里の家ファーム

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自然の中に身を置いてみませんか?

田んぼの魚

2019年01月15日 | 自然・農業・環境問題
 
見て、聞いて、味わって、田んぼの魚の保全について考えるイベントを実施

日本には400種以上の淡水魚が生息していて、自然の河川や湖沼のみならず、人が作った農業用の水路や、水田などをすみかとしている魚も数多い。その4割が今、絶滅の危機に瀕している。

ハフポストBLOG 2019年01月15日

 WWFジャパン 国内外の自然、環境に関連した情報を発信中

東京・渋谷で淡水魚の原画展とトークイベントを開催

知ってほしい!日本の淡水魚の魅力


日本の川や湖などにすむ「淡水魚」というと、どのような魚を思い浮かべるでしょうか。 コイやフナ、ナマズ、メダカやドジョウなどを連想される方もいるかもしれません。 実はこの淡水魚、日本には400種以上が生息しています。

その中には、自然の河川や湖沼のみならず、人が作った農業用の水路や、水田などをすみかとしている魚も数多く含まれており、その4割が今、絶滅の危機に瀕しているとされています。

そこでWWFジャパンでは、こうした魚と、その置かれている危機的な状況について、たくさんの人に知っていただくため、2018年11月23日~12月2日まで、株式会社モンベルのご協力のもと、東京・渋谷にあるモンベル渋谷店の5階サロンにて、「淡水魚の原画展-日本の原風景を泳ぐ絶滅危惧種15選」を開催しました。

展示されたのは、世界でも日本のごく一部にしか生息していない、国際的にも稀少な淡水魚をはじめ、メダカやドジョウなど、身近でありながらも現在、減少や絶滅が心配されている魚たち。

これら水田や水路にすむ魚は、比較的人の暮らしに近いところにすむ、身近な魚ではありますが、それでも、その大きさや色、形などを間近に見る機会は、なかなかありません。

原画展では、水の上から見るだけでは分からない、色鮮やかな魚たちの姿を、繊細な骨格や、小さな鱗1枚1枚に至るまで見事に描き出し、来場者の皆さんを魅了しました。

またこの原画展では、危機にある淡水魚の現状や、WWFが現在、九州で取り組んでいる保全活動も紹介。 展示された魚たちの絵を楽しみながら、その保全についても理解を深めていただきました。

おにぎりを食べながら聞く専門家のお話


また、原画展開催期間中の11月25日には、会場で参加者の皆さんに「おにぎり」を食べていただきながら、魚の専門家の話を聞くトークカフェも行ないました。

スピーカーとしてお招きしたのは、九州大学アクアフィールド科学研究室の、鬼倉徳雄准先生。日本を代表する淡水魚の専門家のお一人です。

また先生は、WWFジャパンが現在、九州の水田地帯で行なっている、保全プロジェクトのパートナーでもあり、研究室の大学院生の皆さんと共に、長年にわたり九州で魚の調査活動に取り組んでこられました。

WWFからのお話:日本の水田とその自然をめぐる問題

この日のトークイベントでは、まず、WWFジャパンで水田・水路の保全プロジェクトを担当するスタッフから、取り組みの背景と、その重要性についてお話をさせていただきました。

日本の淡水魚が目下、危機的な状況にあり、国内の淡水魚のうち42%が絶滅危惧種となっていること。 農薬や外来生物の侵入も脅威になっていること。

何より危機の大きな原因として、重要な生息地の一つである田んぼの環境が変化していることをお伝えしました。

今、日本では、お米の需要の減少に伴い、田んぼが減る一方、残る田んぼでも効率的な稲作を行なうため、コンクリートで水路を固める圃場整備が進み、魚などが棲みにくい環境に変化しています。

魚が生きるためには、植物や小さな生きものが生きられる土の土手や砂の川底の水路が必要ですが、高齢化が進む農業者の方々にとって、こうした自然な水路は、整備が困難な環境です。

このため、農業が無ければ残せない水田や水路の自然が、農業を守るために失われてしまう、という、解決の難しい問題が起きているのです。

 鬼倉徳雄先生のお話:減少する日本の淡水魚たち

鬼倉徳雄先生からは、WWFとのプロジェクトで行なっている共同研究と、その調査研究の中でも明らかになってきた、主に九州の淡水魚について、お話しをいただきました。

共同研究のフィールドは、九州の有明海・八代海沿岸を中心に広がる水田地帯。 この地域の田んぼに、文字通り網の目のようにめぐらされた水路は、日本有数の複雑さを持っています。

これは、貴重な淡水を効率よく使うことを目的に、昔の人々の知恵が生み出した水系で、環境としても、流れが速い場所、遅い場所、深さなども実にさまざまです。

そして、こうした多様な水路の環境こそが、多様な淡水魚の生息を可能にする、一番のカギとなっています。

その一例として鬼倉先生は、世界でこの地域にだけ生息するドジョウの一種、アリアケスジシマドジョウは、産卵する時期になると、普段すんでいる場所から移動し、流水速度が異なる水路を利用することを紹介されました。

また、同じく日本の固有種で、希少種でもあるニッポンバラタナゴが、大陸から観賞魚として持ち込まれ、全国各地で野生化した外来種のタイリクバラタナゴと交配し、野生動物としての血統が失われつつある現状もご紹介いただきました。

今回、鬼倉先生はWWFジャパンとの共同研究を通じ、熊本、佐賀、福岡県内の約140カ所の水路で魚類の調査を行ないましたが、その結果と、約10年前に先生が調査した結果と比較すると、在来種の数が明らかに減少しており、希少種もさらに個体数を減らしていることが明らかになりました。

こうした現状を説明しながら、鬼倉先生は農業を行なう中で、魚にとって必要な環境を工夫して残していくことの大切さを訴えられました。

 「食」を通じて考える、農業と魚の未来

トークイベントの最後の質疑応答では、魚についての質問から今後の活動の展開まで、時間内に対応しきれないほどのご質問が寄せられました。 その中で、淡水魚をはじめとする生きものに配慮した農業や、お米の普及についても、話題になりました。

今回のイベントでは、プロジェクトのフィールドで収穫されたお米のおにぎりを、参加者の皆さんに召し上がっていただきましたが、「食」という行動は、誰にとっても共通した身近な体験です。

この「食」を希少な淡水魚とつなげていただきながら、WWFとしてもこれから、生きものに配慮したお米づくりがもっと必要になること、そして、消費者がそうしたお米を選ぶことが、取り組みの支えとなることをお話しいたしました。

あまり知られていない淡水魚や、水田・水路の自然の危機的な状況を、原画展やトークカフェを楽しみながら、たくさんの方に知っていただいた今回の企画。

難しさはあるものの、これからは「安全で効率的な農業」と「野生生物の保全」を、「対立」ではなく「両輪」として行なってゆく必要があります。

WWFジャパンとしても、そのための努力と知恵を傾け、取り組みを続けてゆきます。

 


 除草剤・農薬・化学肥料の使用が環境を大きく変えています。さらに近年、構造的な環境の変化があります。1枚の田んぼが大きくなり圃場整備が進む中、今までの水路とは違った形態になりつつあります。それは塩ビ管の水路です。まったく水を見ることもできない、地中に埋設された水路になりつつあります。こうなると日本の原風景そのものが変わってしまいそうです。「農業」の役割を今一度、根本から考え直す必要があるのではないでしょうか。


小さい時から野菜習慣—成人おめでとう!

2019年01月14日 | 野菜・花・植物

一生健康でいるためには、子どものころから野菜摂取が要に! 小さい時からベジトレをしよう

野菜をたくさん食べる子どもは風邪を引きづらく、引いたとしてもこじらせない

ハフポスト ブログ 2019年01月11日

 LAXIC ワーママ・ワーパパのためのウェブメディア

 

 

 「健康な身体を保つには、バランスのいい食事でしっかり栄養をとることが大切。特に野菜をきちんと取りましょう!」とは、誰もが知る定説。

 

ラシクでもこれまで、子どもの「食」や、産後の母親の健康管理等、親子の食事・栄養について専門家の方々にお話を伺ってきました。

最近では子どもを野菜好きにするトレーニング「ベジトレ」も流行っていますが、改めて考えてみれば「野菜は身体にいい」って、具体的にどう「いい」のでしょう?

 

野菜食べない子どもほど、風邪をひきやすく不健康!?

 生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研が行った、3~12歳の子をもつ母親500人に対する調査(※1)によると、子どもの家庭における野菜摂取量は、平均1日あたり「114.9g」という結果に。

3歳児の1日あたりの野菜摂取量の目安は「240g」(※2)とされていますから、推奨量よりも野菜がとれていないことがわかります

 「へ~、思ったより野菜とれてないんだなあ」と思った皆様。この調査、単にこれで終わりではありません。

 なんと、「野菜を食べる量」と「風邪の引きやすさ」に相関性があることがわかったのです!

例えば、下記グラフ。これは「昨年、子どもが風邪をひいた」と回答した母親の割合を、子どもの1日あたりの野菜摂取量別にグループ分けしたものです。

トレンド総研調査より

 

 野菜を「200g以上」摂取できている子どもは、圧倒的に風邪を引きづらいことがわかります。

さらに、風邪が悪化し38度以上の高熱が出たかどうかにも「野菜摂取量」が関係しているようです。

 

トレンド総研調査より

 

 「野菜をあまり食べない子どもほど、38度以上の高熱が出た」という結果となっています。

つまり、野菜をたくさん食べる子どもは風邪を引きづらく、引いたとしてもこじらせないということですね。

  子どもが風邪を引くのは、ある程度仕方のないことですが、長引いたり重症化したりするのはできれば避けたいものです。

風邪予防といえば、手洗い・うがいが基本ですが、食事に気を付けることも予防につながるというのは覚えておきたいポイントです。

 

ベジトレで免疫力アップ! 健康長寿を目指そう

 でも、野菜を食べる子ほど風邪を引きにくいのは、一体どうしてなのでしょう?

