さてさて今回の金の動きについて、4月の時点で複数のメディア関係の人達に電話で話していたのは、2009年11月から12月の展開に似ているということだった。正直に言うと、その段階では結末が何を持って(きっかけ)急落に至るのかがイメージが固まらなかった。ジワジワと水準を切り上げ、誰もがまだ?という展開の最後に大台超え。そこからそのジワジワの積み重ねを短期で帳消しにする急落。まぁ、これも金ならではの動きと言えるだろう。
当時はインドの“ワタシタチIMFノキン200トンカイトリマシタ”宣言がきっかけで上げた。NYコメックスの金は11月20営業日中16営業日で“引け新値”だった。しかし、小幅の上昇の積み重ねゆえに過熱感を感じさせなかった。そしてドバイワールドだ、ギリシャが変だという雰囲気の中で12月に入り大台を変え、更に一伸びして雇用統計の結果がハチの一刺しとなった。雇用統計の結果といっても、雇用減少が少なかったというレベルの話だった。具体的には雇用増について市場予想の平均が13万人減少のところ結果が1万1000人減少というものだった。たしかにサプライズではあった。雇用は景気の基本。FRBによる大規模な量的緩和策(QE2ではなく1)が効いて米国景気は回復に向かっている、雇用減少の急激な収縮はその証しという解釈となり、ドル相場が大きく回復。このドル高の中で金は手のひらを返したように売られ結局4日で100ドルほど下げた。
今回は20営業日中13営業日で“引け新値”。雇用統計前に既に急落済み。きっかけは(シルバー崩落の)誘発雪崩が進行中に更に本格化するという流れ。こちらはいまだ進行形。しかし、こういった流れも相場にはよくある話で、そこまで下げる(上げる)とは思っていなかったが皆でそうしちゃったのね・・・という展開。
今週はジョージ・ソロスが金を(銀も)手放したとの話をウォールストリート・ジャーナルが書き話題となった。ソロス・マネジメントの運用責任者に近い事情通の話らしい。ジョージ・ソロスと聞いてそうですか、そうですかという感じ。このブログを読んでいてくれている方で、当方が担当した3月、4月のセミナーに参加いただいた方は記憶していただいていると思うが、ETFの残高減少について年始からヘッジファンドが減らしていると思われること、名を上げるならばソロスとした。いずれそれは明らかになろうが、それで金が下げるならば買いではないかとした。ないと思うが仮にそれがポールソンであっても、同じこと。今やポールソンの影響力も需給の上では市場規模の拡大で薄れている。そこでIMFが短期で(中銀買い付け分を除く)190トンを売り切ったことを指摘した。もちろん特殊情報などなく、日々の流れの中での推測でソロスなら売るだろうと思ったにすぎない。それが幸いにも当たったというわけ。
類推という面では、現時点(2~3月)で非常に少数意見ではあるが、と断ったうえでQE3の可能性もあると思っているともしてきた。こちらは、さてどうなるか。QE3といっても、直ぐにというわけでなく、量的緩和を止めた後に様子を見て、こりゃマズイと再開という2と同じパターン。バーナンキは非常に政治性の強い議長ということも話してきた。過去の議長の中では、金本位制廃止すなわちニクソンショック時の議長だったアーサー・バーンズに似ているという話もしてきた。さてどうなるか。こちらは答えが出るまでに、相応の時間を要する話といえる。
ドル円についてもあるが羅列はこの辺で止めて今週のニュースのもうひとつ、メキシコ中銀の金買いの話。2、3月で93.3トン購入というもの。ブラジルではなくメキシコかぁ・・・と思った。でも、言われてみれば、そうだよなぁと。今回明らかになったところではロシアが18.8トン、タイが9.3トンというものがあった。ロシアは過去4年にわたりコンスタントに増やしている。しかし、国内還流分からの買い付けや大蔵省保有分の付け替えなどが多く国際市場での買い付けではなさそうだ。タイはがんばって増やしているなぁというイメージだ。昨年も確か市場から買い付けていたはず。いずれにしても公的部門もソブリン債以外の資産ということで、金を対象としていることが重要。
こう書いているうちに雇用統計の発表時間が迫って来た。さて、この一文のタイトルをどうすべか???原稿も書いてからタイトルを決めることがほとんど。そういえば来週9日月曜日の夕刻の日経CNBCテレビ、デリバティブ・ワールド生出演予定です。再放送枠が増えたみたい。
好投の島袋が今日も勝てなかったとのこと。上級生は何をやっとんじゃ。
いつ頃だったかポールソンのポートフォリオが記事に取り上げられてました。結局あれでOK、夏休み、なんでしょうか?ヒト様が儲かった話など聞きたくもないけど興味シンシン!