ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

タンジブル(新鋭短歌シリーズ・2)~鯨井可菜子

2018-02-14 05:04:03 | 本の少し
タンジブル 新鋭短歌シリーズ
クリエーター情報なし
書肆侃侃房

☆☆☆

タイトルの「タンジブル」とは、英単語のtangibleから、
さわられるものを、たしかなものを、という願いと意志をこめたものとか。

試されることの多くて冬の街 月よりうすいチョコレート噛む

無神経ずるい最低不誠実ゆびをなめたらにんげんの味

風吹かばいよいよ月は澄むばかり静かなる夜 鳴れよ携帯

彗星の近づきし日に朝食の皿を残して消えた恋人

恋人のように歩けば街路樹の落ち葉がぜんぶ裏返る道

うつ伏せの淡き夜明けにかなしみは六両編成で来たりて停まる

見切り品の漬物に手を伸ばす父 カゴに入れさせまいとする母

出勤を見送る母は玄関に猫を抱えて猫の手をふる

しのぶれど色に出にけるわたくしと飲む焼酎はおいしいですか

夏の朝かばんの底に二つ三つぜムクリップの散りて光れり

 わたしたちを隔てる皿にさやさやとパルメジャ―ノの雪は降りつむ





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