ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

ナンセンス・カタログ~谷川俊太郎+和田誠

2017-11-20 05:06:07 | 本の少し
ナンセンス・カタログ (ちくま文庫)
クリエーター情報なし
筑摩書房

☆☆☆☆

凄い、谷川俊太郎さんって、やっぱり詩人。

この本は、言葉について、の150ものショートエッセイ集。

どの言葉についても、言葉のより選び方に感心。
最後の二行、そのまま、字数を整えれば、短歌になってしまう。


もしそんなふうに呼びかけることができたら、それが朝であろうが、
夜であろうが。一日がとても一日らしく感じられるだろうと思う。
たとえその日がじとじとと雨降りでもね。

床は人間と重力の接点なんだから、踏みしめるに足る硬さが必要だ。

皮袋に砂をつめこんだ凶器を、サンドバッグと言う。砂漠の砂嵐はしばしば
生命を奪う。無機物のくせに砂は生きもののように、いろんなところで
人間にかかわってくるな。

耳かきの無いとき、マッチの軸を使うことがあるけど、あのごつごつした
感触はいやだね。耳かきが洗練された一個の道具であることを再認識する。

とんびが輪を画いているのを見るのが好きです。子どもの手を放れた風船が空へ
消えてゆくのを見るのも好きです。たんぽぽの綿毛が風に吹かれるのを見るのも。

そりゃそうと、コンピューターは、あのうが言えないんだよね、気の毒に。

今かぞえてみたら、うちにはねじ廻しが十五本もあった。
それを全部使いこなしている自信はぼくにはない。

出した日付は、これは忘れるべきじゃないな。絵葉書は人と場所と時の
三位一体のはかなさに、いのちがあるんだから。

木漏れ陽の下では昼寝してしまうのはもったいない、
本を読むのも惜しい、そこにいるだけでいい。

季節はずれの果物や野菜も、ヴィニール・ハウスで育ったと思うと、
おひさまと無関係のような気がして、まずくなっちゃう。


詩人のわきだす言葉って、何気ない言葉なのに憧れますな。

「ナンセンス・カタログ」、どのような読まれ方をされるかは、
あなたまかせで、ございます。





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