ナガオカケンメイの考え (新潮文庫)ナガオカ ケンメイ新潮社このアイテムの詳細を見る |
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著者は家具などのデザインを手がけながら、この本では日々の日記で
、平坦な事柄をあげながら、興味あるビジネスの指南書になっている。
例えば、「賢い商人は、競争相手を作る」という題で、
高速道路で、たまについつい競争する車と出合い、目的地に到着することが目的なのに
その車と競い合うことが目的になっている時がある。
ゴールである目的地の料金所に到着するころ、競争相手の車はどっかへ行ってしまい、
そこで、競争しているという意識から目覚める。そして気がつく。
彼のおかげで、早く着いた、と。
大切なのは、そいつとの競争に「勝つ」ということではなく、
競い合って、同じ確信している方向に向って走るということ。
つまらない勝ち負けに執着するより、強敵を意識して、
競い合うことのほうが、結果として幸せだ、と。
スポーツもきっと究極は同じではないかと。
勝ち負けの大半は「得点」、や「記録」だけれど、
スポーツとは、それを目指し、競い合っている時間のそれではと・・。
売上げという目標にも、おそらく同じことが言える。
「賢い商人は競争相手を作る」
そして、競うけれど、勝負にはこだわらない。
そんなものではないだろうか、と。
この様に、いたって簡単明瞭で、実際の日常生活での実感であり、
言葉だけの、ビジネス書とは、大いに異なる。
本の表紙に、椅子が並んでおり、我家でも使っている「カリモク」の家具の
デザイナーと、親しみを感じて、購入したのだが、単なるエッセイとおもいきや、
会社運営、仕事のあり方、人との関わり方と、多岐に渡って、
実際の仕事に、役立つヒントがある。
「人の前で話すということは、それなりの意味があります。」
「名刺をもらって、一週間後にそれを見て、顔が浮かばなかったら、ゴミ箱に捨てます。」
「集団の中にいる意味を知らないで、群れの中にいるのは、無意味だ。」
「「始める」には、「ワクワク」が、「続ける」には「責任」という楽しさがあります。」
「自分の会社を汚すことは、自分の履歴を汚すことと同じです」
「何事もそうですが、練習と本番があります。仕事場は本番です。」
「がんばる」とはあくまで雰囲気、イメージです。
それをどうするかは別に詰めなければいけません。」
など、気になる言葉、表題で始り、中身はいかなるものか、誰もが興味をそそられます。
ビジネス書というより、芯はあるが、心に優しい、
自分自身の生き方についての指南書としてピッタリ。
いきざま、考えを、形にできるデザイナーという仕事は、
ナガオカケンイチ氏には、まさに、天職で、羨ましい限りでおますな。
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