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古賀茂明 ,連載「政官財の罪と罰」

2020年01月28日 | 社会・経済

「『桜を見る会』で内閣府幹部“処分”はフェイク」

    古賀茂明

          AERAdot  2020.1.28


    「桜を見る会」の招待者名簿の違法な管理をめぐって、内閣府の歴代人事課長が「厳重注意処分」を受けたというニュースは、実は「フェイク」だ。

    というのは、人事院の「義務違反防止ハンドブック」によれば、「厳重注意」は「処分」ではなく、職員に対する指導、監督上の「措置」に過ぎないからだ。

 実は、公務員の「処分」と言われるものには2種類ある。一つは、国家公務員法(国公法)に規定された「懲戒処分」である。免職、停職、減給、戒告だ。
 一方、今回の「厳重注意」は「処分」と言われるが、これは、各省が国公法とは関係なく、省庁ごとの内規で定めている「措置」に過ぎない。訓告、厳重注意、注意などがこれにあたる。

 これらの「措置」は、人事記録にも残らず、その次のボーナスで最高評価は得られないという程度の影響しかない。

 一方、国公法の懲戒処分は、人事記録に残り一生ついて回る。そして、何より大きいのは、出世に響くことだ。一番軽い戒告でも、それから1年間は昇任(出世)ができない。課長級相当以上は、減給なら1年半、停職なら2年だ。

 官僚から見ると、厳重注意はかすり傷。人事課長は、課長級の中では最上級で、次は、審議官や部長などの局長一歩手前まで出世するポストだ。現職の吉岡秀弥人事課長が戒告処分を受けていれば、この夏の定例人事で出世できなくなるところだったが、今回は厳重注意なので、問題なく出世できる。他の人事課長OBも同様だ。彼らから見れば、「ご配慮ありがとうございます」ということになる。
メディアでは、「官僚が気の毒だ」という巷の声や「トカゲのしっぽ切りだ」という官僚の反発などが報じられるが、今述べたことを知っていれば、「なんだ出来レースか」ということになるだろう。

 歴代5人の前・元人事課長は、招待者名簿を「行政文書ファイル管理簿に記載」せず、正式な手続きなしで廃棄した。これは公文書管理法違反であることを菅義偉官房長官は認めている。公文書管理法は、完全なザル法で、違反しても罰則がないが、国公法98条の法令順守義務違反に当たる。したがって、国公法上の懲戒処分に値し、最低でも「戒告」処分を受けるべきだろう。その場合、夏の人事での出世はなくなる。
また、推薦者名簿にあった、推薦部局「総理大臣官邸事務所」という記載を削除して国会に提出した吉岡人事課長は、国公法違反と言うより、刑法の公文書変造ないし虚偽公文書作成、偽造公文書行使の罪に当たる可能性がある。人事院の処分「標準例」によれば、免職ないし停職相当で、刑事告発されてもおかしくないくらいだ。

 こうしたことを勘案すると、今回の措置は、「超大甘」と言える。安倍晋三総理も菅官房長官も、自分たちを守った官僚を切り捨てることはできない。「厳重注意」で官僚に配慮を示し、夏の人事でしっかり処遇して造反を防ぐつもりだろう。
もちろん、政治家の責任は大きいが、一方でこれだけの悪事を働きながら、「官邸が怖くて面従腹背しただけだ」と言い逃れしようとする官僚もまた許すことはできない。

 官僚は採用時に、「国民全体の奉仕者として……、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います」と宣誓署名している。

 宣誓に背いたら、その報いを受けるのは当然、と思うのだが……。

※週刊朝日  2020年2月7日号


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