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新潮45:杉田氏擁護特集で社長コメント「常識逸脱した」

2018年09月21日 | 本と雑誌

  毎日新聞 2018/09/21 17:32

   杉田水脈衆院議員の性的少数者への差別的な論文を掲載し、最新号で擁護する特集を組んだ月刊誌「新潮45」について、発行元の新潮社は21日、佐藤隆信社長名で「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた」「今後とも差別的な表現には十分配慮する所存です」などとしたコメントを発表した。全文は以下の通り。

 弊社は出版に携わるものとして、言論の自由、表現の自由、意見の多様性、編集権の独立の重要性などを十分に認識し、尊重してまいりました。

 しかし、今回の「新潮45」の特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」のある部分に関しては、それらを鑑みても、あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました。

佐藤隆信社長名で出された「新潮45」の特別企画に関する新潮社のコメント © 毎日新聞 佐藤隆信社長名で出された「新潮45」の特別企画に関する新潮社のコメント

 差別やマイノリティの問題は文学でも大きなテーマです。文芸出版社である新潮社122年の歴史はそれらとともに育まれてきたといっても過言ではありません。

 弊社は今後とも、差別的な表現には十分に配慮する所存です。

 株式会社 新潮社

 代表取締役社長 佐藤隆信

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新潮社の本、書棚から撤去する書店も。「新潮45」の寄稿に怒りの声

 

「あまりに酷い言葉の暴力」「怒りを感じた」

ハフポスト 安藤健二  2018年09月21日

「新潮45」10月号が掲載したLGBT批判の特集記事の内容に反発して、出版元の新潮社の本を書棚から撤去する書店も現れた。

この特集記事には、文芸評論家・小川榮太郎氏は「LGBT様が論壇の大通りを歩いている風景は私には死ぬほどショックだ」などと書いたことに関して、LGBT当事者らから反発する声が挙がっていた。

なぜ新潮社の本を書棚から撤去したのか。書店の主張を調べた。

■「あまりに酷い言葉の暴力が展開されている」(本屋プラグ)

和歌山市の書店「本屋プラグ」は9月19日、雑誌を含む、新潮社の新刊本の一切の販売を停止。書棚に並んでいる本も全て撤去することを公式サイトで明かした。約20坪の敷地に新刊と古本が混在している小規模な書店だという。

運営スタッフ2人の連名で以下のように訴えている。

『新潮45』において、「LGBTはふざけた概念」として性的マイノリティの方々への侮辱的で、あまりに酷い言葉の暴力が展開されていることは、とうてい看過できません。強い憤りと抗議の声をあげるための決定です。

 

■「怒りを感じた」(東京都文京区の書店)

東京都文京区にある書店。約6坪の敷地に新刊と古本が混在しているが、公式Twitterで19日に「新潮社の新刊については当面仕入れを見合わせる事にしました」と投稿した。

店主の男性は21日、ハフポスト日本版の取材に対して「新潮45の内容を知って、怒りを感じた。今は新潮社の本を置きたくない」と話した。新刊本の棚から、新潮社の本を撤去したという。

 


雨宮処凛がゆく!  第459回:「フェミニスト・ファイト・クラブ」で日米共通の「女子という呪い」を知る。の巻

2018年09月21日 | 社会・経済

  マガジン9   2018年9月19日

 「気立てがよくなくてはいけないが(女性はみんなそうだから!)、よすぎてもダメ(人のいいなりになりたくないだろう)。母親らしさは必要だが(人の面倒をみるのは当然だから!)、本当に母親になってしまってはダメ(母親は「ビジネスの場にふさわしくない」とされてしまうから)。信頼されるよう自信は持たなければならないが、持ちすぎてはダメ(高慢な女性は嫌われるから)」

  この一節を読んだ時、既視感に思わず目眩がした。

 努力して成功を目指さなきゃいけないけど、男以上に成功するのはダメ。仕事をしながら子どもを産むなど「生産性の高い」女性が理想とされるけど、女医になるんだったら産むのはダメ。長時間労働ができる体力は当然必要だけど、その上で「女子力」も高くないとダメーー。

 

 この国で、女性に押し付けられているダブルスタンダードのほんの一部である。

 

 さて、冒頭の言葉が掲載されているのは、『フェミニスト・ファイト・クラブ「職場の女性差別」サバイバルマニュアル』。アメリカで出版された本書は、8月、日本でも出版された。著者はジャーナリストのジェシカ・ベネット。「フェミニスト・ファイト・クラブ」のメンバーで、本書が初の著作だという。

 そう、本書は実在する「フェミニスト・ファイト・クラブ」についての一冊だ。12人で始まったというこのグループ、「メンバーは、20〜30代の売れない作家やクリエイターなど女性ばかりで、大半がバイトをしていた」

 最初の頃は、だいたい一ヶ月ごとに友人の(というかその両親の)アパートメントに集まり、ワイン片手に愚痴り合ったという。テーマは主に、女性差別。そんなものは母親世代の遺物だと思っていたのに、社会に出て働くとあらゆる「地雷」があることに気づかされた女性たち。昇進というわかりやすいものもあれば、顧客との打ち合わせ中なのに「男性の同僚からコーヒーをいれてくれと頼まれる」という、地味だけどじわじわくるものもある。

 記者経験のある著者からは、週刊誌を率いているのがほぼ完全に白人男性という事実も見えてくる。例えば『ニューズウィーク』の一年間の巻頭特集記事49本のうち、男性が書いていなかったのはたった6本だけ。「女に記事など書かせない」などと言われているわけではない。しかし、現実はそうなっている。あからさまな差別はないけれど、結果には歴然とした差がついている。これはこの国の多くの女性にも身に覚えがあることだろう。

