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袴田さん再審で有罪立証するのは結局「メンツ」のため?

2023年07月16日 | 事件

「冤罪ごり押し…恐ろしい」検察に吹き荒れる逆風 

「東京新聞」2023年7月14日

   こちら特報部

 静岡一家4人強盗殺人事件で死刑が確定し、再審開始が決まった袴田巌さん(87)について、「有罪立証」の方針を示した検察への逆風が収まらない。すでに無罪の公算が大きいのに訴追を続ける背景には、捜査機関の証拠捏造ねつぞうに言及した再審開始決定に対する「メンツ」があるとの見方が専らだ。高齢となった袴田さんの審理を長引かせず、迅速に進める方法はあるのか。(西田直晃、大杉はるか)

◆それでも有罪立証を選んだことは、世間を驚かせた

 「すでに決着はついたはずだ。この期に及んで何を言い出すのか」

 袴田さん弁護団の戸舘圭之弁護士は憤りを隠さない。検察に有罪立証方針の撤回を求める声は日に日に増加。ウェブサイト「Change.org」で戸舘氏が8日から募ってきたオンライン署名キャンペーン · 【再審 冤罪袴田事件】検察は有罪立証方針を撤回して速やかな無罪判決のために審理に協力してください!! · Change.orgだ。

 13日夕の時点ですでに4万5000筆を突破。3月に東京高裁の再審開始決定を受け、特別抗告断念を求めた署名より速いペースで増え続ける。賛意を示すコメント欄には、検察への批判の言葉が並ぶ。

 「時間(命)をこんなに奪っておきながら、いまだに冤罪えんざいのごり押しをすすめる検察側…恐ろしい」

 「もうこれ以上袴田さん姉弟をいじめるな!」

 とりわけ目を引くのが、検察の「メンツ」に触れている投稿だ。

 「検察のメンツを守るためだけの時間稼ぎには強く反対します」

 「公権力のメンツの為ために誰かの人生を潰つぶして良い訳が無い」

 「間違いを認めて正すことは、検察の面子めんつを潰すことにはならない」

◆裁判所に「証拠の捏造」言及されたから

 東京高裁の再審開始決定は、検察が犯行時の着衣とし、死刑判決の根拠となった「5点の衣類」について「袴田さんの着衣であることに合理的な疑いが生じる」と退けた。事件の1年2カ月後に見つかった衣類を巡っては、第三者がみそタンク内に隠した可能性に触れた上で「捜査機関の者による可能性が極めて高い」とまで付け加えた。証拠の捏造に言及したのだ。

 再審開始決定後、検察は最高裁への特別抗告こそ断念したが、再審公判での立証方針の検討に「3カ月を要する」と表明していた。戸舘氏は「先延ばししても無実は明らかだが、検察が『捏造はなかった』という格好に最終的にしたいがための後知恵だ。5点の衣類の評価について、別の専門家に鑑定してもらっているようだ」と語気を強める。

 ジャーナリストの江川紹子さんも「検察が有罪を立証するとなれば、再審公判であらゆる証拠を吟味し、事件を総合的に判断し直すことになりかねない。数年単位を要するあり得ないことが起きてしまう」と先行きを危ぶむ。

◆「検察は市民の良識に逆らった」

 そもそも過去のケースに照らせば、再審公判が開かれた時点で無罪となる公算が大きい。戦後の四大死刑再審として知られる免田、財田川、松山、島田事件が典型的だ。検察は捏造を認めたくないだけだと見抜かれているから、余計に逆風が強まったのか。

 再審に詳しい甲南大の渡辺修特別客員教授(刑事訴訟法)は「多くの人が指摘するように、検察にとってはメンツを気にしてのことだろう。警察の捜査を守らなければ、言うことを聞かなくなるとでも思っているのでは。大きな誤りだ」と語り、こう強調する。

 「訴追権を持つ検察は、捜査権を持つ警察に歯止めを掛ける立場にある。これまでに修正する機会は何度もあったのに、今回も権力の乱用という道を選んだ。市民の良識に逆らっており、誰も納得できないはずだ」