小児科医でなごみクリニック院長の武井智昭先生にお伺いしました。

 武井智昭(たけいともあき)小児科医/なごみクリニック院⻑

 平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医⻑)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院⻑として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院⻑に就任。「めざましテレビ」などの情報番組をはじめとしたメディア出演もおこなう。

 武井先生によれば、風邪対策には手洗い・うがいに加え、食事や睡眠を通じて「免疫力」をアップさせることが重要とのこと。

免疫力を高めるには「腸内環境」を整える必要があり、野菜には腸内に働きかけて免疫細胞を活性化させる働きが期待できるのだそう! だから、野菜を食べる子ほど風邪を引きにくいのですね。

そして免疫力を高めるという点では、風邪のシーズンだけ一時的に野菜を食べるのではなく、年間通じて意識的に野菜をとることが肝心なんですって。

さらに、ベジトレで子どもの頃から野菜を食べる習慣があれば大人になっても自然と食べるので、糖尿病や動脈硬化などの病気リスク軽減も期待できるんだとか。

さらに、先生はベジトレを進める上でのアドバイスをくださいました。

「まずおすすめなのが、野菜ジュース(わたしはお勧めいたしません)や野菜スープ。野菜嫌いな子どもたちは、形を見ただけで拒否反応を示すことが多いため、まずは食材の見た目を変えてみるのがいいでしょう。(見た目ではなく、まずいからが一番の原因だと思います。本当においしい野菜をあげてください。)そして、ジュースやスープで野菜摂取ができたことをパパやママがしっかりほめてあげると、子どもたちも自信がつくと思います

 宅配サービスで賢くベジトレ!

 とはいえ、そもそもパパママたちは、栄養を考えた食事をとろうと日々心掛け、ベジトレにも取り組んでいることでしょう。それでも、実は野菜の量が足りていないというのが現実です。

 忙しい日々の中、効率的にベジトレしつつ、安心して野菜を食べるなら宅配サービスに頼るのも手! 中でもオーガニックに特化した宅配サービスは、スーパーよりも厳しい基準を設けた野菜のみ取り扱っていることが多くおすすめです。

珍しくておいしい野菜も食べてみよう!

 人気宅配サービス「オイシックス」は、名物「かぼっコリー」等、地元のスーパーではなかなか見かけない野菜に出会えるのが魅力。20分で食事を作れるキットや離乳食、子どもごはんの取り扱いもあり、忙しい子育て世帯には嬉しい!

 身体にも環境にも優しい野菜づくり

 持続可能な農業の推進を追及し、環境にも優しい野菜作りを目指す「らでぃっしゅぼーや」。有機野菜だけでなく、「環境負荷を少なく」を徹底した品揃えに共感する方も多いのでは。ベビー特典もあるので、条件に当てはまるか是非チェックしておきたい!

 有機農産物宅配のパイオニア!

 厳しい生産基準をクリアした農産物のみを取り扱う等、とにかく野菜へのこだわりで選ぶなら「大地を守る会」。1985年から続く有機野菜の老舗宅配サービスで、農家さんとの関係性も厚く信頼度抜群です。

 野菜を食べようと思っても、旬に合わせて選んだり、産地を見たり、おいしいものを見分けたり...... 買い物だけでもちょっと手間がかかってしまいますよね。無意識のうちに自分が好きな野菜や、料理に使いやすい野菜ばかり選んでしまうのもあるあるです。いろんな野菜を継続的に食べるためにも、信用できる宅配サービスを賢く使いたいですね。

  大人も子どももストレスなくベジトレを進めるために、まずは安心でおいしい野菜を手に入れるところから! 毎日野菜をたくさん食べて、風邪すら引かない健康長寿を目指しましょう。

 ※1)調査概要/調査対象:3~12歳の子どもを持つ母親500名(子どもの年齢で均等割付) 調査機関:2018年11月13日~11月16日 調査方法:インターネット調査

※2)厚生労働省が推奨する「4つの食品群の年齢別・性別・身体活動レベル別食品構成」/身体活動レベルⅡ(ふつう)より


 

今日は成人の日。

 新たに成人となられる皆さんに心よりお祝い申し上げます。たっぷりの野菜と読書をお勧めいたします。特に、ノンフィクションといわれる分野の読書も積極的に取り入れてもらいたい分野です。 人生が変わるかもしれません。

 


カロリーゼロ」には副作用がある【予防医療最前線】&今季一番の冷え込み

2019年01月14日 | 健康・病気

 「甘み成分」は糖だけではない

この記事は2018年11月21日サライ.jp掲載記事「「カロリーゼロ」には副作用がある【予防医療最前線】」より転載したものを元に加筆・修正したものです。

 

   多くの人が人工甘味料は糖尿病肥満を防ぐ救世主だと信じていることでしょう。「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」の飲み物や食べ物を選ぶのが当たり前になっている今日ですが、人工甘味料の与える健康への悪影響が研究者の間では懸念されるようになってきました。それでは、どのような健康への影響があるのでしょうか?

■「甘み成分」は糖だけではない

   清涼飲料水などの食品に用いられる甘味物質の代表例は、砂糖をはじめとする「糖類」ですが、それ以外にもグリシンやトリプトファンなどの「アミノ酸」、アスパルテームやサッカリンなどの「人工甘味料」、モネリンなどの「甘味タンパク質」などがあります。これらの甘み成分は、飲み物や食べ物から薬に至るまであらゆるものに含まれていますが、多様な嗜好への対応や加工食品への応用の点から、近年人工甘味料が広く使われるようになってきています。

■人工甘味料はどんなもの?

以下に汎用される人工甘味料として、アスパルテーム、サッカリン、スクラロースをご紹介します。

●アスパルテーム

   多くの食べ物や飲み物から医薬品に至るまで広く使われています。アスパルテームはカラダに入るとすぐにアスパラギン酸、フェニルアラニン、メタノールの3つの化合物に分解・吸収されます。

●サッカリン

   100年以上前から存在する人工甘味料です。ネズミを使った研究でぼうこう癌の発症リスクがあるとされましたが、ヒトではその傾向は認められず「安全」と考えられています。

●スクラロース

   砂糖から作られたものですが、砂糖の一部が塩素に置き換わることで砂糖の600倍もの甘さが生まれます。もともと殺虫剤の原料として開発されたものですが、その後砂糖の代替品として使われるようになりました。

   これらの人工甘味料は「糖質ゼロ」「カロリーゼロ」「〇〇レス」「糖分制限」「ダイエット〇〇」という表示されているほとんどのものに含まれています。具体的には、パンやホットケーキ、ヨーグルト、アイスクリーム、飴・ガム、ダイエットソーダ、炭酸水、プロテインバーなど様々な食品に人工甘味料は使われています。

■人工甘味料の5つのデメリット

   人工甘味料の最大のメリットは、これまで「健康」を気遣って制限していた食べ物・飲み物を気兼ねなく楽しめる点でしょう。しかし、人工甘味料の与える健康への悪影響も頭に入れておかなければいけません。人工甘味料の与える健康への悪影響は昔から懸念されており、人工甘味料に関する92%の論文でその有害作用について書かれていると言われています。(*1)その中には意外なものも。例えば、カロリーゼロならダイエットに役にたちそうと思いがちですが、体重が増える・糖尿病になる可能性がある、など予想に反する研究結果が報告されています。以下に人工甘味料の代表的な5つのデメリットを解説します。

脳機能が阻害される

   アスパルテームは体に入った直後に吸収・分解されフェニルアラニンになります。すると、急速に血中のフェニルアラニン濃度が上昇し、セロトニンなどの脳内伝達物質の分泌が阻害されることがわかっています。(*2)

免疫力が落ちる

   人工甘味料の摂取により腸内に悪玉菌が増えると言われています。スクラロースのような人工甘味料は体内で消化吸収されないので小腸の壁を傷つけたり、善玉菌を減らしてしまいます。(*3)腸内環境が悪化することで免疫力が落ちてしまうことがあります。

栄養の吸収が落ちる

   上記のような腸内細菌の変化に加え、人工甘味料の種類によっては、腸内のpHが上がりアルカリ性に傾くこともあります。腸内環境がアルカリ性であると、栄養素の吸収が落ちてしまいます。(*3)お通じの色が濃い茶色〜黒色の人は腸内がアルカリ性の可能性がありますのでご注意を!

糖尿病のリスクが増える

   人工甘味料とショ糖を食べた時の血糖値やインスリン感受性を調べたところ、人工甘味料を食べた時の方がショ糖を食べた時よりインスリンの感受性が23%減り、血糖値のピークが高くなってしまったという報告があります。これは、糖分の取りすぎによる血糖値の異常ではなく、人工甘味料が糖代謝に何らかの悪影響を及ぼすものと考えられています。(*4)

体重が増える

   ヒトと動物の両方の実験結果から、人工甘味料を長く摂取していると体重増加と関連することがわかっています。一方、人工甘味料を使ったから体重が減った、という研究結果はほとんど存在しません。さらに、人工甘味料の使用はメタボ糖尿病高血圧、心疾患のリスクを高めると報告されています。(*5)

■人工甘味料の代わりにこれを使おう!

