タンジブル 新鋭短歌シリーズ | |
クリエーター情報なし | |
書肆侃侃房 |
☆☆☆
タイトルの「タンジブル」とは、英単語のtangibleから、
さわられるものを、たしかなものを、という願いと意志をこめたものとか。
試されることの多くて冬の街 月よりうすいチョコレート噛む
無神経ずるい最低不誠実ゆびをなめたらにんげんの味
風吹かばいよいよ月は澄むばかり静かなる夜 鳴れよ携帯
彗星の近づきし日に朝食の皿を残して消えた恋人
恋人のように歩けば街路樹の落ち葉がぜんぶ裏返る道
うつ伏せの淡き夜明けにかなしみは六両編成で来たりて停まる
見切り品の漬物に手を伸ばす父 カゴに入れさせまいとする母
出勤を見送る母は玄関に猫を抱えて猫の手をふる
しのぶれど色に出にけるわたくしと飲む焼酎はおいしいですか
夏の朝かばんの底に二つ三つぜムクリップの散りて光れり
わたしたちを隔てる皿にさやさやとパルメジャ―ノの雪は降りつむ
無神経ずるい最低不誠実ゆびをなめたらにんげんの味
風吹かばいよいよ月は澄むばかり静かなる夜 鳴れよ携帯
彗星の近づきし日に朝食の皿を残して消えた恋人
恋人のように歩けば街路樹の落ち葉がぜんぶ裏返る道
うつ伏せの淡き夜明けにかなしみは六両編成で来たりて停まる
見切り品の漬物に手を伸ばす父 カゴに入れさせまいとする母
出勤を見送る母は玄関に猫を抱えて猫の手をふる
しのぶれど色に出にけるわたくしと飲む焼酎はおいしいですか
夏の朝かばんの底に二つ三つぜムクリップの散りて光れり
わたしたちを隔てる皿にさやさやとパルメジャ―ノの雪は降りつむ