三代目虎真之助blog 『森から出たまこと』

「森はいのちの源」 奥三河の森から学んだこと、感じたこと、得たものを書き記しています。

ドイツ研修8「市民参加による住宅開発」

2016-10-21 17:33:40 | 森づくり

ヴォーバン地区。

 

住宅開発には厳しい規制のあるドイツ フライブルグ市。

そこに新たに生まれた理想の住環境空間、ヴォーバン。

徹底した市民参加により、「暮らし」と「自然環境」を調和させ、

持続可能なまちづくりという言葉が、まさにカタチとなっているまち。

 

パッシブハウス、カーフリー、壁面緑化、雨水処理、オープンスペース………

あらゆるアイデアと技術が、ここには詰まっている。

 

半日、見て回っても、まったく飽きない。

また来たい。

いつか住んでみたい。

 

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ドイツ研修7「河川の近自然化」

2016-10-20 18:17:10 | 森づくり

9/20(火)、フライブルグ市ににて、河川の近自然化工法について学ぶ。

講師は、NPOであるイノベーション・アカデミーのハンス氏。

近年、ヨーロッパでも、気候変動の影響によりゲリラ豪雨の被害が多発しているそうだ。

そこで、「健康」「文化施設」「経済活動」を守るために、

2つのマップ(「洪水リスクマップ」と「洪水リスク評価マップ」)を作成し、

それを基に、「いつまでに」「なに」をやるかという対策を提示している。

 

このマップに基づけば、バーデンベルグ州にある約1100自治体の内、

57%の自治体においてリスクがあり、何らかの洪水対策が必要とされている。

 

特にリスクのある土地において住宅開発を計画する場合には、洪水対策が義務付けられており、

ここでいう洪水対策とは、住宅地における雨水対策や河川整備のみならず、

上流域における森林整備も含まれており、それらのコストが土地価格に転嫁されるとのこと。

 

となると、必然的に流域単位で土地利用計画も考えなければならず、

基礎自治体の枠を超えた広域的な連携体制のあり方が重要となってくる。

 

1時間の講義の後は、実際に現地で学習。

この川、実に自然な感じがするが、実は、様々な知恵を結集して人工的に改修された川である。

 

橋の上から見るとよく分かる。

写真右上部が大きく開いているが、ここは、増水時に一時的に水を2方向に分散させるために人工的に作られたものだ。

そして、増水時に右側に水を分散させるための仕掛けが、左岸側に散りばめられている大きな石だ。

この石に水が当たり、右岸の一時避難的水路へと誘導されるというわけだ。

 

ちなみに、これらの石の効果は、流水の誘導だけでなく、普段は生き物の隠れ家や生育箇所を作り出している。

また、岸辺の植物も、浸食防止の観点から有効かつ現地調達可能な樹種を選定し、人工的に植えられたものだ。

 

この近自然工法のメリットは以下のとおり。

・生物が住める。

・資材は現地調達可能なため補修が容易にできる

・よって、コストパフォーマンスが良い

 

しかし、デメリットもある。

・広いスペースが必要

・始めからすべてを計算できないため、施工後も数年間は観察し、適宜、対応が必要

・よって、自治体の理解が低い

 

視察した河川も700mにわたり近自然工法にて改修されていたが、

そこからさらに下流域にいくと、すでに両岸に歩道や車道が整備されているため、

それ以上、川幅を広げることができず、同様の工法は用いることができない状態であった。

 

しかし、それでも工夫を凝らし、かつては大きな落差のあった箇所に石を敷き詰め、

魚が遡上できる形態に改修がされていた。

 

日本でこれまで多く見かけたいわゆる三面護岸という、コンクリートを用いた河川整備では、

その設計において「構造力学」が大きなウェイトを占めていた。

しかし、このような近自然工法は、生物に関する豊富な知識量がなければ、設計できない。

 