上記の理由や栄養価の点から、より健康な天然甘味料を求めるのであれば、次の5つを日常生活に取り入れてみましょう。

●ステビア

   ステビアはハーブの一種で2000年以上前から砂糖の代わりの甘味料として使われています。砂糖の200倍の甘さがあり、食後血糖を改善する作用があることがわかっています。熱でも変成しないため、加熱料理でもその効果を享受できます。

●生ハチミツ

   生ハチミツは酵素の他に、抗酸化物質やビタミン、ミネラルを含みます。これは加熱調理しないようにし、ヨーグルトに入れたりトーストに塗るようにして使うといいでしょう。

●メープルシロップ

   メープルシロップは24種類の抗酸化物質を含み、亜鉛やマグネシウム、カリウムなどのミネラルを豊富に含みます。加熱で変成しないためクッキーやケーキにも用いることができます。

●ココナッツシュガー

   ココナッツシュガーはビタミンとミネラル、短鎖脂肪酸やポリフェノールなどの抗酸化物質、食物繊維を含みます。これはテーブル砂糖の代替として使うことができます。(*6)

●黒糖蜜(モラセス)

   モラセスはテーブル砂糖と比べ非常に栄養価の高い生砂糖になります。ハチミツなどと比べてポリフェノール含有量が多く抗酸化力も強いことが特徴です。(*7)

* * *

   以上、人工甘味料の現状と健康への悪影響、人工甘味料の代わりに使える栄養価の高い天然甘味料について解説しました。人工甘味料のおかげでこれまで我慢していたものが食べられるようになったり、新しい味の商品が開発されたりと我々の食生活を豊かにしてくれているのは事実です。そして、「カロリーゼロ」や「糖質ゼロ」を選ぶことで健康に気を使っていると感じている人も多いでしょう。しかし、人工甘味料はダイエットにいいどころか体重を増やすこともありますし、その他様々な健康への悪影響があることを忘れないでください。人工甘味料のいい面・悪い面を理解し、「カロリーゼロ」に頼るのもほどほどに、自己管理の意識をあげましょう。

 


今季一番の冷え込み

 今朝の最低気温ー23.5度。一時、トイレの水も出なかったがポータブルストーブを持っていくと5分ほどで直った。

 昨日は札幌まで出かけ、帰ってきたら0時を超えていた。ストーブは微小にしておいたのだが、帰ってきた時は一桁代だった。
 車を娘のところにおいて、久しぶりに札幌市内を歩いた。ある本を探して3件の本屋をのぞいたがどこにもなかった。

 ちょっと歩くと万歩計は1万を超えた。

 写真をアップしようとしたらエラーが発生し、PCに取り込めない。困った。


スマトラ島の森を守る、パーム油の小規模農家支援

2019年01月12日 | 社会・経済

 

2019年01月11日

インドネシアやマレーシアでは、世界一消費されている植物油・パーム油の原料となるアブラヤシの農園開発によって熱帯林が大規模に消失。国際的な問題になっています。

 
   世界一消費されている植物油であるパーム油。総生産のうち約40%を担うのは「小規模農家」と呼ばれる約300万人の生産者です。過去数十年にわたり、パーム油の生産は、大規模な森林破壊などの問題を引き起こしてきました。これを食い止めるためには、小規模農家の人々と共に取り組んでゆくことが欠かせません。2014年からWWFジャパンがWWFインドネシアと協力して実施してきた小規模農家の支援の進捗を報告します。

 

森林減少とパーム油の生産


   パーム油は、日本では2番目に多く使用されている植物油です。 即席めんや、菓子パン、ポテトチップスなどの加工食品に80%以上使用される一方で、洗剤や化粧品にも使用され、生活に欠かせない油となっています。 総生産の約85%を担うインドネシアやマレーシアでは、これまでアブラヤシの農園(プランテーション)開発により熱帯林が大規模に消失し、国際的な問題として叫ばれてきました。

   この問題に対し「パーム油を使わなければ良い」という意見がありますが、これは必ずしも問題の解決にはなりません。 理由は、パーム油が現状、地球上でもっとも効率よく生産できる植物油だからです。 他の作物から植物油を採ろうとすると、さらに広い土地が必要になるため、さらなる森林破壊に繋がる恐れがあるのです。

   そこで、持続可能なパーム油の生産と利用が当たり前になることを目指して、WWFは「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」の発起を提唱。2004年に企業や関係団体とともに、その設立を実現しました。 現在、世界で流通するパーム油の約19%がRSPO認証油、つまり野生動物の生息地などの貴重な森を切り拓かず、持続可能に生産されたパーム油に切り替わっています。

 

小規模農家が生産地域で抱える問題


   パーム油の原料は、農作物であるアブラヤシの実。 その生産を担っているのは、主にインドネシア、マレーシアを中心に広がる、数千~数万ヘクタールに及ぶ、大企業による大規模なアブラヤシのプランテーションです。 しかし一方で、世界で流通するパーム油の約40%は、約300万人の小規模な農家により生産されています。

小規模農家と大企業、大きな違いは、その「生産性」にあります。 これは小規模農家に、その生産性を大きく左右する肥料や除草剤を購入する資金、また栽培に関する十分な知識がないことなどが原因です。

   個人経営で取引できる総量も少ないため、直接搾油工場に販売することができず、仲介業者に安い価格で売らざるを得ない状況もあり、収益の低さに悩まされている農家も少なくありません。 そして、収益を上げるために、農園面積を広げ収量を増やそうと、新たに森林を伐採してしまうケースも発生していました。

   これまで、大企業が保有する搾油工場や農園を中心にRSPO認証取得の取り組みが広がってきていますが、小規模農家の人々が認証取得に取り組むには、根本的に知識が不足している状況にあるため、サポートが必要とされていたのです。

   そこでWWFジャパンは、WWFインドネシアと共に、小規模農家が森を破壊することなく、持続可能なパーム油の生産に取り組めるよう、2014年からスマトラ島、リアウ州での活動を推進してきました。

 

スマトラ島 リアウ州での取り組み


   スマトラ島は、インドネシアの西端に位置する熱帯の島です。 首都ジャカルタからスマトラ島の中央、リアウ州の街の空港に移動するとき、飛行機の窓からの景色は、地平線の奥まで続く一面のアブラヤシ農園へと切り変わります。

 スンガイブル村の農家の人々


   リアウ州の首都から車で移動すること約4時間、人口6,000人のスンガイブル村には複数の小規模なアブラヤシ農園が点在しています。 2014年からこれまで、WWFは村内で、合計152.60ヘクタールの農園を経営する82名の生産者による組合を設立し、農園の地図の作成や、持続可能な農法の普及トレーニングなどを実施してきました。 トレーニングの中で利用されてきたツールがRSPOの原則と基準です。この原則と基準には環境的、社会的、また経済的にもベストとなる農園の運営方法が盛り込まれています。

 

現地の人たちの声


   「22年前、僕が初めてこの村に来た時は、村の近くでも、ゾウの声が聞こえていました。それが、やがて聞こえなくなってしまった。でも、RSPOの話を聞いたとき、ゾウのことを思い出して、ぜひやってみようと思ったんです。村の他の農家の人々からも理解を得ていくのは大変でした。RSPOのことを知らない人がほとんどでしたから。でも、今は組合の仲間がいます。みんなで一緒にRSPO認証取得を目指して頑張っています。」

 

WWFインドネシアの現場担当者レタ

 

   こうした現場の取り組みを支えるのは、消費の力であり、責任でもあります。 年間約70万トンものパーム油を輸入し、消費している日本にとっても、これは深いかかわりのある問題です。

   WWFでは、生産地域と一体となる取り組みをインドネシアでも推進しながら、日本でもパーム油を調達し、製品を生産している企業に、RSPO認証の油を使うよう働きかけています。 国境を越えた立場から、WWFはこれからもRSPO認証をツールとした持続可能なパーム油の生産と利用の拡大を、推進してゆきます。

 


 

  氷点下にはならないが、わりと寒い部屋(日当たりは良い)に置いた梅の木の花が咲き始めた。昨年の暮れも近くなった時、高齢者住宅に引っ越す友人から、置き場所がないからといただいたもの。品種も何もわからない。出来たら外に植えてやりたいのだが・・・

 


嘘は、まかり通すわけにはいかん!

2019年01月11日 | 社会・経済

居直りNHKに批判殺到 安倍首相「サンゴ移植」の嘘タレ流し

 

日刊ゲンダイDIGITAL:2019/01/11   

 

 これで公共放送といえるのか――。

  安倍首相は6日、NHK「日曜討論」で、辺野古基地移設工事で希少なサンゴや絶滅危惧種が死滅する恐れについて、「土砂投入に当たって、あそこのサンゴは移植している」「砂浜の絶滅危惧種は砂をさらって別の浜に移す」などと放言。根拠のない話を事実のごとく語っていたが、何のチェックもせずに放送したNHKにも「ウソを垂れ流しか」などと批判が集まっている。

  驚きなのは、安倍首相の“フェイクニュース”を放送したにもかかわらず、NHKが訂正や釈明の姿勢を一切見せていないことだ

 辺野古問題に詳しいジャーナリストの横田一氏が8日に、①琉球新報の指摘通り事実誤認ではないか②訂正放送の予定はあるか③首相の事実誤認発言を放送したことを検証する予定はあるか――とNHKに文書で問い合わせると、次の回答だったという。

「番組内での政治家の発言について、NHKとしてお答えする立場にありません。また、他社の報道についてはコメントいたしません」(広報部)

 法大名誉教授の須藤春夫氏(メディア論)がこう言う。

「国民に安倍首相の発言を伝える必要はあるものの、報道機関の役割はあくまで、事実を検証することです。今回の場合、安倍首相の発言を受けて、サンゴをどこへ、どのように移したのか調べなければなりませんでした。言っていることを流すだけでは、“広報機関”と変わりません」

