がこうした問題も含めて「中国リスク」と決めつけ、バングラディシュに生産の大半を移転したと言っていた。それに対して私は、安い人件費などを求めて中国に進出したこの企業がこのような判断で中国ビジネスを見ているならば、そもそもこの企業では海外戦略といったものが存在しないと切り返した。なぜかというと、中国の現地事情の変化と会社の中国経済における立ち位置をまったく理解していないからだ。
 →テレビは見ていないですが、アパレル企業ってユニクロですかね?

・中国は、実は慢性的な求人難という状態に陥っている。その為に、仕事を発注しても納期が守られない状況が生じている。こういう労働力不足問題を、中国では「民工荒」という言葉で表現している。中国に進出した日系企業は今からこうした事態に対応する態勢を作らないと、中国での生産活動が維持できなくなる恐れがある。

・「民工荒」は、2004年に深圳を代表とする珠江デルタ全域ですでに起きた現象であった。原因は低給与にあるとして、最低賃金の上昇などで対応しようとしたが「民工荒」の嵐は収まる気配を見せなかった。今では長江デルタどころか余剰労働力が一番多いといわれる西部の甘粛省でも、次第に「民工荒」に悩まされるようになった。

・以前の農民工は沿海部で数年出稼ぎし、2-3年で帰郷したが、今の若い農民工はそのまま都市部での定住を求める傾向にある。その為に都市生活者としての生活を維持できる給与を求めるようになってきた。また、「80后」、「90后」と呼ばれる若い労働者は教育を受けており、権利意識が強い。それが人件費を低く抑えようとする企業との衝突が発生する土壌となった。

・中国の人口構造も課題で、一人っ子政策により若者が急速に減少し、中国の人口高齢化現象も急速に進んでいる。60歳以上の人口が、2015年には総人口の14.8%に相当する2億人という大台を超え、中国版少子高齢化問題がより顕著になる。

・中国社会科学院「人口と労働経済研究所」は、数年前にすでに、「中国は労働力過剰時代から労働力欠乏時代へ転換する」と指摘し、そのターニングポイントは2009年だと予測していた。

 その意味では、安い労働力を求めるために中国に進出し、こうした安い労働力の長期提供を安易に考えている企業は、中国の現状をまったく理解していないとしか言いようがない。中国を成長し続ける市場ととらえ、海外進出戦略を定める時代がやってきた。こうした時代にマッチした企業戦略でなければ、中国でビジネスを続けるのは非常に困難になるだろうと思う。
http://diamond.jp/articles/-/8747?page=2

 いかがでしょう?

 中国国内で勤務している人ならおおむね知っている事だと思います。そして、お金持ちと一般の人の所得格差の大きさには驚かれた人も多いでしょう。非常に安い給与で働く人が沢山いるお陰で、今の中国には日本以上にお金持ちがいます。そしてホワイトカラー層も、一見日本より安い給与でも、生活費が日本1/3から1/5で済むために可処分所得ベースでは日本と同じかそれ以上の人が沢山います。

 一方では本当に日本の1/10程度かそれ以下の所得と生活を送る人もいる。生活面では助かりますが、相手の立場になった時に非常に矛盾を感じるんですね。なんでこのサービスはこんなに安いのかって。中国人ホワイトカラーは「だって肉体労働じゃない」とか切り捨てますけど。

 でも、こりゃちょっとおかしいよなと、生活の様々な局面で感じていますし、さすがに中国政府も軌道修正するのでしょうね。

 まぁ、それはおいといて、安い人件費を求めるだけじゃだめってのは、もはや当然なんですけど、日本人や一部の日系企業はまだその辺をちゃんとは理解できていない方も多いように見受けられます。

 まぁ、当地の変化と日本ののんびりした社会とでは、意識のギャップが益々広がっているのでしょうけど。。
コメント
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