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特報 シリーズ介護保険25年 介護事業者の倒産・休廃業 過去最多

2025年03月22日 | 社会・経済

東京商工リサーチ情報本部情報部課長 後藤賢治さん

「しんぶん赤旗」2025年3月22日

サービス“空白”で社会に損失 真面目な事業者ほど赤字に

 2024年は介護保険制度が始まって以来、もっとも多くの介護事業者が消滅した1年間でした。倒産・休廃業が過去最多を大幅に更新したのです。実態を継続的に調査している民間調査会社・東京商工リサーチ情報本部情報部の後藤賢治課長に、事業者が直面する危機について聞きました。(本田祐典)

 ―倒産や休廃業の動向を教えてください。

 24年の介護事業者倒産は172社と過去最多でした。前年比で約4割増という、予想を上回る急増ぶりです。これまで過去最多だった22年の143件と比べても大きく増加しています。

 24年の休廃業・解散も612社と過去最多で、前年比約2割増でした。たった1年間で、倒産と休廃業・解散の合計784社が市場から消えました。

 ―倒産や休廃業に追い込まれた事業者の特徴を教えてください。

 倒産件数を大きく押し上げたのは、小規模・零細事業者です。従業員10人未満の事業者が倒産の8割超を占め、資本金1千万円未満も8割超となっています。

 休廃業・解散もやはり小規模な事業者が多い。先行きの見通しが立たず、今後も赤字が拡大する懸念から、倒産する前に事業をやめることを選ぶ事業者が増えています。

 サービス別にみると、訪問介護をおもに行ってきた事業者の苦境がきわだっています。24年の倒産172社のうち半数近い81社が訪問介護でした。休廃業では612社のうち7割超の448社を占めています。

 訪問介護の次に多いのは、デイサービスなど通所・短期入所です。倒産56社、休廃業・解散70社でした。

 ―訪問介護が特に厳しくなっている要因は?

 訪問介護はコロナ禍の前から、そうとう効率よくサービス提供しないと赤字を避けられなくなっていました。賃金を増やせず慢性的なヘルパー不足で、高齢化も深刻です。ガソリン代高騰、物価高などでコストも増えてきました。

 コロナ禍では、感染防止で訪問が抑制され、さらに経営が悪化しました。実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」などの資金繰り支援で一時的に倒産を抑制してきたものの、借入金が増加しています。

 これらに加えて、24年4月に訪問介護の基本報酬が2~3%のマイナス改定(報酬引き下げ)となり、倒産・休廃業を増やす要因となっています。

 ―今年は経営環境の改善を見込めますか。

 中小事業者を中心に倒産・休廃業が高水準で続くとみています。物価高などのコスト増がボディーブローのように響き、事業者が赤字を積み上げていくでしょう。コロナ関連の資金繰り支援も今年夏ごろから順次、返済が始まります。

 報酬を引き下げられた訪問介護は、次の改定(27年4月)前に報酬を見直すなど緊急の経営支援策を講じる必要があります。また、行政も支援するなどして、事業者間でヘルパーを相互に応援・派遣できる体制を整えることや、介護用品・資材の共同購入といったコスト削減の仕組みづくりも有効だと思います。

 ―倒産・休廃業の増加による影響は?

 もっとも懸念するのは、介護サービス“空白地域”の拡大です。高齢者が地域での生活を維持できなくなり、都市部への転居や施設入居を余儀なくされます。地域社会の衰退、介護離職の増加など結果的に社会全体の損失につながります。

 介護する家族の多くは40代、50代の中堅社員で、介護離職は企業にとっても大損失です。介護休業制度も十分活用されておらず、離職を防ぐ対策が急務です。

 ―訪問介護のなかでも掃除や洗濯、調理などの「生活援助」は特に報酬が低く、業界大手などは提供を避けています。

 生活援助をおもに引き受けてきたのは、地域貢献や利用者からの評判を重視する中小事業者です。中小事業者が地域から消えると、生活援助を受けられない状況が起こりえます。

 これまで生活援助を提供していた事業者からも、経営を守るためにもう提供できないという話を聞きます。しかし、生活援助は自立支援や重度化予防という重要な役割があります。

 ある事業者は「生活援助をやめてしばらくしたら、利用者の状態が悪化し、より報酬が高い身体介護の依頼が来た。そのおかげで訪問を再開できたが、本来は悪化を防げたはずだ」と話しました。

 真面目な事業者ほど損をする制度になっていないでしょうか。利用者にとって本当に必要なサービスを提供すると採算が合わない。かといって、効率的なサービスに特化するのも理念に反するという悲しい思いを聞いています。

 ―倒産が増加する一方で、介護保険給付の対象とならない「自費サービス」の市場が拡大しています。

 介護保険でカバーできない、より質の高い、きめ細やかなサービスを求める高齢者層のニーズがあります。自費サービスは今後ますます拡大するでしょう。

 一方で、いまの介護サービスを保険給付から外して自費サービスにすれば、経済的格差が介護の格差となる可能性も懸念されます。

 ある経営者は「高齢者が増えていくのに介護事業者が減っている。今後5年、10年で訪問介護は自費の高級サービスになるだろう。お金持ちしか介護を受けられない時代が来るかもしれない」と語っています。

 このままでは、現実味を帯びてくる言葉です。ここまでは介護保険で行うという基本軸のサービスについては、社会全体で提供体制を守る必要があります。

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介護保険で国家的詐欺

シンポ開催 制度改悪を止めよう

「しんぶん赤旗」2025年3月17日

 介護保険創設25年を前に「このままで介護保険制度は持続可能なのか? 介護保険制度のいま・これから」と題したシンポジウム(主催・守ろう!介護保険制度・市民の会)が16日、東京都北区で開かれ、介護家族、事業者、ホームヘルパー、社会学者らが討論しました。

 東京大学名誉教授の上野千鶴子さんは、介護保険は「ケアの社会化」の第一歩と指摘。ところが政府は▼給付を要介護3以上に限定、軽度者の訪問介護などを自治体に丸投げ▼利用料の原則2割負担▼ケアプラン有料化―を狙っており、実施されれば「老後の沙汰も金次第で、家族もお金もなければ在宅という名の『放置』」になると警鐘を鳴らしました。

 「ケアを社会の下支えでなく社会の柱に」と訴えたのはホームヘルパーの藤原るかさん。ヘルパーの7割を占める非正規「登録ヘルパー」は、月収が月により数万円減少することもある劣悪な働き方を強いられていると語りました。

 認知症の人と家族の会・前代表理事の鈴木森夫さんは、介護保険成立時には介護の社会化と期待したが、特養ホームへの入居が要介護3以上に制限されるなど給付抑制と負担増が進んだと指摘。介護家族はますます不安な状況に陥っていると告発しました。

 全日本民医連事務局次長の林泰則さんは、25年間の経過を振り返り「『制度の持続可能性』の名で改悪が進められ負担増と給付削減、介護報酬は低く据え置かれ、保険料は上昇している」と述べ、介護保険の「国家的詐欺」といえる状況を批判しました。そのうえで上野さんが指摘した「3大改悪」阻止へ、参院選挙の争点にしていこうと語りました。

 コーディネーターはNPO法人暮らしネット・えん代表理事の小島美里さんが務めました。


高い介護保険料、年金から天引きされています。
年金が数千円上がるかと期待したときも介護保険料のそれを上回る金額に「絶望感」を抱いた時もありました。
そんな、苦労して納めても、いざ使おうとしても「施設」がなくなっている、あるいはなかなか使えないといった事態が起きています。
これ、まさに「国家的先詐欺」でしょう。



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