  さらに、公共放送として重大な過ちを犯したという。

 「放送法第4条は、公平公正な報道や多角的な論点を明らかにすることを義務付けています。メディア法学者の中には、この規定が、視聴者と放送事業者との間の倫理規定であり、法的な契約だとみなす人もいます。つまり、第4条は視聴者との向き合い方を定めたものなのです。権力者側の言い分を垂れ流していては、4条違反だとのそしりを免れません」(須藤春夫氏)

   いつまで“政権広報”の立場に甘んじているつもりか。

 

 

保険過少支給、537億円 勤労統計不正 対象延べ1973万人

東京新聞 2019年1月11日 夕刊

 賃金や労働時間の動向を把握する厚生労働省の「毎月勤労統計」の不適切調査問題で、厚労省は十一日、雇用保険の失業給付や労災保険などの過少支給の対象者は延べ千九百七十三万人で、総額は五百三十七億五千万円に上ったと明らかにした。担当職員らは不適切な調査と認識しながら、組織全体で情報を共有していなかった。過少支給のあった全ての対象者に不足分を追加給付する。

 根本匠厚労相は記者会見し「極めて遺憾で、国民の皆さまに心からおわび申し上げる」と謝罪した。事実関係を調査した上で関係者の処分を含めて対応したいと述べた。組織的な隠蔽(いんぺい)は否定した。勤労統計は労災保険の算定基準や政府の経済指標などに幅広く用いられる「基幹統計」。信頼性が根本から揺らいでいる。

 過少支給の内訳は、雇用保険が延べ約千九百万人、金額は約二百八十億円。労災保険は年金給付が延べ約二十七万人で約二百四十億円、休業補償が延べ約四十五万人で約一億五千万円。船員保険は約一万人で約十六億円だった。さらに、事業主に支払う雇用調整助成金でも過少支給が約三十万件、約三十億円分あった。

 勤労統計は厚労省が都道府県を通じて行い、従業員五百人以上の事業所は全て調べるのがルールだ。しかし東京都内で該当する約千四百事業所のうち三分の一程度しか調べていなかった。こうした調査手法は〇四年から始まり、適正に調査した場合に比べ平均給与額が低く算出されていた。

 さらに、少なくとも一九九六年からは調査対象として公表していた全事業所数より約一割少ない事業所数しか調べていなかった。

 

◆説明のポイント

▽雇用保険の失業給付や労災保険などの過少支給の対象者は延べ1973万人。総額は537億5000万円。

▽担当職員らは不適切な調査と認識しながら、組織全体で情報を共有していなかった。

▽過少支給のあった全ての対象者に不足分を追加給付する。

▽不適切調査は1996年から始まり、2004~17年までの14年間は平均給与額が低く算出されていた。


 

 今日は予定していたことが1つキャンセルとなり、思った以上に早く帰ってきた。ニュースを見ていると腹が立ってくる。 一国の総理が「フェイク」を垂れ流し、資料・文書まで改変してしまう。「国の機関」の大部分がこのようになってしまったら、何を信じて生活できるだろう!特にそれを検証し、国民に明らかにしなければならない「みなさまの公共放送」NHKの姿勢は重大だ。「政府機関」にまだまだ国民をだましているものがあるかもしれないのだ。それを検証するのは誰なのか?「受信契約」拒否も考慮すべき事態である。


雨宮処凛がゆく!第470回:寿町の火災から、「寄せ場化する」この国を思う

2019年01月10日 | 社会・経済

2018-2019年始年末

 

所ジョージさんがいい歌うたっているじゃないですか!
歌はへたくそだけど・・・

今日2つ目の更新です。明日はできないと思いますので。


 

 雨宮処凛がゆく!第470回:
  寿町の火災から、「寄せ場化する」この国を思う

   マガジン9  https://maga9.jp/190109-3/

 2019年1月9日

 この年末も、都内や横浜の炊き出し現場を回った。

 渋谷、池袋、横浜寿町、山谷。

 役所が閉まる年末年始、住む場所を失うなど生活に困窮した人々に食事を振る舞い、生活相談に乗るなどの取り組みが全国各地で行われている。そんな場所を訪れたのだ。

 渋谷では公園で集団野営するための毛布が足りなくなりそうとのことで寄付を呼びかけ(寄付してくれた皆さん、ありがとうございます!)、池袋では、生活相談、医療相談に多くの人が列を作り、衣類配布にもたくさんの人が並んでいた。寿町ではなんと1200食の年越しそばが完食。少しだけ配食を手伝ったのだが、行列が続いているのに途中で天かすが切れ、ネギもなくなるという事態に焦ったものの、具なしのお蕎麦に誰も文句も言わず喜んでくれたのが救いだった。大晦日の夜は、山谷の路上でみんなで年越しそばを食べた。

 そうして年が明けた1月4日、あるニュースが飛び込んできた。大晦日に訪れた横浜・寿町の簡易宿泊所で火災があり、2人が死亡したというのだ。亡くなったのは、60代男性と80代の女性。男性3人が重症を負うなど、計13人が負傷したという。

 もしかしたらあの日、年越しそばに並んでいた人の中に亡くなった人や負傷した人がいたのかもしれない…。そう思うと、目の前が暗くなった。同時に、「またしても簡易宿泊所か…」という思いが込み上げた。

 なぜなら、ここ数年、簡易宿泊所や類似施設での火災が相次いでいるからである。2015年5月には、川崎の簡易宿泊所で火災が起き、11人が死亡。17年5月には、北九州のアパートが全焼して6人が死亡。アパートは実質、簡易宿泊所だったようである。また、18年5月には、秋田県横手市のアパート火災で4人が死亡。住人24人のうち17人が精神科に通院しながら社会復帰を目指し、12人は生活保護を利用していたという。そして18年1月には、生活困窮者が住む北海道・札幌市の共同住宅が全焼し、入居者16人のうち11人が死亡。

 これらの火災に共通するのは、高齢、単身男性が多く住む場所であること。その多くが生活保護を利用していること。また多くが身寄りがなく、亡くなったあとの遺体・遺骨の引き取り手がないケースも珍しくないということなどだ。

 火災の一報を聞いた時、大晦日の寿町の公園で目にしたある光景を思い出した。それは炊き出しの手伝いを終え、トイレを借りようと公園から近いボートレース場外舟券売り場が入る建物を訪れた際のこと。

 大晦日の夕方だというのに、そこは大賑わいだった。雰囲気は、室内の場外馬券場といった趣。レースの様子がテレビに映し出され、集まった人々は画面を食い入るように見つめている。圧倒されたのは、そこにいるほぼ全員が高齢の男性だったこと。車椅子の人もいれば、杖をついた人もいるものの、圧倒的に「高齢男性」ばかり。

 その光景を見て、改めて、寿町には「高度経済成長」の矛盾が凝縮されていることを痛感した。もちろん、寿町の炊き出しに並んでいた人も多くが高齢の男性だった。しかし、炊き出し現場には老若男女のボランティアが多くいるし、学生もいれば子どももいる。行列に並ぶ中には若い世代もいれば、高齢女性の姿もちらほらある。が、大晦日の夕方の場外舟券売り場には本当に高齢男性の姿しかなく、なんだか圧倒されたのだ。

 寿町は、山谷、大阪の釜ヶ崎と並ぶ「ドヤ街」のひとつである。ドヤ街とは、日雇い労働者が多く住む街で、簡易宿泊所が多く立ち並ぶところだ。山谷、寿町、釜ヶ崎は日本三大寄せ場とも呼ばれ、高度経済成長の頃は、建設現場などで働く日雇い労働者が大量に必要とされたことから多くの人が集まった。しかし、景気が悪くなると、日雇い労働者たちは切り捨てられた。それだけではない。怪我をしたら、病気になったら、高齢になったら切り捨てられた。そして今、そんな元日雇い労働者がドヤ街に多く暮らしている。

 神奈川新聞の「寿町火災 超高齢化・日本の縮図 集合住宅共通の課題」によると、寿町の簡易宿泊所の宿泊者数は17年11月1日時点で5728人。うち60歳以上は3894人(67.9%)、身体障害者数は387人(6.7%)。宿泊者の大半が単身高齢の男性で、8割以上が生活保護を利用しているという。「日雇い労働者の街」から「福祉の街」へと変貌していった寿町。これは何も寿町だけの話ではなく、山谷でも釜ヶ崎でも同じことが起きている。ちなみに、今回の火災で亡くなった60代の男性と80代の女性も身体が不自由だったと報道されている。

 そんな状況を見て強烈に思うのは、これは他人事ではまったくなく、ロスジェネ世代に今後起きうる「未来予想図」そのままかもしれないということだ。家族形成、資産形成の機会のないまま、そして非正規のまま40代に突入したロスジェネたちは私の周りにも多くいるからだ。

 私が貧困問題に関わり始めた13年前(06年)、よく耳にしたのは「都市が寄せ場化している」という言葉だった。山谷、寿町、釜ヶ崎で起きてきたような「日雇い労働者のホームレス化」という問題が、若者たちの間で進んでいるという問題意識を多くの人が持っていた。特に当時は「日雇い派遣」が問題視されていた頃。若者たちはドヤではなくネットカフェに泊まり、寄せ場の手配師からではなく、携帯で仕事を受けて日雇い派遣に出かけていく。

 すでに賃貸物件などの住む場所を失った彼らは広義のホームレスであり、「都市がモザイク状にスラム化している」ことをさまざまな人が指摘していた。それから、10年以上。現在、日雇い派遣の規制は厳しくなったものの、雇用の安定化は一向に進まず、非正規雇用率は13年前の33%から37.3%に増加。十数年前までは一部の寄せ場のみで起きていたことは今、当たり前に全般化した。現在、この国では、ネットカフェに住む場所を失った人たちが一定数存在することを多くの人が知っているし、それは都市の普通の光景になっている。

