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素晴らしい、御本。浪曲師である玉川奈々福さんがプロヂュースする語りのついての11章節。どんな学術書より価値がある。
日本は伝統芸能がとても多い国。中でも語り芸が多いことは、大きな特徴であると、しかも、中世このかた生まれた多くの語り芸が、今も現役の芸能として残っている。「節談説教」「説教祭文」「ごぜ唄」「義太夫節」「講談」「女流義太夫」「上方落語」「能」「江戸落語」などと・・・。
視覚優位の時代に、想像力を駆使することを観客に強いる、ミニマムな芸能に・・心あそばせ、しばしうつつを忘れることで、心身が再生される、その作業を、この国の多くの方が楽しんでくださってる・・。
芸能者は、最初は神のご機嫌をうかがい、いつしか観客のご機嫌をうかがうようになった。あの世とこの世、聖と俗、貴顕と最底辺の間を行ったり来たり。
これって、まえがきの要約ですが、内容濃いでしょ。
一週間かけてじっくり読み進むうちに14か所も付箋がつきました、大事なことばかりなので、私のノートにはすべて写しましたが、芸能に興味のある方是非一度この本手に取ってごらんください。
「唸る」「語る」とは、「読む」、「言う」とは「しゃべる」とは、ほんと、この違いを考えるだけでも、芸能ってそもそもなんなのと考えさえられます。
手元に置いておきたいですが、逆に書き留めて、心に書き留めておきたいと思います・・それほど内容の濃い本でおます。