また、設計士だけでなく、できる限り自然に則した現場合わせ的な施工箇所が多いため、

実際に施工するオペレーターにも、同様の知識や経験が求められる。

この現場でも、重機が2台稼働していたが、土盛りするにも丁張のようなものはなく、

オペレーターの知識と経験に基づいて、より自然に近いかたちで洪水を防げるように施工されている。

 

そして、こうした優秀なオペレーターの有無が、グリーンインフラ工事の受注に大きく結びついているとのことだ。

 

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DA MONDE TRAIL CHALLENGE AUTUMN 2016

2016-10-17 18:52:59 | 奥三河の紹介

Da MONDE TRAIL CHALLENGE AUTUMN 2016

2016/10/16(Sun.)  @愛知県民の森

http://trail.damonde.jp/

 

 

 

走る人も走らない人も、

大人もこどもも、

スタッフもサプライヤーも、

みんなが楽しい。

 

それが、Da MONDE。

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ドイツ研修6「里山の利活用2」

2016-10-12 11:33:10 | 森づくり

午後からの研修の前に、腹ごしらえ。

訪れたのは、温泉保養地として名高いバート・ペーターシュタル・グリースバッハ村にある

Renchtalhutteというレストラン。

ご覧のように、山の上の斜面に立っている。(※確か標高は800mぐらいだったかと)

こんなところまで、どんなお客さんが来るんだろうと思っていたら、中は満席。

 

このレストラン、山の麓にある四つ星ホテルが運営しているのに加え、

ちょうどここから奥にトレッキングコースがあることから、老若男女で常に賑わっているようだ。

 

詳しくはHPを。

http://www.renchtalhuette.de/

 

食事後、ここから数百メートル下ったところにある農家まで歩いていく。

天然更新された豊かな樹種に囲まれて、気持ちが良い。

 

しばらく歩くとみえてきたのが、この風景。

やはり、ここも森林と居住地の間に牧草地帯が広がる、典型的なドイツ南西部の里山風景だ。

 

もちろん植わっている木は、高木果樹。

奥にみえる白く梱包してあるものは、ドイツ名物ザワークラウト。

 

ここのご主人は、1600年に建築されたという3階建ての建物に住んでいる。

1階は、牛舎。

2階が、住居。

そして、3階が倉庫。

 

その右隣で営んでいるのが、農家民泊。

 

左隣は、貸しホール兼レストラン。

こんな山の中で??? と思ったら、

この辺りでは、こどもの誕生日など大勢で集まって祝う風習があるらしく、わりと需要はあるそうだ。

 

高木果樹、ザワークラウト、酪農、民泊、レストラン、ホール経営に加えて、冬の農閑期には、蒸留酒の製造までしている。

このカウンターの上に並んでいるボトルが、シュナップスという自家製のお酒。

チェリーやプラムやナシが一般的だが、ここには芋から作ったものもあった。

いずれもアルコール度数は45度程度あり、かなりキツい。

 

ドイツの冬は寒いので、木こりはこれを朝1杯引っ掛けて山にいくとか…??

 

どうして個人で製造・販売できるのかと思ったら、

このあたりに昔から暮らしている家には、蒸留権があるそうだ。

その数、約2000軒。

1軒につき、度数100%で300リットルまで許可があるとのことなので、

度数45度の750ミリリットル瓶で考えると、1軒あたり約900本ぐらいは製造・販売できる計算になる。

 

「ドイツの農家は何でもやるんですね」と尋ねると、

「百姓とは、百の仕事をやる人のこと」と返されてしまった。

 

 

前述したように、専業で一次産業をやるには、数百ヘクタールの土地が必要になる。

そうでなければ、複数の仕事を組み合わせて仕事にしなければ食べていけない。

 

国は違えども、中山間地で生きていくためには、知恵と工夫と挑戦する意欲が必要なんだと実感した。

 

