建設トップランナー倶楽部の年1回の視察研修。
「建設トップランナー倶楽部」
今年は、お隣りのまち、豊田市。
2泊3日の研修だが、公務等があり、真ん中の1日だけの参加となってしまった。
だが、その1日だけでも盛りだくさんの内容。
はじめに訪れたのは、「豊田・岡崎地区研究開発施設用造成事業」の現場。
正式名だと分かりにくいのが、通称、トヨタ下山テストコースのことだ。
事業面積:650.8ha
工事期間:約8年(造成工事のみ)
総事業費:700億円(造成工事のみ・見込み)
上の写真は、事業全体からすれば、わずか1/6程度。
開発面積では、セントレアをも上回るとのこと。
驚くのは、これほどまでの大規模開発にも関わらず、
「場外への土砂の搬出ゼロ」・「近隣河川への濁水排出ゼロ」を実現している。
ものすごい設計力だ。
そして、この設計を支えているのが、地元業界が長年にわたり研究開発してきた近自然工法の技術だ。
法面は、現場で発生した支障木の残材を、現場でチップにして吹き付けてある。
法尻には、清水建設と共同開発した網状の袋の中に、こちらも現場発生材によるチップを詰め込み敷き詰めてある。
施工から3年が過ぎても、ご覧のように、大きな浸食被害はないそうだ。
排水は、基本的には場内に設けた処理施設にて処理した後、設備用水として再利用する計画。
近隣河川に排出する際は、調整池で沈砂した後、さらに竹ソダでろ過してから放流するとのこと。
他にも様々な工法が用いられているのだが、それらは実は、近隣にある下山バークパークで見ることできる。
「下山バークパーク」
http://www.szken.co.jp/shimoyamabp.html
実はこの現場にも流れている矢作川水系の流域には、矢作川沿岸水質保全対策協議会(通称:矢水協)という団体がある。
高度経済成長時代、開発による土砂と工場からの排水により汚濁してしまった矢作川の水質浄化活動に、
半世紀にわたり取り組んでいる、日本でも有数の環境団体だ。
そのため、矢作川水系での工事には、非常に高い管理能力が求められることは、
こちらの豊川水系の業者間でも、有名な話だ。
だが、こうした地元での熱心な活動があったからこそ、
今回のトヨタテストコースに用いられているような新技術が、次々と開発されていったのであろう。
全国から集まったトップランナーたちも、
この近自然工法の技術力の高さと、それを設計に反映する愛知県の柔軟さに、感嘆の声をあげていた。
こうした取り組みや工法・技術を、豊川水系にもぜひ活かしていきたい。