 「フェミニスト・ファイト・クラブ」は、そんなこんなを何年もかけて語り合い、分かち合い、どうすればいいか考え続けてきた。その実績と蓄積の集大成が本書なのだ。

 「日常的に、会議の席で男性は、無意識のうちに女性にメモをとるよう言う。あるいは、実際は女性が仕切っているのに、責任者は男性だと間違えられる。グループ内で何度も話の腰を折られたり、自分のアイデアをほかの男性のものにされたりする。女性は、ありとあらゆるルールに従い、力不足なフリをし、リーダーになっても『気が強すぎる』と思われないよう気を使わなければならない。なにしろ、同僚の男性が女性を『ものすごくやる気がある』と評するときは、褒めているのではなく、けなしているのだから」

  本書の一節だ。すっごいわかるとしか言いようがない。

 フェミニスト・ファイト・クラブのメンバーたちは、彼女たちの「敵」を分類し、彼らへの対策方法を次々と提示していく。本書で紹介される「敵」は、以下のようなものだ。

 女性の話の腰を折って喋り続ける「邪魔男」。その名の通りの「実績横取り男」。秘書でもなんでもないのに女に用事を言いつける「雑用押しつけ男」。「上から目線男」。子どもを持つ女性を役に立たない存在とみなし、まともに取り合おうとしない「母親見下し男」。女性の自信を蝕んでいく「じわじわ骨抜き男」。仕事をしていないのになぜか出世していく「サボり男」。もちろん「セクハラ男」もいる。これらの「敵」に対しての対策がいちいち面白いのだが、彼女たちは女性である自分たちのことも冷静に分析する。

 「困り者」として登場するのは、オフィスの家事を率先して引き受けてしまう「オフィスママ」。自らの功績に対して、「運が良かった」「他の人が助けてくれた」などと思わず言ってしまう「功績辞退者」。名前の通りの「永遠のアシスタント」などなど。その中でも特にやっかいなのが、「ともに戦う女性を、仲間ではなく敵とみなし、女性に刃を向けてくる」という「味方殺し」だ。

 男性にすり寄り、取り入り、自分の立場を得る。このタイプは時に、「男性が思っていても言えないようなこと(大抵は男女平等に反するようなこと)を女性の立場から口にする」ことで男社会の中で居場所を得て、名誉男性的な立場になっていく傾向もある。なんとなく、自民党の女性議員たちの顔が浮かんでこないだろうか。

 本書では、女性たちが分断を乗り越えて「ともに戦う」ためにはどのようなやり方が有効なのか、それはもう懇切丁寧に書かれている。

  それにしても、読みながら、日本とあまりにも似たアメリカの状況描写に共感が止まらなかった。

  例えば女性上司について。

 「彼ら(や彼女)は、なんであれ女性上司にはかなり批判的だ(し、厳しい)。なぜなら、彼女が女性だから。それだけじゃない。彼らは、女性の上司には母親の役割も求め、同時に親友であることも望み、権威があって、『なおかつ』優しさを持ってものごとを仕切ることを要求する。そのうえ、温かく包み込みつつ自分たちを指導し、サポートしてくれることも(おまけに、つねに美しくあることも!)」

  また、女性と権力についてのこんな名言もある。

 「女性が成功するには好かれなければならず、好かれるにはあまり成功してはならない」

  あぁ…、「頑張れ、でも男以上には成功するな」って、日米共通の呪いなのか…。

   そうして本書では、男性が仕事で怒るなど感情をあらわにすると「熱心だ」「情熱的」と評価されるのに対し、女性が同じことをすると「生理中?」「ヒステリー?」などと「ヤバい人」扱いされることへの違和感についても強調されている。

 もちろん、最近では男女問わず「パワハラ」に対して厳しい目が向けられるようになってきた。が、豊田真由子議員を思い出すまでもなく、女性が感情を剥き出しにする方が、男性よりもずっと悪目立ちするという構図は確実にあると思うのだ。

 さて、本書では何かと槍玉に上げられる男性だが、最後に「男性たちへのサービス情報」として、「イヤな男にならずにすむ方法」という章がある。フェミニスト・ファイト・クラブが男性たちに求めることはシンプルだ。

 「私たちを信用して」「『邪魔男』を邪魔して」「私たちに話をさせて」「女性のすぐれた発言には賛同して」「あなたの権力をプラスの方向に使って」「皿洗いをして」などなど。

  一冊通して読むと、「なんだ、このもやもやって日本だけじゃないんだ」と不思議と力が湧いてくる。いろんな悩みを抱えるアメリカの女性たちと、盛大な「女子会」を開いて「あるある話」を山ほどした気分だ。

  もちろん、彼女たちが編み出した「対策」は、すべてが日本で使えるわけではない。特に私としては、「自信たっぷりに話そう」「堂々とプレゼンしよう」「強くて自信に満ちたとびきりカッコいい女性であろう」などの「ザ・アメリカ」っぽいアッパー系のアドバイスにはどうしたって尻込みしてしまう。私にとってのフェミニズムは、「ダメな女がダメをこじらせないためのもの」「ダメな女がダメなままで生きられるもの」であってほしいからだ(昔、栗田隆子さんがそんなことを言っていてその言葉にえらく感銘を受けた)。

 堂々とできなくても、カッコ悪くても、まずは自分で自分を肯定できること。そんな第一歩から始めたい。

 「#MeToo」や、東京医大の女子一律減点問題やセクハラなど、その辺りのことをもっとよく知りたいと思っている人、また、私の『「女子」という呪い』が気になっている人、そして何よりも、すべての男性にオススメしたい一冊である。


先日の台風21号、栗を大量に落としていきました。

そして、一抱え以上の大木をも倒していきました。