 そんな「都市の寄せ場化」が指摘されて10年以上。巷では「景気回復」と言われ、新卒の雇用状況が改善された、正社員数が微増した、と言われるが、その恩恵はロスジェネにはなかなか届かない。今回まわった炊き出しにも、30〜40代と思われるロスジェネの姿が目立った。実際、年末年始の支援を終えた「世界の医療団」も、Twitterにて「目立ったのは30〜40代、路上生活の経験が浅い方たちが寒さをしのぐ術を知らず、話すうちに選択肢のない環境で生きづらさを抱えていることに気付く」と書いている。

 なぜ、毎年、炊き出しを回るのですか、とよく聞かれる。自分でもよくわからない。だけど私は、自分たちロスジェネが生き延びるヒントを模索するために、毎年現場をめぐるのかもしれないと、ふと思った。


雨宮処凛「生きづらい女子たちへ」77 女が「加害者」になる時代

2019年01月10日 | 社会・経済

              雨宮処凛「生きづらい女子たちへ」77

女が「加害者」になる時代

 

Imidas連載コラム2019/01/09
https://imidas.jp/girls/?article_id=l-60-077-19-01-g421

   最近、安居酒屋で友人と飲んでいたら、近くの席の「女子会」が「大フィーバー」していた。年の頃は50〜60代だろうか。5人ほどの女性たちはすでに泥酔状態で「男社会」への鬱憤をぶちまけている。

 上司や同僚らしき人の悪口、女性差別を広めるようなタレントやテレビ番組への罵詈雑言、女性蔑視発言をする政治家への憤り、女性が生きづらい社会への不満。聞こうとしなくても聞こえてしまう声のデカさに苦笑いしつつも、その多くが共感できるものだったのだが、話題が「旦那の悪口」になった途端、話はあらぬ方向へと向かっていった。

 「もうアンタ、若い男買うしかないよ!」

  一人がそう言ったのだ。

 何がどうしてそんな話になったのか、詳しいことは覚えていない。が、ニュアンスとして、この盤石な「男社会」や何もわかっていない「夫」、はたまた世の「男たち」への「復讐」として、我々女は「若い男を買うしかない」という結論に達したようなのだった。それこそが、自分たちを救う唯一の道、それこそが私たち女性の解放! というような。

 女性たちはその手の話をよくしているようで、「それじゃあ買うか! ギャハハハ!」などとあけすけな感じで盛り上がっている。見た目はどこにでもいる「普通のおばちゃん」たちが、「若い男を買う」とかそんなことで盛り上がっている姿は結構衝撃で、何だか見てはいけないものを見てしまった気がしてドキドキした。というか、それ以前の会話の内容に共感を覚えていたため、突然「買春」の話になったことがショックだった。

 だって、そんなの「女性の解放」でもなんでもなくて、「昭和のオッサンの模倣」でしかないと思うからだ。おそらく彼女たちがもっとも嫌う、無神経で傲慢で暴力的なオッサン。その振る舞いをコピーすることでしか「救われない」なら、悲しすぎると思うのだ。

 衝撃を受けつつも、そんな話をする女性たちに遭遇したのは初めてのことではなかった。もう10年ほど前になるが、女性たちの集まりで、同じような話を耳にしたことがあった。女性だけの宴席で、参加者の多くはやはり50〜60代。どうせ男たちは若い女を買ってるのだから、自分たちだって若い男を買えばいい、そうすることが「男女平等」というような主張に、何とも言えない違和感と後味の悪さを噛み締めたことを覚えている。

 だけどまだ、「若い男を買えばいいじゃんギャハハハ!!」なんて盛り上がってるだけいいのかもしれない。なぜなら、彼女たちはそう口にすることで、いろんな思いを発散してるだけ、という気がするからだ。

 みんなで露悪的になって盛り上がり、決して実行には移さない。おばちゃんたちの口ぶりからは、何となくそんな空気を感じた。本当に実行するのであれば、そんなことをあけすけに語らないだろう。買春話を堂々とできる男性とは、やっぱり根本的に立ち位置から何から違うのだ。

 さて、買春と言えば、この国では90年代に「援助交際」という言葉が登場し、何やら買春がマイルドな感じに言い換えられたという歴史がある。しかも最近では、「パパ活」なんて言葉もある。パパ活とは、若い女性が年配の男性と食事やデートをすることで金銭的な対価をもらう行為。基本的に肉体関係はないとする説から、「ただの売春の言い換え」という説もあり、幅があるようだ。

 一方、パパ活ならぬ「ママ活」という言葉もあり、2018年11月には、福岡の男子高校生が「ママ活」で補導されたことも報道された。補導されたのは高校2年生(17歳)。「福岡 17さい ままかつしたい#ママ活募集」などをネットに投稿。警察が身分を隠して連絡をとると「2時間カフェでまったり会うので7000円」と返してきたという(「『ママ活』で補導された17歳男子高校生とのお茶の値段は?『パパ活』より市場は活性化」、AERAdot.、2018年11月9日、週刊朝日)。

 また、18年12月には愛知の高校生も補導されている。「愛知住みでママ活したいな〜、金欠だし #ママ活 #高校生 #誰でもいい」と投稿し、30代女性を名乗る捜査員にひっかかったという経緯だ。この高校生は相手に3000円を要求していたという(「『ママ活』の高2男子補導 3千円求め投稿」、産経ニュース、2018年12月7日)。どちらのケースもおとり捜査にまんまとひっかかり、相手が警察だとも知らずにノコノコ待ち合わせ場所に現れて補導となった。

 それにしても、と思う。なぜ、男子高校生とカフェで2時間過ごして7000円も払わなければならないのか、と。しかも高校生は、自分がイケメンだと思っているのだ。一体どこの世界に「自分がカッコいいと思い込んでいる高校生」とお茶をしたい大人の女性がいるのか。そんな高校生、絶対頭悪いのにプライド高くて地獄の2時間に決まってるじゃないかと思うのだが、そういうニーズはあるようである。

 このことにも驚くが、もう一つ驚くのは90年代の女子高生ブームとの違いだ。援交、ブルセラという言葉が一世を風靡したあの頃、世間の目は女子高生にばかり向けられ、同世代である「男子高校生」は存在そのものを忘れ去られていたわけだが、現在は、「パパ活」が注目されてすぐに「ママ活」が登場している。男子高校生が「自分も金になる!」「年上の女に需要がある!」と気づいたわけである。

 これって結構すごい「気づき」だ。この20年間で、何がどう変わったのだろう? 少なくとも、「女性の地位の向上」なんかでは決してない。「女の性欲」が市民権を得た? 男子も自らを商品化することが当たり前になった? いろいろ予想できるけど、注目に値する地殻変動だと思う。

 さて、最近、そんな「ママ活の瞬間を目撃した!」と私に鼻息荒く知らせてくれる人がいた。

 それは友人のA子。私がキャバクラで働いていた時の同僚で、当時から20年も経つのにしょっちゅう遊んでいる女だ。A子は会うなり「ちょっと聞いて!」と言うと、「この前、ババアが男子高校生買ってるとこ見た!!」と叫んだ。

 それは彼女があるラブホテル街を歩いていた時のこと。なんでも暇すぎて時々ホテル街を私的に「パトロール」するらしいのだが、そこで彼女は目撃したというのだ。

 平日の真っ昼間、ホテルから出てきたのは制服姿の男子高校生と、一見してその母親より上とわかる世代の女性。ホテルの前で別れる二人。驚いたA子は、信じられない行動に打って出た。女性と別れた男子高校生に「あんた、今何やってたの?」と声をかけたというのだ。

 「え……、け、警察の方ですか?」

 すっかり焦った高校生はそんなことを口にし、A子はよせばいいのに「まぁ……」とか勿体ぶって言葉を濁し、「でも今日は私、仕事じゃないから、話だけ聞かせてもらえる?」と「非番の婦人警官」のようなことを言ってたたみかけたのだという。

すると男子高校生は売春していたことをあっさり認め、先ほどの女性から1万円もらったことを告白。しかも、ホテルの中にはもう一人、友人がいるとA子に告げたのだった。しかも高校生によると友人は「童貞」とのことで、非常に心配している様子。結局、A子は高校生と二人、童貞の友人が事を済ませて出てくるのをホテルの前で待ったという。

 しばらくして現れた友人。一緒にホテルを出てきたのは、やはり母親より年上とおぼしき女性。女性と別れた友人に二人が声をかけ、「どうだった?」と聞くと、友人はがっくりとうなだれたという。話を聞くと、精一杯努力はしたものの「できなかった」とのこと。そのことで機嫌を損ねた女性には1円ももらえなかったという。

「でもアンタ、それ以外のことはいろいろされたんでしょ? あのおばさんに、いろんなことやらされたんでしょ?」

  前のめりにA子がそう聞くと、友人は涙目で頷いたという。

かわいそうになったA子は、「1万円もらった」という高校生に、「あんた、友達でしょ? その1万円からこの子に3000円あげなよ」と勝手に分配を決め、高校生は言われた通りに友達に3000円を渡したという、いい話だかなんだかさっぱりわからない顛末を話してくれたのだった。

 ちなみに話を聞いている間じゅう、私の頭に浮かんでいる男子高校生はホストっぽい髪型のチャラいイメージだったのだが、A子によると「丸坊主の高校球児みたいな感じ」とのことで、田舎からたまたま東京に来ている様子だったという。

 修学旅行だろうか? それで東京に来るからママ活を思い立ったのだろうか? おこづかい稼ぎをしたかったのだろうか?

