ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

コンビニに生まれかわってしまっても〜西村曜

2019-12-08 07:06:05 | 本の少し
 コンビニに生まれかわってしまっても〜西村曜
☆☆☆☆

才能が満ち溢れている、歌ばかり。
すごく日常に寄り添いながら、視点の違いでこれほどまで、
新鮮に風景がみえてくる。

作為てきなことはなく(あるかもしれないが見えてこない)、
才能、センスが輝いてみえる・・・・・・短歌をはじめて、まだ5年。
才能のある人って、羨まし限りでおます。

例によって、気に入った短歌は

サブウェイの店長として一生を終える他人がとてもいとしい
レジ打ちの青年ユリ根に戸惑いて何かと思いましたと笑う
シマウマが水玉模様の世界ならたぶんきみとは恋仲だった
上あごに海苔を貼り付け剥すなどして有意義な土曜日でした
いつだって些細なことを気にしてる  トトロ、 おまえは傘返したか
持ってません温めません付けません要りませんいえ泣いていません
痩せてゆくことしかできぬ石鹸を痩せた体のくぼみにあてる
無人駅だがおじさんが一人いて切符の買い方を教えてくれる
都会風サラダなんか売っている時点で田舎  俺の住む街
「いたみってすごい空港名だよね」それはしずかに発信をする
こしあんパンほどに優しいひとだからかばんの底でつぶれてしまう
俺なくば出会わなかったものとして三角コーナーのイカとねぎ
コンビニに生まれかわってしまってもクセ毛で俺と気づいてほしい
たまらなく俺を許してやりたくて煮しめの昆布をほどいてやった
伸びきった輪ゴムみたいな青春だいっそぷちんと切れるのを待つ
友がみなえらく見えればいいのだが行方知れずの春の数人
二人奈良できることってあるでしょう。  たとえば喧嘩、 それから喧嘩
玉ねぎを剥ぐと現る一まわり小さな玉ねぎおまえはだれだ
この街のエキストラだと自覚して少し背すじを伸ばして歩く
腐敗したわたしの心のやわらかさなぜかあなたはやさしさと呼ぶ
後悔は別にしてないしだし過ぎたハンドクリームひじまで塗って
逆立ちのトマトケチャップ、マヨネーズ  わたしはきみと暮らしてみたい
少しだけつよく噛んでもすこしだけつよく伝わるわけではない愛
鍋してる、みたいに言われた「愛してる」だからしんそこ信じています



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