佐川前長官の立件見送りで再燃 大阪地検特捜部「不要論」
日刊ゲンダイ 2018年4月16日
バカ高い税金を得ながら一体何のために存在しているのか。
財務省の決裁文書改ざんを巡り、大阪地検特捜部が佐川宣寿前国税庁長官の立件を見送る方針と報じられた問題。改ざん前と後で文書の本質が変わっていないため、虚偽公文書作成罪などで刑事責任を問うのは難しい、との判断らしいが、まったくフザケタ話である。
このまま大阪地検特捜部が佐川氏や財務省職員を立件せず、改ざん事件にフタをするなら「特捜部不要論」が再燃するのは間違いない。2009年の郵便不正事件で、証拠のフロッピーディスクを改ざんして逮捕、起訴された前田恒彦元検事も「立件見送り方針」の記事にこう驚きの声を上げている。
<虚偽公文書作成罪には当たらないとしても、今回の決裁文書は森友詐欺や財務省背任事件の『証拠』の一つなので、少なくともその改ざんや改ざん後の文書をシレッと大阪地検に提出した行為は証拠隠滅罪に当たると思うのですが>
いやはや、証拠改ざんの“経験者”が言うのだから、説得力が高い。渦中の大阪地検特捜部の山本真千子部長は前田氏の先輩だ。元検事の落合洋司弁護士はこう言う。
「難しいのは『虚偽とは何か』という法的な評価の問題があること。つまり、決裁文書の本質にあまり影響しない箇所を削除することが、虚偽といえるのかどうかということです。ただ、国会や地検に改ざん文書を提出しているので、証拠隠滅罪には問えると思います。もし、おとがめなしだった場合、特捜部に対する世論の反発は高まるでしょうし、公文書を改ざんしても問題ないという誤ったメッセージを国民に伝えることになりかねません」
先月の証人喚問で佐川氏は「刑事訴追の恐れがある」と50回以上連発して答弁を拒否した。不起訴になったら、「刑事訴追」の恐れは心配ない。再喚問して洗いざらい話してもらおうじゃないか。