 「東京の女はエロいらしいぞ」

 「しかもママ活とか言って、金くれるらしいぞ」

 おそらくそんな会話が坊主頭二人の間で交わされたのだろう。しかし、一人は1円ももらえなかった。

 では実際、彼らを「買った」側の女性たち、「ママ活」をする女性たちは、どんな人たちなのだろう? そう思ってネットで「ママ活」と検索すると、「ママ活」にはマッチングアプリまであるようで、カジュアルに利用されているようである。

 お茶をする、食事をする、デートをする、肉体関係を持つ。人によってやはり段階は様々なようだ。また、ママ活をする人々の理由として、夫が浮気してるから、という人もいれば、癒されたいという人もいる。セックスレスを理由にあげる人もいて、ママ活はごくごくありふれた不満や悩みがきっかけで始める人も多いようだ。

 しかし、未成年との間に関係を持つことは、一歩間違えれば「逮捕」が待っている。例えば18年10月には、福岡県で31歳の女が15歳の男子高校生にわいせつな行為をした容疑で逮捕されている。また、17年10月には、高知で41歳の女がネットで知り合った男子高校生に自宅でみだらな行為をしたとして逮捕されている。

 前者の容疑は県の青少年健全育成条例違反、後者は青少年保護育成条例違反で、ズバリ「淫行」だ。また、長野県で35歳の女性が中学生と性的行為におよんで逮捕されたケースでは、「児童買春」で逮捕されている。

 いずれにしても、女で「淫行」「児童買春」で逮捕されるって、最悪のパターンだ。しかも実名報道されている人もいる。このようなことから見えてくるのは、「男性が自らの性を商品化する時代」は、「女性が加害者になる時代」でもあるということだ。

 これまで、性犯罪において女性は「被害者」の側にいた。加害者には、ほとんどなりようがなかった。しかし、今はそうではないのだ。それなのに私たちは、「加害者にならないための教育」なんて一切受けていない。小さな頃からどうやったら「被害者にならないか」は教えられているものの、自らの加害性には恐ろしいほど無自覚だ。

 冒頭で、「若い男を買う」なんて、オッサンの模倣だと書いた。しかし、加害者になる可能性まで考えなければならない今の女性たちは、どんどん「オッサン化」を余儀なくされているのかもしれない。自由恋愛だと思ってたら淫行で逮捕された。そんなオッサンを笑う女も同じ理由で逮捕される時代が、今、到来しつつある。


日本の「移民・難民政策」は?—国境なき医師団(MSF)インターナショナルのジョアンヌ・リュー会長が訴え

2019年01月09日 | 社会・経済

助けを求める人が死んでいく 難民・移民の人としての尊厳はどこに?

2018年12月12日掲載
https://www.msf.or.jp/news/detail/headline/mul20181212et.html?utm_medium=email&utm_source=elo1901&utm_campaign=mailmagazine_&utm_content=news

多くの難民・移民を溺死から救助している海難救助船「アクエリアス号」は、政治協調により活動停止に追い込まれた多くの難民・移民を溺死から救助している海難救助船「アクエリアス号」は、政治協調により活動停止に追い込まれた

強奪や暴力、レイプ…世界中で、多くの人びとが命をも脅かす危険な旅を続けている。母国での紛争や暴力、貧困などから逃げるため、難民・移民となることを選ぶ人びとは、その旅の途中、また避難先でも壮絶な苦しみを味わっている。12月10日、11日にモロッコのマラケシュで開催された「移民に関するグローバル・コンパクト」の政府間会議で、国境なき医師団(MSF)インターナショナルのジョアンヌ・リュー会長が現状を変えるよう訴えた。 

MSFインターナショナル会長のジョアンヌ・リュー
MSFインターナショナル会長のジョアンヌ・リュー

本日は、移民の課題に取り組むためこの場にお集まりくださり、ありがとうございます。

これからお話しすることは、ひとつの国が単独で解決できる問題ではありません。多くの国が力をあわせ、そしてここが重要なのですが──人間的に、問題に取り組む姿勢が必須です。

12月に入り、国境なき医師団(MSF)は地中海における海難捜索・救助活動の中止を余儀なくされました。政治的規制や法的妨害など、悪意のある協調介入があり、MSFが人命救助の活動をしていた海難救助船「アクエリアス号」が、港を出航する許可を得られないまま、地中海で溺死する恐れがある人を助けられずにいるのです。
 

アクエリアス号の活動で救助された難民のボート © Kenny Karpov/SOS MEDITERRANEEアクエリアス号の活動で救助された難民のボート © Kenny Karpov/SOS MEDITERRANEE

アクエリアス号の活動が妨害されたことで、人道的に、また法律の上でも当然の責任、海で「命を救う」ということが、消えてしまいました。

先週は、15人がリビア沖のボートで足止めされ、飢えと渇きで亡くなりました。同じように、誰の目にも触れることなく死んだり溺れたりしている人が、他に何人いるでしょうか?

欧州の市民や市長は、救助された人びとの受け入れに動いて、人間性を見せています。その一方で、欧州諸国の政府は捜索・救助体制の整備を拒み、さらには意図的に援助団体による救命活動を妨害しているのです。

命を救うことに議論の余地はありません。命を救うことは私たちの務めであり、私たちはそのために闘い、皆さまにも支持し守ってもらえるよう、お願いします。命を救うことはまぎれもなく、国連グローバル・コンパクトの礎なのです。

加盟諸国がグローバル・コンパクトの取り組みを支持するかどうかはさておき、どの国も、その国の法律や地域の法律、そして国際法に従う義務があります。グローバル・コンパクトは、どんな場所であっても人を物のように扱うことを禁じています。これは人間としての普遍的な責務です。人びとはさまざまな理由で出身国を離れています。その理由が何であれ、暴力や搾取からの保護を必要としているのです。

地中海を渡る途中で救助された青年 リビアの収容センターで © Sara Creta/MSF地中海を渡る途中で救助された青年 リビアの収容センターで © Sara Creta/MSF

世界各地で、数万人が移動しています。それらの人びとは、いきなり消えていなくなったりはしません。南アフリカの国境やメキシコの国境、マレーシア、インドネシア、欧州の沿岸、リビアからナウル、紅海まで、至るところにいます。MSFの医療チームは、彼らの姿を通じて、現行の残虐な移民政策を目の当たりにしているのです。

人びとの身に降りかかっている激しい暴力と苦しみに、私たちは衝撃を受けています。各国の法規制の間に捕らわれている人、理不尽に勾留されている人、人身売買業者の餌食になっている人…。移民に関する公的な政策が、何百万人もの苦しみに拍車をかけています。

私たちは、現実と向き合わなければなりません。移民を思い留まらせるための非人道的な政策は、彼らを止めることはないのです。むしろ、弱い立場にある人びとを食い物にする犯罪組織や、腐敗した当局に肩入れしています。立場が弱い人びとを犯罪者扱いし、搾取する者たちに容赦なく渡してしまっているのです。

移民に関する政策が単純に現実に基づいていないだけなのか、あるいは腐敗や犯罪行為と意図的に結びつけられた結果なのかは不明ですが、結果は全く同じです。この政策は移民を止められず、そして人の命を奪っています。 

リビアの収容センターでは不衛生な環境のなか多くの難民が勾留され続けている © Guillaume Binet/Myopリビアの収容センターでは不衛生な環境のなか多くの難民が勾留され続けている © Guillaume Binet/Myop

MSFインターナショナルの会長として、私はこの目で悲惨な光景を見てきました。2017年、リビアにある収容センターでは、絶望に打ちひしがれた人びとが汚い部屋に詰め込まれ、捕らわれの身となり、あらゆる希望を奪われていました。

男性も女性も、移動の旅の間に究極の暴力と搾取を経験していました。女性はレイプされた後、お金を懇願するため家族に電話するよう強制されたと言います。保護者がいない未成年者、妊娠中の女性が、医療を受けられないまま地下室に閉じ込められていました。彼らの目には涙が浮かび、自由を訴えていました。

メディアではこうした報道が大きく取り上げられ、今日、私たちはそのために集まっていますが、今この時も、ひどい暴力の被害者がリビアの公的な収容センターや、立ち入りできない非合法の牢屋につながれたままなのです。 

リビアの沿岸警備隊に連れ戻され、収容センターへ送られた難民たち © Sara Creta/MSFリビアの沿岸警備隊に連れ戻され、収容センターへ送られた難民たち © Sara Creta/MSF

2018年1月から10月にかけて、リビアの沿岸警備隊は1万4000人を超える難民と移民をリビアへ連れ戻しました。地中海を渡って欧州へ逃げようとしていた人たちを、送還したのです。拷問と残酷な搾取から逃れようと海を渡った人びと、子どもも、収容センターに戻されました。そこに基本的人権はなく、虐待が横行しています。

各国政府の行動は矛盾しています。人びとをリビアへ送り返すべきではないと認めながらも、捜索・救助活動の妨害を企て、非人道的な政策を作り、沿岸警備隊を訓練して装備させ、人びとを無理やり追い返しているのです。 

中南米からメキシコを経由して北米を目指す人びと © Juan Carlos Tomasi中南米からメキシコを経由して北米を目指す人びと © Juan Carlos Tomasi

数週間前、私はメキシコと中南米にいました。そこにいたのは、母国で暴力と脅迫に遭い逃げだした人びとが、逃げた先でまた搾取と虐待に遭うという悪夢の輪にはまっている人びとでした。

人びとは、行く手には苦しみが待っていると知っています。それでも道をたどり始めます。危険を知りながら、歩みを止めません。避難の道中にレイプされる可能性があると覚悟して、女性と少女は避妊します。暴力に満ちた母国と、かすかな希望が見える未来のどちらかを選ばざるを得ないのです。 

