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「由布院 六花」一泊旅行②〔「由布院 六花」編〕

2023年05月24日 | 旅行記

「由布院 六花」。「六花(りっか)」と言えば、雪の結晶の異名を思い浮かべますが、当宿が6棟の離れであることがその名の由来なのかもしれません。いずれにしても、九州の宿で最も予約困難な宿のひとつで、ダメもとで空室待ちをしていたところ奇跡的に予約できました。

「六花」のある場所は、JR九州の久大本線「由布院駅」から徒歩でも10分程度で到着できる所ですが、金鱗湖へ通じるメインストリートとは駅を挟んで反対側(西側)にあり、メインの方の喧騒が嘘のようにのどかなエリアです。

(「六花」の目の前の景色。田植えが終わった水田に由布岳が映り込みます。この田んぼの向こうに久大本線が走っていますが、「ゆふいんの森」号でしょうか、列車が走っているのを見ました。)

チェックインは15時、10分程早めに着きました。

(iPhoneのカメラが光でハレーションを起こすほどのいい天気。)

ロビー・フロントはシンプルです。

(右の壁一面は薪で埋め尽くされています。もちろん壁として。湿度調整や断熱機能、抜群でしょうね。)

一泊二日の滞在中、私が見かけた従業員の方は5人、料理長がいらっしゃるようですので、全員で6人かも。6人で6棟の離れを運営するというのはなかなかたいへんだと勝手に想像します。そのせいか、最近の露天風呂付き離れタイプの宿では珍しく、チェックアウトが10時半と早め。(大体の宿が12時、早くても11時が相場です。) 掃除などがたいへんなんだろうと思いますが、私たちも、部屋の準備の最終確認をしているとのことで、数分ロビーのソファで待ってから案内されました。

ロビー棟を出ると右手に由布岳が見えます。

(奥の建物は離れです。)

私たちが泊る離れの前でロビー棟を振り返るとこの景色。

(右手の建物は食事処で個室になっています。水盤と通路を隔てるトクサ(短い竹のような植物)の作る雰囲気がシンプルだけどとてもいい。)

離れ「六」。

(各離れの名前は数字。「六」は「MU(むぅ)」と読むようです。)

引き戸を開けて踏み込みに入ると、目の前には、はめ殺しのガラス壁の向こうに露天風呂と中庭が見えます。

(このはめ殺しのガラス壁が部屋を広く見せる効果大。ありそうでない建築です。)

部屋は、斜め天井に渡っている立派な梁が古民家のテイストを少しだけ感じさせる、清潔感溢れるシンプルな作り。

(分かりづらいですが、畳は琉球畳風、ベッドエリアと洗面・脱衣場・トイレの床は天然木を粗く削ったような(肌触りはもちろん滑らかです)ビジュアルの無垢材。)

洗面所・脱衣場。ここからシャワースペースを通過して露天風呂に出ることができます。

(安っぽさを決して感じさせませんが、コストを抑えた作りであることが分かります。)

ちなみに最近チェックしてしまうシャワーヘッドは、TOTO製でした。(笑)

(使い勝手、とてもいいです。)

露天風呂は後にして先にテラスに出てみます。

(横長の部屋のほぼ全面が窓になっているので、テラスとの一体感があり、室内にいても広さを感じます。デッキの家具類、現在進行中の❝プライベートプロジェクト❞の参考になります。(笑) 露天風呂上がりにテラスの人工ラタンの椅子に座ってゆっくりくつろぐのにちょうどいい季節です。)

さて、露天風呂です。

(縁のヒノキ、湯舟の伊豆石、私が最も好きな組み合わせの浴槽です。)

中庭に降りて広角モードで全景を撮ってみました。

(私が足を楽々伸ばすことができる広さ。)

湯量(湧出量)は豊富で、首まで浸かってサバァーと湯が溢れても、数分後にはまたいっぱいになっています。泉質は弱アルカリ性の単純泉、肌がしっとりとする優しい温泉です。源泉温度が40℃とやや低めなので少し加温しているとのことですが、源泉かけ流しです。

温泉に浸かって見える中庭の景色。

(数本からなる細い株立ちが優しい印象で、当宿の温泉の優しさと合っています。優しい温泉に浸かりながら、優しい仕立ての樹々を愛でる感じ。)

部屋に戻って、最近の宿には必ず置かれているドリップマシーンでコーヒーを淹れて、由布院駅から金鱗湖に続くメイン通りにある手作りクッキー専門店「LINGON」のクッキーをいただきます。

(これ、美味しかったです。)

「六花」には貸切風呂はないので、部屋の露天風呂を楽しむことに専念できます。(笑)

(夕食は18時。それまで何度も温泉に浸かります。)

さて、夕食の時刻となりましたので食事処へ。九州は日没が遅いのでまだ日中のように明るいです。こちらが本日の献立。

(小さくて見えませんね。(笑) 「皐月の御献立」。)

