日没後の雲海。沸き立つように動くさまは圧巻。
テント泊のその夜は天候が荒れに荒れました。
山が怒ってるみたいでコワイ。
ものすごい嵐で、テントが飛ばされるんじゃないかと思いました。
風と雨の音が凄まじく、
とっても疲れているのに、こういう環境に不慣れな私はあまり眠れませんでした。
新しいシュラフとシュラフカバーの寝心地は抜群で、
ふわふわでぬくぬくだったのに、音のせいで眠っても怖い夢を見たりして、残念でした。
それでもうとうとしたみたいで、それは音が静かになったから。
雨がみぞれに変わり、雪になったのです。
朝(といっても、午前3時半ですが)、起きると、
真っ暗なはずなのに所どころ明るかったので、雪が積もっているんだとわかりました。
フラッシュをたくとテーブルやベンチの真っ白な姿が。
明るくなる頃に冷たい雨が降ってきて、雪もほとんど消えました。
今年の初雪かなー。
でも頂上付近はここより寒いから、もっと残っているはず。
そして今も吹雪いている様子。
推測の域を出ないのは、山頂が見えないから。
高さにして200メートルも違わないのに、まったく見えない。
外は氷点下に近い気温、
ホカホカとあたたかいテントの中で、状況が好転するのを待ちました。
一向に姿を見せない山頂。
「これはムリだな。テントを撤収して、来た道を降りる」
午前6時、相方が決定しました。
タイムリミットです。
彼ひとりなら大丈夫かもしれないけれど、
視界も足場も悪いなかの登頂は、
13キロザックを背負ったビギナーの私にはリスクが高すぎると。
山頂はもっと高い。この写真では写っていません。
アタックしているひとの姿も小さく見えましたが、
もっと軽装だったり、男性だったり。
私とは場数も違うのでしょう。
ここは雲の上。
パンだってこのとおり。
気圧の変化でパンパンです。
シャレが言いたかったわけではないです。
「うん、いいよ。
ここまで来られたし、雷鳥さんにも会えたし、もういいよ」
テントの真横は南アルプスの女王、仙丈ケ岳。
こちらは山頂も天候良好なのに、お隣の北岳は嵐だなんて。
7時過ぎ、下山を始めました。
めまぐるしく、沸き立つように姿を変える雲海。
足がけいれんを起こしたくらい疲れているのに、ちゃんと眠れていないから、疲労感もピーク。
濡れた道を急ぎ足で歩き、時々、滑りそうになりながら、
「今日、登るひとは大変だな」と思い、その安全を願いました。
途中までご一緒したベテラン女性によると、
下りはつまさき着地が原則、ひざともものつけ根は曲げたままだそうです。
それはひざに体重を乗せきらないためと、
万一滑ったときに、かかとでブレーキをかけるためだとか。
これが、不慣れでももの筋肉も貧弱な私にはできなくって。
ランニングはかかと着地が基本だったし。
すぐにひざががくがくになりました。
それでも登るのはなかなかだったのに、降りるのは早い、早い。
12時過ぎ、無事、下山。
つり橋を渡ると山ともお別れ。
うんと前に見えるのは相方です。私、置き去り状態。昨日の仕返しか?
山の神さま、ありがとうございました。
甲府駅行きの直行バスに乗って、駅近くの銭湯でサッパリ。
特急あずさに乗り、ふたりで駅弁を食べ、相方はビールを飲み、
疲労回復にわぎうー。牛さん、ごめんなさい。
特急しなのに乗り、相方はビールを飲み、
のぞみに乗り、相方はビールを飲み、
在来線に乗り換えて、わが家へ帰ってきました。
と、まっすぐ帰ったのは私ひとりで、相方はいつもの飲み屋さんに吸い込まれていきました。
彼の帰宅は深夜。
明日(というかすでに今日)は早朝起床でゴルフなのに、シロクマグロめ!
そうそう、のぼりの途中、3,000メートル付近でね、雷鳥さんにも会いましたよ。
冬毛に生えかわり途中?まだらがキュート。
先に見つけたひとが教えてくれたのですが(このとき、相方はずっと後ろに置いてけぼりさ)、
ガスが出てくると、彼らも出てくるんですって。
不思議な鳥ですね。
6羽で行動していたのですが、
そんなにたくさんでいるのは珍しいんですって。
それもそのひとが教えてくれました。
私ほどにないにしても疲れているのに、
ニコニコして説明してくれる。
山で話しかけてくれるひとは、みなさん大変印象がよいです。
最近の若者、捨てたもんじゃないですねー。
女の子もたくましくって、かわいいです。
6羽いっぺんにレンズに納めたはずが、
写真を見てもみなさん保護色で、どこにいるのかサッパリ。
雷鳥さんたちが、手の伸ばせば届く距離を、
とことこと駆け抜けていったのにも、感激しました。
ふわふわ、ころころのあの体型で、
あんな厳しい世界を生き抜いているなんて、すごいです。
同じころころ体型として、見習わねば!