「東京新聞」2023年2月10日
こちら特報部
岸田文雄首相の国会答弁や首相秘書官の差別発言で、同性婚や性的少数者(LGBT)への無理解を露呈した現政権。気になるのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との関係だ。教団関連の新聞では、20年前から同性婚などに反発してきた。こうした動きが保守政治家らに影響を与え、今も価値観を共有していないか。問題の根深さにいま一度目を向けるべきではないか。(山田祐一郎)
「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」。性的少数者についてこう発言した荒井勝喜首相秘書官が4日、更迭された。発言の前提となったのは、衆院予算委員会での岸田首相の同性婚を巡る「全ての国民にとっても家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」との答弁だ。岸田首相は8日の同委員会で答弁の撤回を求められたが「ネガティブな発言をしたつもりはない」と拒んだ。
同性婚や性的少数者に対し、政権中枢に広がる強い拒否感は、旧統一教会の主張と重なる。
教団関連の日刊紙「世界日報」や週刊新聞「サンデー世界日報」は長年、同性婚などに反感を表すキャンペーン報道を続けてきた。
本格化したきっかけは2003年12月に成立した宮崎県都城市の「男女共同参画社会づくり条例」だ。男女共同参画社会を「性別または性的指向にかかわらずすべての人の人権が尊重され」と定義し、性的少数者の権利擁護を明文化した全国初の条例だった。
条例案の検討が進む中、世界日報は1面で「特報」と題して連載を展開。サンデー世界日報も含め、条例によって「同性愛者が同市にたむろするようになる可能性が高い」「特定のイデオロギーを持つ人物によって市民が監視され続ける」とし、同市が「同性愛解放区」に向かうとあおった。保守系の市長が提案する条例案に、共産党市議が賛成に回った構図も批判した。
1999年に男女共同参画社会基本法が施行され、2000年代に入って各地で条例づくりが始まった時代背景を踏まえ、ジェンダー問題に詳しい米モンタナ州立大の山口智美准教授(文化人類学)はこう振り返る。「『伝統的な家族のあり方を守るべきだ』とする宗教右派による反発はあったが、同性愛など性的指向の多様性に対する反発は、世界日報が突出していた」
山口氏は「各地の自治体の条例づくりや米国での状況を批判的に伝え、議論をリードした。そうした記事はネットでも広く拡散された」と説明する。
その後も、パートナーシップ制度や性的少数者の権利保護条例の整備について、教団側は世界日報などで反対論を展開してきた。
こうした中で飛び出した岸田政権での問題発言。山口氏は「教団との直接の関係性は不明だが、同性婚などに対する価値観は一致している。教団や関連の媒体が報じてきた内容が価値観の根底となっている」と、一定の影響があるとみる。
今回の秘書官発言を受け、性的少数者の差別解消のための議員立法を求める動きが出ている。だが、反差別を明記するかどうかについて、自民党内で「内心の問題に関わる」と反対の声が上がる。教団などの宗教右派と政治家とのつながりをうかがわせる状況だ。
差別解消の法整備を求める支援団体「LGBT法連合会」の神谷悠一事務局長は「立法に反対する自民党議員には、共産主義と性的少数者をやたらと結びつける教団の言説が入り込んでいるのではないか」と疑いの目を向けつつ、こう訴える。「これまでの政策過程で、ジェンダーに関して、どのような教団の関与があったのか明確にするべきだ。総括がないと、また、同じような発言が繰り返され、法整備も進まない」
まだ「統一教会」についてやっている、とブログ内右翼「勢力」が言っていたが、この問題は重要な問題で、これからの日本がどのような立ち位置になるのかを決める重要な課題です。徹底的に調査し、売国的勢力を排除しなければならないでしょう。