亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

様子見をしていたファンドが買い参戦

2019年02月20日 23時31分52秒 | 金市場
3連休明けのNY市場で、といっても上げが始まったのがロンドンのオープニングからだったが、にわかに騰勢を強めた金市場。このところのFRB関係者の発言が、強烈な株価の戻りにもかかわらず利上げの一時停止や利上げサイクルの終了のみならず、バランスシートの縮小(量的引締め)についても、近い将来の終了を示唆するなど、ハト派化の流れが止まっていないことを映したものだろう。動意づいた金市場で起きていることは、様子見をしていたファンドが、本格的に金市場に資金を入れ始めた可能性がある。上方に動き出した価格に対し、いわば“飛び乗り組(トレンド・フォロアー)” が加わり、流れが加速するとその流れを勢い付かせることで利益を得ようとするモメンタム系のファンド(CTA)が水準を押し上げる。

興味深いのは、米国政府機関の閉鎖の影響で発表が止まっていた米商品先物取引委員会(CFTC)のデータだが、順次発表が始まり明らかになったのは、ファンドが意外にも1300ドル台で売り建てを増やしていたことだった。

昨日、1月29日分までが発表されたが、年末にかけて売り建て(ショート)を大きく買い手仕舞いしたファンドだったが、1月に入り逆に売り方に回っていた。重量換算したネットの数字で示すならば、12月31日時点384トンの買い越しが1月22日時点で231トンまで減少となっていた(オプション取引を除く)。だからこそ金は環境が好転しているにもかかわらず、1300ドルを手前に大台乗せができなかったということだが、ならばなぜこの期間に売り方に回ったのか。それはドイツを中心に欧州の経済指標の悪化が続きユーロが対ドルで下値を切り下げる動きをしていたことがある。それを映しドル指数(DXY)が96ポイント台に上昇、この水準は昨年8月に金が1200ドル割れをみた際のドル高水準でもある。ドル指数と逆相関性の強いNY金の特性を加味して組まれたファンドの売買プログラム(アルゴリズム)が、自動的に売りに傾いたものと思われる。

それが昨日発表された1月29日時点では、80トンだが新規の買い建てすなわちフレッシュロングが確認できた。しかし、この時点でなお(前週まで2週連続で増えた後に横ばいの)ショートはそのまま変わらず維持されたままだった。その後に、1月のFOMCを迎えることになるが、1月30日の声明文公表後も2月の2週目までは売り買い交錯状態となっていたので変化は3連休前の先週後半ということか。

先週はもともとハト派で知られる人物ながら、昨年秋には断続的な利上げに賛意を示すなどタカ派的な発言が目立ったブレイナードFRB理事が、年内の量的引締めの終了を示唆する発言をして注目された。おそらく、これが引き金を引いたということか。昨日書いたように、異例とされた金融緩和策の幕引きは予定通りに進められず延長戦に突入することを印象付ける節目となったということだろう。

1350ドル手前には売りが控える。

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