雇用者数の増加が米国経済の明るさをイメージさせるのだが、7月中旬まで好調な発表が続いていた米国関係の指標が、ここにきて再び陰りを感じさせるものが続いている。そもそも先月29日に発表された4-6月期GDP速報値が前期比年率1.2%と予想の2.4%を大きく下回ったことが始まりだった。ただその懸念も、好調な7月の雇用統計でイレイズされて、なんだ大丈夫なのか・・・・と思わせた翌週には労働生産性の落ち込みが続いている・・・となり、再び警戒感が。
そこで1.2%成長と減速気味のGDPにあって個人消費はその他の低迷をカバーする4.2%増という予想外の好調さで、この力強さの持続性は如何に?ということで注目されたのが先週末の7月の小売売上高だった。結果は、市場予想前月比+0.4%に対し横ばいとなった。なかでもGDP(国内総生産)に参入されることから重要視される自動車・建材を除く指数も前月比横ばいで市場予想の+0.3%を下回ることになった。足元では新学期商戦の好調さが伝えられているが、とはいえ4-6月期までの好調さが続くのは難しかろうという印象が強い。
12日発表の米7月の生産者物価指数(PPI)も市場予想+0.1%に対し-0.4%、コア指数も予想+0.2%に対し-0.3%といずれも予想を下回り弱かった。コア品目の中では自動車の弱さが目に付いた。
結局、一連の米国経済指標を受け市場での米利上げ観測の可能性予測は、いずれも発表前と後で9月が12%から6%に12月は47%から43%に低下した。
それを映し米長期金利とドルは売られ金は大きく上昇。高値は一時前日比10ドル以上高い1362.50ドルまで見た。しかし、金市場は切り上げた水準に4時間ほど滞留したあとで急速に値を消すことになった。消すばかりか、マイナス圏に突入し引け味悪し。いわゆる“行って来い” のパターンで日足の形だけで言うなら、売りシグナルといったところ。1350ドルを超える水準では戻り売りが控えるが、実際に週末発表のCFTC(米商品先物取引委員会)のデータでは、8月9日時点での買い越し残は(オプション取引を除く重量換算で)891トンと過去最高水準を維持していることが判明。やはり当面は、戻り売りを浴びながら整理を進めることになりそうだ。
それにしてもまたロシアがウクライナを巡って動き始めたり、尖閣では中国がプレッシャーを強めたり、世界各所で銃を使った凶悪犯罪やテロまがいの事件が多発と、ざわついた環境は、結局、政治に関連したリスクが徐々に高まっていることを思わせる。各国の政治環境は元より世界全体でもリーダーシップ不在の状況の中で、世界経済の停滞が続くと、国益という名のエゴが大手を振って動きだし、“経済連携” などという昨年まで皆が合意を目指していたものなど瓦解する可能性がある。株式だけでなく債券市場がカネ余りで異常事態になっているだけに、そうした地政学的リスクから目が離せなくなってきた。
8月も15日を過ぎると。夏の盛りも超え・・・という雰囲気ですねぇ。8月11日を祭日にしたのはGood!! これでいわゆるお盆もまとまった夏の連休ということになりそう・・・で、実際になったのでしょう。かく言うワタクシも11日は、和歌山県那智勝浦町の那智の浜で花火大会の見物でした。
今夜のNY連銀景況指数も悪かった・・・。