■食前酒:りんご酒

(部屋「六」のキーホルダーとともに。)

乾杯のドリンクはスパークリングワインのハーフボトルにしました。

(スペインの「Codorniu(コドニュー)」という老舗ワイナリーの一本。)

■酒菜

(見事です。べんがら色の皿が素敵です。りんご酒の盃もべんがら色系、写メに写っていませんが、取り皿もべんがら色で、このさりげない統一感に気分が盛り上がります。)

左から順にアップの写メを。枝豆うに真丈、ローストビーフ、ペコロス?の酢漬け、そら豆。

冷製マスカルポーネチーズのフルーツサラダ。

若鮎塩焼き、ヤングコーン姿焼き。

(宿の方の説明では「これくらいの若鮎は頭から骨ごと食べることができます。」とのこと。お好みで蓼酢で。ヤングコーンは秩父長瀞の「セラヴィ」でも出ましたが、❝ひげ❞ごと食べることができます。)

嶺岡豆腐。

(嶺岡豆腐というお店の名前かと思ったら、胡麻豆腐の牛乳版のことを言うようです。胡麻豆腐のようにもっちりとした食感ですが、あの独特の胡麻豆腐感がなかったので不思議でしたが、合点がいきました。)

チーズ西京焼き。

(当宿の自慢の一品だそうです。確かに美味しい。ワインでも日本酒でも、酒のつまみにピッタリだと思います。自家製で作れるか、、、。)

穴子と胡瓜の寿し。

(大阪では通称❝あなきゅー❞。少量過ぎてキュウリの食感が全てに勝っていました。(笑))

■造里:鮃薄造り(ポンジュレ)、寒八、貝柱、烏賊

(「ポンジュレ」とはポン酢のジュレで、左上の小瓶に入っています。それをガラスの器のヒラメの薄造りにかけていただきます。うまい!)

鮃の薄造りが美しかったのでアップで。

(添えられている黄色い花は「キンギョソウ」の花。食用だそうですが「美味しくないので、、、」とのこと。(笑) それよりも私には「キンギョソウ」と聞くと「鬼灯の冷徹」の「金魚草」が思い出されて、余計に箸が出ません。(笑))

刺身の方も美しい。そして特徴的なのは刺身の下に敷かれたグレープフルーツの輪切り。

(軽く炙られている烏賊は確か紋甲イカだったかな。グレープフルーツは「甘いですから是非どうぞ」とのことで、食べてみると確かに甘かった。こういう使い方もあるのですね。)

ここで宿の方が水を持って来てくれました。「ここから歩いてすぐの所にある『若宮八幡社』の湧水です。柔らくてとても美味しいので是非どうぞ。」とのこと。

(確かに超軟水という感じで飲みやすい。「六花」に来る前に立ち寄った「霧嶋神社」の湧水もこんな優しい水だったのだろうか、、、。)

■口替り:冷製新じゃがのポタージュスープ

(口替りにいつからかスープを出すようになったそうです。旬替わりのようですが、「スープシリーズがお客様にご好評をいただいています。」とのこと。皿でガッツリいただきたい美味しさでした。(笑))

■蓋物:鰻と湯布野菜の養老蒸し

(養老蒸しとはすりおろした山芋を具材の上にのせて蒸した伝統料理。)

ここで次の飲み物を注文。妻は「大山のこだわりの梅酒」、私は「安心院(あじむ)ワイン」の「卑弥呼」の白を。

(梅酒のソーダ割がなみなみです。(笑) 「大山」は奥日田の宿「うめひびき」近くの梅畑が広がる地域。ざっくり日田と由布院は❝お隣❞ですね。)

■魚料理:伊佐木のポアレ、蒸し鮑、ホワイトアスパラソース

(うまい! もっと食べたい!(笑))

■肉料理:おおいた和牛サーロイン(石焼き)

(おススメの焼き方、ミディアムレアで出されますので、石の上で最後の焼きを入れて、醤油ベースのステーキソース、天然塩、ワサビをお好みでつけて。肉の上にはウニ。)

■御番菜:鰆の南蛮 ■御飯:湯布院米 ■留椀:赤出汁

(鰆の南蛮がめちゃうまでした。写メには小鉢の中が写っていませんが。(笑))

ご飯茶碗が飛び鉋の器でしたので、「あっ、小鹿田焼の器ですね。」と言うと、宿の方曰く「小鹿田焼は昔ながらの製法で作っているので高価なので、同じ飛び鉋模様の、お隣の小石原焼を使っています。」とのこと。兄弟窯の小鹿田焼と小石原焼にそんな差があることを知りました。

■水菓子:ティラミス、季節のフルーツ、アイス

(シャーベットみたいなアイスが特に美味しかったです。何のフルーツのアイスだったかな、、、思い出せず。(笑))