つづく。

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ドイツ研修5「里山の利活用」

2016-10-11 14:36:08 | 森づくり

森林を見て回った後に向かったのは、里山。

ドイツでは、森林と住宅の間の緩衝地帯として、こうした牧草地がある風景をよく見かける。

その理由は以下の3点にあるようだ。

・獣と人との生活空間を分ける。

・伝統的な風景を残すことで観光資源として維持する。

・狭い国土の中で、土地を有効活用する。

 

ドイツの国土は約357,121平方メートル。

日本(377,972平方メートル)とほぼ変わらない。

 

そこで、里山を活用して果樹生産を行う農家も多い。

代表的なのがこれ。

そう、ワイン用の葡萄畑。

 

ドイツというと「甘い白ワイン」を思い浮かべる方も多いようだが、そんなことはない。

ここバーデン地方では、白ワインは辛口の方が主流であるし、しっかりとした赤ワインも豊富にある。

車で40分も走れば、フランスのアルザス地方であることを想像していただければ、ご納得いただけるかと思う。

 

 

もう一つがこれ。

高木果樹と呼ばれる生産方法で、リンゴやナシ、クリなどを栽培している。

 

9/19に訪れたエコ農場Houchburg(Emmendingen市郊外)では、

州から借りた100ha(1,000,000平方メートル)の土地で、約270種類の果樹を育てていた。

 

この高木果樹生産、収穫にものすごく手間がかかる。

ひとつひとつの木をゆすって、果樹を落とさなければならないためである。

 

そこで、それ以外の維持管理コストをいかに下げ、

また収穫物を販売する際に、いかに付加価値を高められるかが採算性のカギとなる。

 

近年は採算性の悪化を理由に、この農法を諦める農家も増えているようで、

州としては伝統的な里山風景を残すために、州の土地に果樹を植え、

その土地を管理する民間人を募集して、景観維持を果たしているそうだ。

 

この農場の若き農場主は、非常に柔軟でアイデアにあふれた方だった。

 

まず、なんといっても維持管理にコストがかかるのが草刈である。

よくドイツで見かける風景としては、牛の放牧であるが、

牛は木の幹を食べてしまったり、根っこ周辺を掘り起こしてしまう危険性が高い。

※上記写真の土がむき出しになっている部分は、牛が掘り返してしまったところ。

 

そこで、この農場では、ガチョウを使った牧草の維持管理を試みていた。

ドイツでは、クリスマスにガチョウを食べる風習があり、

毎年、春から秋にかけ、ここで牧草を食べさせながら育てて、冬に出荷しているとのこと。

 

実はガチョウは本来2ヶ月程度で出荷できるそうなのだが、

ドイツではクリスマスにしかガチョウを食べないため、冬までの餌代をどう工面するかが課題となっていた。

 

一石二鳥のアイデアである。

 

次に、収穫物にいかに付加価値をつけるかである。

この農場では、果樹を使ったジュースを直営で販売していた。

これが少し濁った感じのリンゴジュースで、いかにも農場直営といった雰囲気もあり、おいしいかった。

また、乳牛を約80頭、鶏を1800羽、ヤギも200頭も買っているため、

とれたての生乳や卵も直営自販機で販売したり、近隣の食品工場へ出荷しているとのこと。

 

州が景観保護のために支出している補助金は、果樹1本7ユーロのみ。

 

とても採算が合う金額ではないため、上記のような工夫をしながら、

この100haの面積を、わずか4人のスタッフで管理しているとのこと。

 

実際のところ、いまドイツでは、専業農家で食べていくためには、約300ha以上の土地が必要とのこと。

農林家(ドイツでは農業と林業を兼務している方が多いためこう呼ぶ)の約80%は、

20~30haの農地と同規模の森林を所有し、昼間は工場に勤めながら、早朝や週末に農林業を行っているとのこと。

 

ときに日本人は働き過ぎだと言われるが、いやいや一次産業に携わる人は、ドイツでも同じだと実感。

 

この日の午後は、もう1軒の農家を訪問。

ここのご主人がまた、驚くほどの働きものだった。

 

つづく。

 

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