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名もなき毒

宮部みゆき 著 幻冬舎
どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。

前作「誰か」に続く、現代ミステリーです。主人公は同じですが、今回は連続無差別毒殺事件と、トラブルメーカーの元編集アシスタントとのからみで事件が展開していきます。
このなかで語られる毒とは、青酸カリであったり、土壌汚染物質であったり、あるいは人の心のなかに潜む毒であったりします。
これはミステリーの形をとりながら、現代社会に潜む様々な毒の存在をあぶり出す作品であるといえるでしょう。
読者に、登場人物の危うさや、不安感を感じさせつつ、一気に読ませる描写力は、さすが宮部みゆきです。
さらに扱っている事件の割には、重たくならずに軽快に読み進めることができることも、宮部作品の特徴でしょうか。
宮部みゆきが嫌いでない方には、割とお勧めの一冊です。
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