◆過去の再審「有罪立証」ケースは

 「弁護士白書2022年版」によると、死刑か無期懲役刑が確定した後、日弁連などの支援で再審無罪になった冤罪事件は、前出の四大死刑再審を含め戦後9件ある。

 このうち1967年に茨城県で起きた布川事件(無期懲役→無罪)では、検察が再審で有罪立証をした。DNA鑑定の請求は裁判所に却下されたが、判決まで10カ月かかった。

 担当した谷萩陽一弁護士は「形だけの鑑定請求で、本当に有罪にしようとしているのではなく、メンツのためだった。検察は無駄な抵抗をしているとしか思えない」と振り返る。袴田さんの再審公判について、「公益の立場から救済する側に回るべきだが、検察はそういう立場に立てないようだ」と不思議がった。

 54年の島田事件(死刑→無罪)でも有罪立証があり、判決まで1年3カ月かかった。関わった佐藤博史弁護士は「法医鑑定が問題になり、検察は死刑求刑もした」と説明する。

 一方、その後担当した90年の足利事件(無期懲役→無罪)では有罪立証はなかった。「再審が始まると、検察は『即判決を』と主張。弁護側の方が冤罪原因の究明のために、DNA鑑定証人3人と取り調べ検事の尋問を求め、判決まで5カ月を要した」と話す。

 袴田さんへの対応について佐藤氏は「本来はどこかで謝らないといけないのに、逆に傷口を広げている」とみる。足利事件で無罪となった菅家利和さん(76)も「再審開始までは不安も多少あったが、大丈夫だと確信していた。袴田さんもすぐに再審を始めて、無罪判決を出すべきだ」と訴える。

◆「裁判所の腕の見せどころ」

 袴田さんへの有罪立証を巡っては、元裁判官からも苦言が相次ぐ。元東京高裁判事の木谷明弁護士は「事実認定に異論がある場合に再審段階で有罪立証することは、理屈上は可能。適当かどうかは疑問があるが…」と指摘する。

 「確定判決の有罪認定の根拠は、今となっては『血痕の付いた5点の衣類』だけ。検察は『1年2カ月みそに漬かっていても赤みが残ることはあり得る』と主張し、そのための鑑定を要求するのだろう」と予想。その上で「これ以上の長期化は望ましくないが、強引に検察の立証を却下すれば、検察の控訴を誘発し事態はさらに悪化する。有罪立証は不要ないし不適当といえるかどうか、裁判所の腕の見せどころでは」と語る。

 元東京高裁部総括判事の門野博弁護士も「再審請求審で長く争っており、この段階になって似たような立証を繰り返すのは相当ではない」と話す。着衣の赤みの鑑定についても「検察は再審請求と本裁判は違うという言い方をするかもしれないが、実質的には同じ」と続け、「審理は相当尽くされており、重ねてやれば重複立証になると裁判所が判断すれば、これ以上の証拠調べを採用せずに審理することは十分あり得る」と語る。

 門野氏はこうも話す。「刑事手続きは事実を明らかにするためにとことんやるということではなく、人権保障を前提に探求するものであり、それが法の理念だ。袴田さんは長く死刑囚という立場に置かれ、人権無視が今も続いている。この問題を、人権の擁護や保障の観点からしっかりとらえ直さなければならない」

◆デスクメモ

 過去の再審事件を見ると、当事者は「再審開始決定」のときに喜びを爆発させている。日本では長い長い再審請求審が主戦場で、その後はほぼ無罪になると知っているからだ。再審公判で検察が争った例もあるが、フルマラソンで勝負がついた直後に、もう一度走る意味はあるのか。(本)


「人権問題」に疎い日本政府機構である。
これ以上の苦痛を与えてはいけない!

自家製雨量計によると1日でおよそ23㎜ほど。
畑にはよかったけれど沼の水位は上がらない。
元氣を取り戻したアジサイたち。
深い青(ヘブンリーブル―というのか?)が好きだ。