日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

蟻族について

2010-07-05 | 中国の社会・文化・歴史等
 中国の蟻族という、大都会に住む外地出身のホワイトカラーの貧乏な生活が日本でも報道されています。

 李さんは北京のバスに乗り、豪華な別荘や高級車、イルミネーションの綺麗なショッピングセンターを眺めながら、黙って座っている。バス停についたら、彼は中古のバイクを置いている駐輪場に行く。そして、15分ほど運転して彼は現実の生活の場に戻ってくる。月500元(7千円)のわずか8m2の部屋に。そしてこれでも彼の月給の4分の1を占める。

 李さんは黒龍江省出身の27歳だが、北京に自宅を買うために徹底的に生活費を抑えている。そして彼は先月中古自動車を買う事も、彼女に婚約指輪を買う事もあきらめた。「彼女は僕が家から自分用の飲料ボトルを持ってきたり、デートをしても彼女に1杯のコーヒーしかおごらない事で怒ってしまった。でも僕の月給は2千元しかないんだよ、いったい何杯のコーヒーが買えると思う?」。

 李さんと同じような話は北京や上海では当たり前のように見られる。

 蟻族と呼ばれ、高学歴で、大都会でのより良い生活を夢見て出てきた。でも現実には安月給のそして社会の底辺の生活を強いられている。

 社会科学院が最近発表した人材白書によれば、1百万人以上の蟻族が大都市に住んでいる。北京には10万人以上、そして広州、重慶、太原、西安、鄭州、南京にも同様にいる。

 22歳から29歳の大学卒業者は、中国の教育改革による大学生の増加により大幅に増加してしまった。2000年には大卒者は107万人しかいなかったので、2009年には611万人にもなった。

 蟻族の住む汚い家の周りには、通常小さな食堂やネットカフェ、床屋やクリニックが近所にある。そして、彼らは安定した仕事は無く、平均給与は月2千元以下だ。

 蟻族に関する本を書いた、北京大学のポスドク家庭にいる連さんにいわせれば、彼らの生活は皆似たようなもので、汚いコロニーに住み、給与も低いけど教養もありよく働くと評する。

 この蟻族の生活は、大きな社会問題になりつつあり政府は2級年や3級としに大卒者をひきつける仕組みを作るべきだと人材白書に記された。

http://www.chinadaily.com.cn/china/2010-06/25/content_10017274.htm

 昨今の工場のブルーカラーのストライキを見れば、ホワイトカラーでも同じ事がおきてもおかしくないのだとは思います。そして、ホワイトカラーだけに影響は強いでしょうから政府は心配するのでしょうね。

 月2千元じゃ、確かに上海じゃまともな生活は送れないです。上海人であれば自宅から通えますので、その場合は大きな問題は無いでしょうけど、家賃払うと楽ではないですね。日本の報道で世帯所得が5000元なら富裕層って表現がありますが、蟻族が結婚していれば月4千元でほぼそんなレベルじゃないですか。そうしてみればナンセンスな表現だとわかりますよね(田舎なら別です)。

 でも、日本企業はこの程度の給与しか支払わないとか、この程度の給与で人を雇用できるといまだに思っている会社があります。確かに雇えるのかもしれません。でもね。。。

 日本の高度成長期に「天国と地獄」という映画がありましたが、ブルーカラーだけでなく、ホワイトカラーも同じなんですよね、中国は(上海に限らずほぼあらゆる都市で)。

 色々日本企業側の意見というか不安の声を聞く機会が増えてきました。僕がいえるのは、いまさら中国で低コスト(人件費)生産じゃないでしょ。というだけなんですが。。中国生産を中国販売に転換するというのはそのとおりなんです。だからお手伝いもしていますが、難しいのは価格。日本と同じ価格をつけたがる。グローバルな価格政策としてそれは確かに納得できる。でも、その価格じゃ中国の同品質に物に価格で対抗できない。

 意外と難しい。。

 でも、蟻族が社会問題になるという事は中国にとっては良い事のはずです。農民やワーカーが搾取されて経済成長を果たしてきたが、大卒枠を増やしたがために今度はそれがホワイトカラーにまで及んできた。日本よりは実力主義を受け入れる国だけに、格差はずっと残るでしょうが、社会の底辺(人口比は多い)の所得を挙げることが社会も経済も安定させるでしょうし、外貨獲得ができるかどうかは不明ですが、それに向けて少しは今以上に努力もするようになるのではないでしょうか。

コメント
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