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景気拡大最長 不公平感の解消が先だ

2019年01月31日 | 社会・経済

 東京新聞社説 2019年1月31日

 第二次安倍政権下では、円安傾向が定着し平均株価はおおむね二万円台を維持している。

 企業は株の含み益を増やして財務状態がよくなり、全産業の経常利益は二〇一三年度以降過去最高を記録し続けている。

 政権が発足した一二年と昨年を比べると、設備投資も18%程度増え、完全失業率は4・3%から2・5%に改善した。

 数字だけみれば「緩やかに回復している」との判断は説得力があるようにみえる。しかし、なぜ日々の暮らしでそれを感じないのだろうか。

 勤労世帯が自由に使えるお金、可処分所得は、前回の景気拡大最終年の〇八年に月約四十四万二千円だった。だが一七年は約四十三万四千円で、その間は微減微増を繰り返している。

 所得増に勢いがない理由は家計支出が増える中、賃金の伸びが抑制気味だからだ。

 年金や介護などの社会保険料は増加傾向にある。一方で、企業は将来への経営不安から賃金増に消極的だ。

 企業がもうけをため込んだ内部留保は一七年度に過去最高を記録した。これに対し人件費に回す労働分配率は約66%で、石油ショック後の一九七〇年代中頃同様の水準に落ち込んだ。

 雇用面では、ブラック企業が社会問題化しており、数字では捉えきれない現実がまん延している。

 今年は消費税率アップも予定されている。パナマ文書などで、日本人を含む富裕層がばく大な額の節税をしていることが明らかになった。消費税は低所得者に負担が大きい逆進性を持っており、不公平感は一層増すだろう。

 景気という言葉は歌論などにも登場し景色や気配といった意味で使われる。経済情勢の判断にも使うなら暮らしの現実の景色を反映させなければ意味がない。

 戦後最長だと正式認定するのはしばらく先だという。実感を伴う景気拡大を実現するためには、企業経営者は、株主ばかりに配慮するのではなく稼いだ収益をきちんと従業員に払う必要がある。政府は多国籍のIT企業や富裕層への課税に果敢に挑むべきだろう。

 不公平感の解消があってこその景気の回復であるはずだ。