落語家のことば 芸が生まれる現場から | |
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芸術新聞社 |
☆☆☆
噺家の、現場からの芸談。
もともと、噺家さんたちは外部の人、噺家以外の人に向かっては
芸談をしたがらない人が多い。
噺家の世界は、内部と外部とを峻別する世界だと・・・・。
「客」に向かって芸の秘密を語る必要はない。
そういうものは隠しておいて、自分たちの世界に置いておけばよい。
世阿弥の「秘すれば花」である。
といいながら、その噺家さんのいきざまを肯定するべく芸談が語られる。
最終気になったのが二つ
一つは、柳家さん喬さんの「人間のほんとの心」・・・
師匠小さんの言葉で「嘘はほんと、ほんとは嘘、だけどほんとはほんと。」
嘘のことはほんとのことのように演じろ、ほんとのことは嘘のように演じろ、
だけど、ほんとのことはほんとなんだ、人間のほんとの心ってのは、ほんとなんだよ、
ということだよ・・・。
もう一つは、桂枝雀さんの「演じ手とはなし手に分かれる」
「演じ手」は文楽でいうと、人形だけが見えてくる、
噺の中の登場人物になりきって演じてしまうタイプ。
「はなし手」は、演技をしている段取りで聞き手の了解を得ると
いういき方の演者で、人形遣いの姿がみえるタイプです・・・・と。
そう言われると、私の好きな噺家さんは、「演じ手」タイプなんですな。
まあ、落語家さんと呑む機会も多いですが、
落語について、話をするってことはまるでなく、
終始、たわいのない世間ばなし、バカ話で愉しんでいますな・・・・。