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ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

つぎの物語がはじまるまで~天野慶

2019-08-10 16:38:17 | 本の少し
 ☆☆☆☆

「ウタノタネ」で短歌づくりでたまに読み返している、天野慶さんの歌集。
天野慶さん、今、私がお世話になっている牛隆祐さんと一緒にNHK短歌の本で、歌人紹介の「短歌のキップ拝見します」のコーナーを隔月で交替で執筆中。

身近に感じる歌人さんのお一人です。

各章によって、お気に入りが偏っています。

【第一章】
ボンレスハム/ロースハムとの差に
近くおなじでちがう姉と妹開
くっついてしまったジュリービーンズをそのまま食べてあげる優しさ
インスタントのコーヒーが飲みたくなるように恋人じゃないひとに会いたい
故郷を教えてくれない恋人がいつか火星に行こうよという
こんなにも丁寧な字を書くひとと思わなかった 泡がはじける
扇風機回して部屋の隅にいる梅雨を網戸の外へと逃がす
新鮮なうちに冷凍しておいて思いだすとききれいなように
遺跡から発掘された古代文学読み解くように肌を這う指
水をよく飲む恋人の心音にせせらぎを聴きながら眠った
自家焙煎珈琲の店にふさわしくない会話だな 鞄にしまう
春に降る雪は積もらず溶けてゆく  逢えただけでもしあわせでした
ほしいものはいつだってすこし先にある弾きたい曲は弾けないピアノ
うたたねの許されている午後の陽は甘くとろけるハチミツである
温室で咲かされている花だって気づかなければしあわせだった
旅先を決めるときより真剣に旅先で読む文庫本を選ぶ
馬車じゃなくバスが迎えに来る朝に脱げたサンダル自分で拾う
図書館の返却期限を守るひとばかり愛してしまうあやうさ

【第三章】
ひまわりの種を飲み込む おへそから芽を出して咲く日を待っていた
コーヒーを豆から淹れるようになり二十歳の春ももうすぐ終わる

【第四章】
タクシーに乗る夢を見た「どちらまで」わたしはなんと答えただろう

つくった時期によって、作風が違うのか、私に波長に合う時は、
かたまっていますな・・・・・。


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