母国ホンジュラスで脅迫を受け、メキシコへ逃げる途中で暴力に遭った夫婦 © Marta Soszynska/MSF母国ホンジュラスで脅迫を受け、メキシコへ逃げる途中で暴力に遭った夫婦 © Marta Soszynska/MSF

メキシコでMSFによるケアを受けている移民の68%は、米国に向かう途中で暴力に遭ったと話しています。女性のうち3分の1は性的虐待に遭っています。メキシコで移民と難民に対しMSFが行っている診療の4分の1は、身体の負傷か自傷行為によるものです。

世界中、さまざまな場所で移動している人びとは、同じ思いを抱いています。母国で激しい暴力や絶望的な状態に直面したことで、大きな危険を冒しても避難の旅に出るほうがいいと思えるようになるのです。苦難を生き残った人が選ぶ旅です。そんな風に追い詰められていい人間が、いるでしょうか。 

ナウル島で心のケアを受ける患者 © MSFナウル島で心のケアを受ける患者 © MSF

2018年10月、MSFは太平洋南西部のナウル島から24時間以内に退去するよう行政命令を受け、心の状態が危険な大勢の患者を置いて出ていかざるをえなくなりました。ナウルでは、難民や保護を求める人がMSFの治療を受けており、患者の30%は自殺未遂を起こし、また60%は自殺を考えたことがあると回答しています。 

レスボス島の難民キャンプで暮らすアフガニスタン出身の一家 © Robin Hammond/Witness Changeレスボス島の難民キャンプで暮らすアフガニスタン出身の一家 © Robin Hammond/Witness Change

ギリシャのレスボス島では、難民の子どもたちがグループ療法セッションに出ていました。そのうち4分の1が自傷行為をしたり、自殺願望を抱いたり、実際に自殺未遂を起こす経験をしていました。MSFは1年以上にわたって、難民や移民の心の危機について声を上げてきましたが、なにひとつよい方向には変わっていないのです。

移民を制限することで、「成功している」と言われる政策は、人を犠牲にして「成功」しています。安全とよりよい人生を求めている人びとから、人格を奪い、命を奪っているのです

双子の子どもを連れてイラクを出た難民の一家 © Giuseppe La Rosa/MSF双子の子どもを連れてイラクを出た難民の一家 © Giuseppe La Rosa/MSF

グローバル・コンパクトは、熱い政治論争の中心にありますが、その政治論争では、最も重要な「人命」が軽視されているのです。

今、暴力と貧困から逃れて来る人を犯罪者扱いし、人格を剥奪する協調介入が行われています。人間をまるでウイルスのように描き、恐がり、封じ込めるべき物としか見ていません。

はっきり申し上げます。現行の移民関連の政策は、移動中の人びとをさらにひどい虐待と搾取に追いやっています。今起きているのは、理不尽な勾留、人身売買業者による虐待、性的暴行、売春行為の強要です。

私たちの誰一人にとって、命を救うことは犯罪ではありません。困っている人を助けるのは犯罪ではありません。それなのに、世界中でMSFの医療活動は政治的な妨害に遭い、法的嫌がらせを受け、暴力まで振るわれています。移動中の人を助けようとすると、非難され、嫌がらせをうけたり脅されたりするのです。

それでも、実に多くの個人や地域社会が、世界中で人道的な政策を支持し、苦しみを和らげるために実際に行動しています。扉を開けて、移民を家に迎え入れる人びとも目にしてきました。地域で炊き出しをして人びとに食事を出したり、地元の町で支援を申し出たりする市長もいます。
 

MSFのソーシャル・ワーカーがメキシコの難民センターで女性たちの心のケアをする © Marta Soszynska/MSF

MSFのソーシャル・ワーカーがメキシコの難民センターで女性たちの心のケアをする © Marta Soszynska/MSF

みなさんにお願いします。どうか諦めないでください。私たちはみなさんの支持を必要としていて、みなさんの行動が不可欠です。

MSFは人に思いやりのあるグローバル・コンパクトを歓迎します。今の移民政策がもたらしている、膨大な苦しみを和らげる取り組みを。

移動中の人びとが耐え忍んでいる暴力を、見て見ぬふりは許されません。彼らの絶望を無視してはいけません。今、何が起きているのか知らないふりをしてはいけないのです。

人道的な政策をとりましょう。移民を犯罪者とすることに反対しましょう。命を救う活動を犯罪とすることに反対しましょう。移民は犯罪者ではありません。救命活動も犯罪ではありません。政府代表のみなさんには、行動する力も義務もあります。人の命がかかっているのです。

ご清聴ありがとうございました。
 

移民に関するグローバル・コンパクト」は、2018年12月10、11日にモロッコのマラケシュで政府間会議が開催された。世界各地で、紛争や暴力から逃れるため人びとが移民・難民となり国を超えて移動しているなか、安全で合法な移住の枠組みが整備されることを目的とした取り組み。2016年9月の国連サミットで「ニューヨーク宣言」が採択され、2018年に「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト(移民グローバル・コンパクト)」と「難民に関するグローバル・コンパクト」の採択することが決まった。人道主義的、また人権を尊重した国際移住が行われ、難民や移民がどんな在留資格の状況にあっても、人が人として尊厳を持って扱われることを目指している。 

(「難民と移民に関するグローバル・コンパクト」を「移民に関するグローバル・コンパクト」に修正しました)


またもや切断!

2019年01月09日 | なんだかんだ。

 もう大丈夫であろうと思ったPC。昨夜夕食前にまたつながらず。リンク速度を見ると下りが4000以上あったのがわずか36まで落ちている。そして今は2000代に復活。今朝NTTに電話して11日に来てくれることになったが、その日は札幌の皮膚科へ行く日で留守だと言ったら、外ケーブルだからいなくてもいいとのこと。原因らしきことはほとんど調べたので、あとは太い線を交換するくらいか?らしい。

 そんなわけで、いつアクセスできなくなるかもしれません。ご容赦ください。

 風邪の具合もだいぶ良くなり、熱も朝は平熱ですが、夕方からは37度くらいまで上がってしまいます。まだのどに痛みがありますが、もう普段の生活に戻したほうがいいように思っています。

 


「クイーン」のメイ氏も辺野古請願署名呼びかけ

2019年01月08日 | 社会・経済

  しんぶん赤旗 2019年1月8日(火)

 名護市辺野古への米軍新基地建設工事の中止を求める米ホワイトハウスへの請願署名の呼びかけに、伝説的な英ロックバンド「クイーン」のギタリストで天文学者のブライアン・メイ氏(71)が加わりました。メイ氏は日本時間7日未明、インターネット交流サイト(SNS)を通じ緊急の呼びかけを行いました。

 ツイッターなどへの投稿でメイ氏は「沖縄のかけがえのないサンゴ礁の破壊を止めるために署名する最後のチャンスだ」と投稿。「米軍基地拡張により脅かされている美しいサンゴ礁とかけがえのない生態系を守るために署名を」と訴えました。日本時間7日昼の時点で約8000件リツイートされています。

 市民から広く意見を聞く米ホワイトハウスの請願サイトでは、昨年12月、今年2月24日に沖縄で実施される基地移設の賛否を問う県民投票までの工事中止を求める請願が提案されました。署名期限は7日までで、請願を提案したハワイ在住のロブ・カジワラ氏が2日、「もっと署名が必要だ」と上積みを呼びかけていました。これまで寄せられた署名は18万4000人分以上に上ります。

 日本でも、タレントのローラさんなど多くの著名人がSNSで署名への呼びかけを行っていました。


 まだ署名していない方、この機会に是非お願いします。

https://petitions.whitehouse.gov/petition/stop-landfill-henoko-oura-bay-until-referendum-can-be-held-okinawa

 


われらの年金、だいじょうぶか!?

2019年01月06日 | 社会・経済

18年10~12月の年金積立金運用

過去最悪 14兆円超損失か

しんぶん赤旗 本紙試算

 国民の公的年金の保険料を原資として株や債券で運用する年金積立金管理運用独立行政法人

 

(GPIF)が、2018年10~12月の資産運用で過去最悪の2倍近い、14兆円を超える損失を発生させた可能性があることが、本紙の試算で分かりました。

 東京証券取引所で昨年12月28日に行われた昨年最後の取引終値は、日経平均株価が2万0014円77銭(前年末比12%減)、東証株価指数(TOPIX)も1494・09(同18%減)と、前年比でいずれも大幅な落ち込みとなりました。

 この結果、昨年9月末時点と比べても大幅に下落。また、日本だけでなく世界的にも株価は下落しています。

 一方、GPIFの昨年9月末時点の運用資産は165兆円にものぼります。このうち、国内株式に43・5兆円、外国株式に43・6兆円が投じられていました。

 本紙が12月末時点で、代表的な株価指数などから10~12月の3カ月間の収益率(価格の変動+利子・配当)を推計したところ、国内株式は17%程度、外国株式も16%程度のマイナスとなりました。金利低下が進み国債価格が上昇したことなどで国内債券は若干のプラスですが、外国債券は若干のマイナスとみられます。

 そこで、GPIFの9月末時点の運用資産にこれらの収益率を乗じて計算したところ、14兆円を超えるマイナスという結果になりました。

 資産の運用方法によっては、この試算結果とは若干の誤差が生じますが、GPIFの運用はTOPIXなどの株価指数に連動する方法が大きな比重を占めているため、現実の損失も試算結果に近いものとなりそうです。

 GPIFが公表している過去のデータによると、4半期ベースの損失額が最大だったのは、2015年7~9月期のマイナス7・9兆円です。GPIFが10~12月の運用状況を公表するのは2月初めごろの予定です。本紙の試算通り、14兆円の損失が出ていれば、損失は同期の2倍近い水準となります。