本日の夕食はこれで終了。とても工夫されていて思い出に残る夕食でした。何よりも食材のことや器のこと、この季節のこの地域のことなど、いろいろな話題を交えながら食事を運んでくれる宿の方のホスピタリティが最高でした。「六花」が人気があるのがよく分かる夕食でした。ごちそうさまでした。

さて、夕食前に宿の方が「ここから歩いてすぐの所でホタルが飛ぶのですが、今晩は結構出ると思います。もしよろしければ夕食の後にいかがですか。」と案内してくれました。なかなかホタルを見る機会もないので行ってみようということになりました。

(安全のため貸し出してくれる懐中電灯待ち。ここがフロント。これまで訪れた宿の中で最もシンプルなフロントです。)

アイリスオーヤマの懐中電灯をお借りして出発。

(宿の方が道を教えてくれます。「真っすぐ行ってください。すぐに左右の分かれ道に出ますので、右方面でホタルが飛んでいます。先程偵察して来ましたが、結構出ていましたので、楽しんで来てください。」とのこと。)

ご案内の通り、歩き出してものの数分でホタルを発見!

(iPhoneのカメラでもなかなかうまく撮れませんが、これはこれでホタルっぽいか。)

写メだとこの程度ですが、肉眼では淡い光を点滅させながら飛ぶホタルをたくさん見ることができました。

(20分くらいでしょうか、このあたりでホタル観賞していました。)

久大本線の線路がありました。

(踏切もないローカル地点。夜の線路というのは何だか寂しいものです。)

30分くらいの夜の散策でした。宿の前から見える由布岳❝夜バージョン❞。

(幻想的。iPhoneのカメラ機能のみでの撮影です。)

離れ「六」に帰ってきました。

(離れの玄関前からフロント棟を。夜の雰囲気もいいですね。)

この後、思う存分温泉に浸かってゆっくりしました。

(夜は肌寒いです。それがまた温泉の良さを引き立てます。)

今朝は6時の新幹線でしたので睡魔が襲ってきます。23時前には爆睡状態に落ちてしまったような、、、。いい一日でした。

 

翌朝。6時過ぎに目覚めましたが、霧の朝のようです。

(霧の朝とは、さすが由布院。朝食前に何度か温泉に浸かって目を覚まします。❝朝温泉❞はいつどこで浸かっても最高です。体と頭がしゃきっとしていく感覚。)

朝食は8時。初めて宿の草履を履きますが、大きい方が何か変。

(素敵な草履、、、ですが、鼻緒ってちょっと内側に入っていると思うのですが、大きい方の草履は両方とも鼻緒が右寄りのような。つまり、左用×2かも。(笑) この後草履を履いて食事処に行きましたが、特に不自由はなかったので、ご愛敬ということで。)

朝食です。

(美しいセッティング。それだけでワクワクして食欲が増します。サラダには日向夏のドレッシング。お隣の宮崎県の名産です。)

目覚めのスムージーはブルーベリー。

(粘度が高過ぎてひっくり返しても落ちてきません。(笑) 豆腐用のさじでいただきました。)

朝カレー、鮭、きゃらぶき、明太子などなど。どれも素材の良さが際立つ美味しさ。

(野菜がうまい!)

卵は、別府市で放し飼いされている鶏のブランド卵「蘭王」。醤油はひと手間かけたウニ醤油。

(黄身も白身もしっかりしている(=簡単には混ざらない)いい卵でした。)

お米が美味しい。多分昨晩も出た湯布院米でしょうね。味噌汁は豚汁風。卵かけご飯と朝カレーで食が進んで、ご飯も味噌汁もおかわりしました。

(写真のフレーム外ですが、梅干は大山の梅か、大粒で味が濃くあまり酸っぱくない。)

食後のデザートはクリームブリュレ。

(表面パリパリ。濃厚でコーヒーにベストマッチ。)

朝食も大満足です。ごちそうさまでした。

チェックアウトは10時半ですので、いつもよりは結構早く感じます。それでも泉質の素晴らしい温泉を最後まで楽しみました。既に日差しが強くなってきました。今日も快晴だけど暑くなる、そんな予感です。

(朝の霧が嘘のように晴れました。宿の方曰く、「朝に霧が出ると、その日はお天気が良くなります。」とのこと。いろいろなことを教えていただきました。)

チェックアウトです。宿の前とこの絶景の前で私たちの写真を撮ってもらいました。

(今日もいい一日になりますように。)

「由布院 六花」、予約困難な人気の宿ということがよく分かりました。公平性を担保するために、特に予約が集中する年末年始は常連さんも一見さんも平等に抽選だそうです。いつかまたその抽選に参加してみたいと思わせる名宿でした。

お世話になりました!

 

・・・「由布院 六花」一泊旅行③[完]〔「鶴見岳山頂」など復路道中編〕へ続く。

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