700系（16両編成）の終焉

普段撮影対象としてはいない新幹線ですがが、気になる被写体があればたまに撮影することもあります。
高速走行しており、周囲を鉄条網で囲まれた異質な線路であり、超望遠レンズで隙間を抜くような撮影法が一般的です。そのため高速で通過しても望遠圧縮効果でファインダー内の通過速度は少し遅くなってくれます。これを150mm程度のレンズで撮るとなると、列車は一瞬でも言い表せないくらいの時間でファインダー内から過ぎ去ってしまいます。被写体ぶれを防ぐためシャッター速度は在来線を撮るよりはかなり上げる必要があるため、露出が厳しくなり晴天でなければなかなか撮影が難しい被写体です。

700系は全く思い入れのない車両であり、むしろN700系が出て来てからはコンセントが無いため狙って外して乗る対象であり、唯一の好きな点は方向幕が存在していたことぐらい、という程度の存在でしたが、撮る物が無いこの時代にあって、さよなら装飾した車両がいい天気の日に走るなら撮りに行こうかと、2月下旬の運転日に出掛けてきました。
下りは午前で昼間は寝かしておいて、夜間に上るを基本としており、順光では撮らせない、みたいなダイヤに狙って当ててきているような感じがプンプンします。せっかく装飾し、スジを一般公開するものの（時刻表をよく読めば誰でもわかるようにはなっていますが）、沿線に撮り鉄は寄せ付けたくない感が強い、東海のセンスがキラリと光るスジの選び方と感じました。

2/24は朝から快晴予報。この日はのぞみ315号午前に下ってきます。跨線状況も考えてお手軽に米原駅でアウトカーブ狙いを考えましたが、ちゃんと退避するひかりがホームに停まっており撮影不可。そこで、軽く調べて沿線でフェンス越し被り付きアングルがある事を知り、ここで撮影する事にしました。現地には2時間以上前に到着。あたりを付けた場所は大きく外れていませんでしたが、ちょっと探して立ち位置を発見。ゆったり撮るなら1名、頑張っても3名程度の立ち位置であり、一番乗りで事なきを得ました（その後数名はここを目当てという方が来られたようですが、友人と2名で場所は無く、他へ行かれました）。いつも思う事ですが、一番最初にこの立ち位置を発見した人は本当にすごいと思います。

フェンス越しではあるもののすっきり編成が抜け、少し見上げ構図で迫力も出ます。難点は等間隔に設置された何のためにあるのかわからない長方形の金網とオーバークロスの影ですが、障害物だらけの新幹線撮影で被り付きアングルが得られるなら十分目をつむれる範囲です。
天気もいいので1/4000（275Km/Hで走行する場合、これでも1.9cm列車がブレてしまいます）までシャッター速度を上げ、メインは顔に書かれた文字なので被写体深度も浅くして、一発切りのつもりで前走りの列車でシャッター練習を行います。しかし、なかなか思うような位置に止まってくれない＆架線柱の影処理にかなり苦しめられます。
線路の定期巡回も来ましたが、「気を付けて撮ってくださいね」とにこやかにあいさつされ通り過ぎて行かれました。

結局、10本程度は練習したもののシャッター位置のコツがいまいちよくわからないまま本番に突入。その結果はご覧の通りこの上ないカツカツ写真になってしまいました。一瞬切れてしまったかと思われる感じですが、拡大してみるとカツカツでセーフ。とはいえ構図としては大失敗です。左端下にスプリンクラーが見切れていますが、きれいに収める自信が無いため後でトリミングしやすいように少し広めに画角をとっていたもので、本来はバランスを見ながら切り落とすはずのものでした。しかし、これも切れないぐらいにギリギリに入ってしまいました。余裕を持っておいて最悪の事態は免れたといったところで、撮り直しが聞かないネタ列車なのでこれで終わりです。左側のカツカツに合わせて右側をトリミングしてこのような仕上がりとなりました。
半逆光ではあるものの先頭の形状がなだらかであるため、鼻先以外には十分に光が回ってくれるので文字にはしっかり日が当たりました。

おまけ。
今年の初撮りとなったのも実は700系でした。
年末年始は増発のため700系の出番も多少あるため、時刻表を確認し、天気予報が良かった午前の上り順光となる列車を目当てに瀬田の有名ポイントへ久しぶりに出かけました。
1時間ほど前に現地へ着くと、先客2名あり、そろそろ賑わってきているなという実感がわきます。日が上り露出が上がってきたため期待したのですが、直前におおきな雲に太陽は飲まれ撃沈。何とも眠たい仕上がりとなってしまいました。


おまけのおまけ。
山陽区間で撮った700系（500系ラッピングのついで）一番下が700系です。

2020.02.24. 315Ａ
Nikon D700 AF-S NIKKOR 70-200mm ED VR II/2.8D