 株価対策に国民の大事な年金資産をつぎ込んできた安倍政権の責任が改めて問われます。


ここにきて、またまたPCの調子が悪い。


『パワハラ不当解雇』 & 万歩計

2019年01月05日 | 本と雑誌

 

 12月17日に紹介した『パワハラ不当解雇』(高橋秀直著)、裁判はまだ続いています。
こちらに「タンポポ保育園」の闘いの模様を紹介しています。
興味のある方はぜひ訪問してください。それだけでも当事者たちには励みになります。

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  • たんぽぽ保育園の名称が「たまちこども園」になりました。
  • たんぽぽ保育園の歴史が消されたことに、元保育士・職員、卒園児の親の怒りが広まっています。

 昨年、携帯の機種変更してから「万歩計」機能を使うようになった。
とにかく、最近は歩くことが少なくなった。サラリーマン時代は通勤に片道20分、さらに仕事は立ちっぱなし、階段を4段上がり、3段上がりなど日常の動作。それが、脱サラして極端になくなった。
農作業で圃場を右往左往しても、かなりしんどい作業をしても歩数はそれほど進まない。
昔は、(と言ってもつい最近のこと、たぶん万歩計を意識してからのことだと思う)動作に無駄がないよう、一つの動作で2つ3つの作業をこなせるように動いたものだ。ところが、最近ときたら歩数を上げるために無駄な動きが多くなった。これが「高齢化」という現実か・・・


平成と憲法 平和の時代を守らねば

2019年01月04日 | 社会・経済

 東京新聞 2019年1月4日 社説

 平成は天皇陛下が「日本国憲法を守る」と述べて始まりました。平和であり続けた時代です。その源泉たる憲法とは何かを再確認したいときです。

 一九八九(平成元)年一月九日。即位後に皇居・宮殿で行われた朝見の儀でのお言葉です。

 「日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、国運の一層の進展と世界の平和、人類福祉の増進を切に希望してやみません」

 天皇が憲法を守ることは当然です。憲法九九条で「天皇又(また)は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ(う)」と定められているからです。

 ◆政府が暴走しないよう

 憲法尊重擁護義務といわれる重要な規定ですが、大切なのは、この一文に「国民」の文字がないことです。これは日本国憲法が社会契約説に立っているからです。

 世界史を見れば、政府は暴走する危険が常にあります。だから、憲法を守るよう命ぜられているのは政府であり、権力を行使する人だけなのです。権力を暴走させない役割が憲法にはあるのです。

 天皇もその一人です。お言葉は憲法に従った宣言なのでしょう。即位の時のお言葉にもう一つ、注意すべきことがあります。同年二月十日の国会開会式でです。

 「わが国は国民福祉の一層の向上を図るため不断に努力するとともに、世界の平和と繁栄を目指し、自然と文化を愛する国家として広く貢献することが期待されています」

 福祉や世界平和、文化などのキーワードが示され、国会議員を前に「使命を十分遂行することを切に希望します」と述べました。

 昭和天皇は在位の前半は激動の時代でした。陸海軍を統率する大元帥の立場は戦争と不可分です。

 ◆戦争のない時代に安堵

 それを継ぐ天皇として、陛下はとくに平和への祈りを強く考えられたのではと推察します。国民の福祉も文化の国も、平和なしで成り立ちませんから…。

 戦争の天皇でなく、平和の天皇でいられた喜びは、昨年十二月二十三日のお言葉でも明らかです。八十五歳の誕生日を迎え、陛下はときに涙声になりつつ、こう述べたのです。

 「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵(あんど)しています」

 そう、平成とは戦争のない時代だったと、後の世にも記憶されることでしょう。心から喜ばしい思いで万感胸に迫ったのではないでしょうか。共感を覚えます。

 確かに即位の八九年という年はベルリンの壁が崩れ、旧ソ連と米国との冷戦が終わった節目にあたります。だから、これからは世界は平和を迎えるのではと、期待が膨らみました。

 戦争とは他国の社会契約を攻撃することだという説があります。冷戦という戦争で、旧ソ連の共産主義国家の社会契約は崩れ去り、ロシアという新しい国家の社会契約へと変更されたのだと…。

 超大国の冷戦が終われば、必然的に世界の戦争も解消されるだろうと思われたのです。

 実際には世界の平和は訪れませんでした。各地で民族紛争や宗教対立が起こり、テロによって、多くの犠牲者が生まれることになりました。今なお、多数の難民が苦しい日々を送っています。

 しかし、日本は平和をずっと守ってきました。戦後七十三年間も戦争に加わることがありませんでした。これは世界的に希有(けう)な国であるのは疑いがありません。もちろん戦争放棄を定めた九条の力のゆえんです。

 さて、その九条です。憲法尊重擁護義務を負った首相が自ら改憲を呼び掛けています。今年は改憲発議があるかもしれません。九条に自衛隊を明記する案です。

 平和国家の外堀は、いつの間にか埋められています。特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安全保障法制、「共謀罪」法…。米国から高額な兵器をどんどん購入し、防衛予算は膨れ上がる一方になっています。

 政府自ら中国や北朝鮮の脅威をあおり、事実上の空母保有や先制攻撃ができる兵器も検討されるありさまです。もはや平和国家というより、アジア諸国からは好戦国に見えるかもしれません。

 ◆軍拡競争の末は戦争だ

 その分、実は日本は危うい状態となるのです。軍拡競争の次に待っているのは戦争なのだと歴史が教えているからです。さらに九条まで手をつければ、戦争への道は近くなります。「九条を改憲しても何も変わらない」と首相は言いますが、要注意です。

 軍縮と平和的外交という手段で平和を築ける知恵を人類は知っています。「戦争のない時代」を続ける努力が求められます。


 三が日を過ぎ、そろそろ普段の生活に戻そうかと思うのですが、今日は町内会の新年会。ところが、どうも体調が思わしくない。昨日から少し微熱があるし、のどが痛い。どうやら年末の疲れが出てきたようで、風邪の諸症状が現れた。そんなわけで、今日の新年会はスルーとなり、可能な限り寝ていた。


<原発のない国へ 福島からの風> 飼料作物から発電

2019年01月03日 | 社会・経済

東京新聞 2019年1月1日 朝刊

 

富岡町の農地で栽培されたソルガム=エコロミ提供

 

 

二〇一一年三月に大事故を起こした東京電力福島第一原発から七キロの福島県富岡町で、飼料作物であるソルガム(コーリャン)によるバイオガス発電の実証試験が一月からスタートする。放射能で農地が汚染された同町。事故から八年近く経過した今も農業はほとんど復興していない。試験が成功すれば農地再生の足掛かりになると期待が高まる。

 サクラ並木で有名な富岡町・夜の森に近い農地脇に設置されたバイオガス発電プラント。昨年末から、大きな筒状の発酵槽に砕いたソルガムの投入が始まっている。発酵したソルガムから大量のメタンガスが発生、風船状のタンクにたまる。一月下旬にはガスエンジンで燃やし、発電試験を開始する手はずだ。電気は照明に使う。

 富岡町で大規模ソーラー発電を管理する「エコロミ」(東京都千代田区)と、福島県飯舘(いいたて)村で太陽光発電に取り組む「飯舘電力」が手掛ける。ソルガムは富岡町や飯舘村の農家に栽培を委託、秋に約四十トンを収穫した。

 「ソルガムで発電できることが証明されれば、農家は利益を得ることができる」。飯舘電力専務の近藤恵さんは言う。プロジェクトの背景には被災地の農業が直面する厳しい現状がある。 (池尾伸一)

農地の横に設置されたバイオガスプラント=福島県富岡町で

 

衰えた農地と町を再生へ 放射能で汚染、富岡町の挑戦

 コメ作りは富岡町の産業の柱だったが、放射能除染のために農地は五~十センチ剥ぎ取られ、山砂が投入され土地は痩せた。セシウムは基準以下となったが、作物を作っても風評で売れるか分からないため、農業を再開できた農地は九百ヘクタールのうち十ヘクタールだけで、ほとんどがさら地のままだ。国がお金を出し雑草を伐採しているが、この予算も二〇二〇年度で終了。このままなら同町の農地は荒れ放題になる。

 

 福島県全体でも、耕作を再開できない農地は一八年三月末時点で一万二千ヘクタールに上る。東京ディズニーランド二百四十個分に相当する土地だ。

 そうした中、エコロミと飯舘電力が着目したのが飼料やエネルギー原料に使えるソルガムだ。伐採後の根や茎をトラクターで土にすき込むことで養分にし、将来の農産物生産に備え地力を回復させる効果もある。

 両社は事業を二〇年度をメドに商業ベースに乗せることを検討する。収益性を高めるためにソルガムの一部を周辺の畜産農家に牛のエサとして販売し、提供された牛のふん尿からバイオガス発電することや、発電の熱をビニールハウスに供給することも計画する。

 事故前に一万六千人いた同町の住民は、約八百人しか戻っていない。エコロミ社長の小峯充史さんは「農地が徐々に再生し、利益を生むようになれば人口も戻っていくのではないか」と期待している。

<バイオガス発電> 有機ゴミなどを発酵させて、メタンガスを取り出し、ガスエンジン発電機を回して発電する。北海道で牛のふん尿を利用した発電が行われているほか、静岡県牧之原市では食品廃棄物から発電している。ガスを取り出すのではなく、有機ゴミを燃やした熱を利用して蒸気でタービンを回すのは「バイオマス発電」と呼ばれる。

<ソルガム> アフリカ原産のイネ科の作物で、日本ではタカキビ、中国ではコーリャンと呼ばれ古くから栽培されてきた。環境耐性が強く収穫量が多いのが特徴。食糧(種子)、家畜飼料(茎や葉)に活用され、近年はエネルギー作物としても注目されている。