三代目虎真之助blog 『森から出たまこと』

「森はいのちの源」 奥三河の森から学んだこと、感じたこと、得たものを書き記しています。

(一社)新城法人会青年部 第1回研修会

2013-07-04 19:55:31 | 奥三河の紹介

昨日は、法人会青年部の研修会。

 

テーマは「あのときを忘れない。いま私たちにできること」

昨年、夏休みに福島の子ども達を10日間預かるキャンプを企画している団体、

おいでん!福島っ子!運営委員会から広報と寄付の協力依頼がきた。

昨年は時間もなかったため、ただ法人会の会員に広報するしかできなかったが、

今年は早くから連絡をもらっていたため、事前に昨年の取組みの様子を伺うこととした。

「普通、縁もゆかりもない地域に子ども達を送るのは親として心配だろうが、

福島の親御さんたちは、それ以上に現地で外で子どもを遊ばせることの方が心配」

青年部は、ちょうど同じぐらいの子をもつ会員が多いため、親の切羽詰った気持ちが心に響いた。

 

おいでん!福島っ子!運営委員会

http://oidenfksmk.blog.fc2.com/

 

また、偶然にも、法人会のパートナー企業である大同生命の豊橋第二営業所長が、

震災時に福島営業所長として現地で被災されていたため、

田中所長からも、当時の様子を伺うこととした。

「話すと思い出してしまうため、これまでは一度も当時のことを人に話したことがなかった」

この言葉を耳にし、今日うかがった話を決して忘れてはならないと強く心に思った。

 

最後に、出席者全員で、感想と「いま自分にできること」を延べてもらった。

復興にはまだまだ時間がかかるが、支援の輪は徐々に小さくなっている。

企業として継続的に支援するためには、まず自社の経営をしっかりとさせることが重要である。

人にやさしくするには、自分が強くないと、共倒れしてしまう。

そんな感想とまとめで会は閉会となった。

昨日も学びの多い一日であった。

 

 

 


欧州型林業視察

2013-07-01 11:20:49 | 森づくり

先週の金曜日に、NPOの仲間とともに欧州型林業の視察のために高山へ。

※NPO法人穂の国森林探偵事務所

http://moritan.org/

 

案内していただいたのは、ココ。

東海北陸自動車道の飛騨清見ICを降りて10分ぐらいの場所にある県有林を中心とした団地。

ここに幅約3.5mのかまぼこ型の道が布設されています。

このかまぼこ型の道が欧州型林業の1つの特徴であり、

縦断勾配よりも横断勾配をきつくすることで、雨水や沢の水を路面上を走らせずに、

山側と谷側に分散して落とすことで、路面の侵食を防ぐ構造(屋根型構造)となっています。

 

人を写すと勾配具合がよく分かります。

山側の排水は、50m間隔に入れられた素掘りの枡で集水し、暗渠管によって谷側に落とします。

この際に、側溝の呑み口が枝葉でつまることが心配されますが、

30~50mピッチと短い間隔にて横断排水施設が設置されていることに加え、

縦断勾配が緩くとってあるため、水に勢いがつかず、土砂が若干堆積する程度でおさまるとのこと。

その土砂も年1回、バックホウですくえば処理できてしまう程度。

 

また、谷側の吐け口の法面の侵食の危険性も心配されますが、

そちらは、暗渠管の勾配をほぼなくすことで水の勢いを緩めることに加え、

法面には現地発生材にて階段状の排水路を施工することにより、侵食を防ぐことができます。

この地域でも、既設の林道が大雨の度に甚大な被害にあっていますが、

欧州では、道の重要性に対する認識が高く、開設コストだけでなく、その後の維持管理コストも含めた

トータルな考えのもとに道づくりを行なっているとのこと。

 

「水を集めない」「水の勢いをつけない」「路面を乾いた状態にしておく」

という原理・原則のもとに、設計がなされています。

 

下記はそうした思想のもとに林建協同組合によって施工された、初期の頃の横断排水。

しかし、これはドイツのフォレスターには「問題だ!」と指摘されたそうです。

1つは、コンクリートが使われていること。

外部から資材を投入すると、それだけコスト高になるため、できるだけ現地発生材を使うようにと。

もう1つは、管が数10cm飛び出していること。

これだと、メンテのためにバックホウにて堆積した土砂を排出しようとした際に

バケットが当たるため作業がしにくいとのこと。

 

このように、欧州型林道は「メンテ」と「コスト」に対する意識が徹底しています。

 

また、暗渠排水を用いる理由は、環境面から。

生物が上下流を行き来できなくなるからと。

 

環境とトータルコストが十分に考えられた、まさに持続可能型の道づくりです。

 

よく「欧州型」というと、それだけで日本と欧州の地形や地質、気候の違いから、

導入は困難と判断されがちですが、

そうではなく、ただ単に規格を真似るのではなく、その思想と機能をしっかりと理解し、

日本のそれぞれの山にあった道づくりを考えることが、いかに重要であるか学びました。

 

こうしたノウハウを惜しげもなくご提供いただいた、

たかやま林業・建設業協同組合の皆さまに、感謝申し上げます。