・どこかの田舎町?の店先で週刊誌(『隔週朝日』)を手にとるはまる。BGMがなぜに寅さん(笑)。いきなりはまるの一人語りで始まるというのも新機軸。
ところでこの『隔週朝日』(ナイスなネーミングだ)の表紙の男性モデルさん、「パねログ」によれば『めぐる』の衣装を担当された遠藤良樹さんだそう。本職のモデルさんのようなはまり方です。おもろいカメオ出演だなあ。
・永作にさらわれたおじいちゃんたちを心配していたら、なんと入った先の食堂であっさり出会ってしまう。その名も「丸顔食堂」。なんか緊迫感ないです。
そして7の形のウンコが出たといってポーズ付きで喜ぶ永作は、塾長と変なところで同レベル。
・取調室で氷高に尋問を受けるめぐる。めぐるの前にカツ丼が置かれているのがいかにも「容疑者吉田」然としてて笑った。
向かい合う氷高の前にはティーセット。意外にハイソな人ですね。
・吉田めぐるに関する調査書の内容を示すという形で、これまでのストーリーを振り返る。
「彼氏と復縁」はそれ自体全然超能力と関係ないし、「エロビデオ」に至っては事件でさえない。どんな調査書ですか。
・(めぐるがやっていることは)スケールが小さい、大した「自慢」じゃないという氷高に、「おせっかいなんです」「心に小さいおばちゃんを飼ってるんです」と話すめぐる。
「小さいおばちゃん」という表現がナイス。でもこれに続く、「みんなの心におばちゃんがいれば、私なんていなくても世の中はもっと平和に~」という発言は確かにその通りかも、とちょっと考えさせられてしまった。
力を世界平和のために役立てるなどと大上段に振りかぶるのでなく、目の前の小さな事件に一つ一つ誠実に懸命に対応していく、誰もがそのように振るまえれば――他人を思いやり行動する気持ちを持てば、世の中は少しずつでもよくなっていく。
そんな提言がさりげなくなされています。ところで今度の相棒は女性ですか。
・出頭した愛子が身代わりになったことで釈放されためぐる。「こうして私は晴れてシャバに出ることになりました」というモノローグがなんかヤクザ者のようでそのアンバランスさが可笑しい。
出迎えるユーキはいつもの「ダイアナ」の制服に「吉田めぐるは無実です」というタスキを掛けている。制服で社会運動めいたことをやって差し障りないんですかね。
次回予告ではユーキがめぐるの無実を訴えるビラを通りすがりの人に配ってる姿が出てたんですが、「尺がもったいねえって話で」カットされてしまったのが惜しい。DVDの未公開映像集でやっと見ることができました。
・めぐるとの再会を喜ぶユーキ。「13時間38分ぶりっす~!」と会えなかった時間を即座に正確に言えるユーキはすごい、つーかちょっとコワい。
しかし13時間38分・・・つまり半日ちょっと。実は全然大した時間じゃないんでは。
・「自分にとってめぐるはある意味危険人物。取り扱い注意?クマ出没注意的な?」 後半ヘンなこと言ってますが、さりげなく深い愛情のにじみ出た台詞のように感じます。
・ユーキは「めぐるが獄中にいる間~」と発言するたびにちょっと前かがみにお辞儀するような仕草になる。まさに「おつとめご苦労さまです」のボーズ。めぐるはヤクザの親分か。
・「ダイアナ」で立ち働く千鶴は以前より大分ローラースケートが上達している。前とまた違う制服を着ていますがこのデザインも可愛いな♪ユーキいわくめぐるが獄中にいる間にずいぶん練習したのだそうですが、獄中にいた時間って・・・たかだか半日じゃん?
あとでめぐる逮捕の報が週刊誌に載った日から翌日にかけて塾をやめる人間が押しかけたという話も出てくるので、めぐるが獄中にいた時間=ユーキとめぐるが最後に会ってから再会するまでの時間ではないんだろうか。収監中に面会に行ったってこと?
そもそもよく考えたら刑務所に入ったわけじゃないのに獄中獄中言ってるのもなあ。
・めぐるのいるテーブルの後ろで上手くローラーを操れずよたよたしてるのはなんと藪中店長。
新たなバイト先のレストランが「ダイアナ」社長=アキラに買収されてここで働くことになったという話が紹介され、「ダイアナ」の看板隣のアキラの顔の看板がアップになる。
こんな形でアキラが一応最登場してるのはやはり最終回のサービスということですかね。
・ローラーでよたよたしてた藪中が意外に確かな足どりでめぐるのテーブルにやってくる。というか歩いてくる。そもそも片足しかローラー履いてないのはなぜだ。そりゃ上手く滑れないはずです。
ホットドッグ屋台に勤めてなお石焼の鍋を運んでるのは、レストランを買収ついでに藪中の前職である焼肉店風のメニューを「ダイアナ」に取り込んだんですかね(もしやこれがラストで名前の出てきた「アミンバドッグ」なんだろうか。第一回に名のみ登場したアミンバがこんなところで再びネタになろうとは)。
そのためにもういい年の(大分性格にも問題のある)藪中を雇ったと。焼肉店時代はあれだけ衝突してたユーキがそれなりに面倒見てるのが微笑ましい。
・ユーキに「喋ってないで早く運んで」と言われて、オーダーを運ぶ藪中が妙にすーっと滑ってくと思ったら、「正直レールだよ」との台詞。映ってない足元に真っ直ぐなレール敷いてあるわけやね(笑)。
コメンタリーによるとこれは佐藤さんのアドリブだそうで。裏方をバラしまくってます。
・めぐるが獄中にいる間ムダ毛処理してなかったから、「もうじき眉が繋がりそうっす~!」と嬉々として語るユーキ。再会シーンからなんかユーキの眉がヘンだと思ったらわざとだったのか。
めぐるの無事を祈っての願掛けなんでしょうが、ヒゲはそって眉は手入れしないとか基準がよくわからない。しかもなぜか眉つながるのが嬉しそうだし。これ何か元ネタがあるんですかね。
・めぐるとユーキが上述のような会話をしてる間、背景で藪中店長がアキラの立看板をバキバキにちぎっている。
会社を買収された恨みがあるのはわかるんですが、こうして拾ってもらえたんだしさあ。この怪行動を周囲のお客さんはどう思っているやら。
・久々に塾へと向かうめぐるは自分が受け入れてもらえるか不安がるが、「もう以前の食いしん坊キャラにはもどれない」とかなんか緊迫感ないのがめぐるの良さですね。
看板があいかわらず「未来が見える吉田アカデミー」になってることで、自分は受け入れられてるとホッとしためぐるですが、塾長が「まーた落ちちゃったよ」と言いつつ拾い上げ、めぐるを見つめて慌てて隠した紙?には「容疑者」の文字が。
「容疑者吉田アカデミー」ってどんな塾だよ。だからますます生徒が辞めてくんじゃないか。
・戻ってきためぐるにテーブルの上狭しとつぎつぎお菓子を並べてくれる先生たち。やはりめぐるを歓迎するなら食べ物ですね。
しかしみちるの格好は模索中とはいえ講師としていかがなものか。どうせ生徒いないからいいのかなあ。
・最後の生徒も電話で辞める旨を伝えてきて、ついに塾解散へ。塾長は一人一人(例外あり)をゴレンジャーに例えて別れを告げる。
意表をついてめぐるがモモレンジャーでなくキレンジャーなのは、戦隊もののイエローは太っちょキャラが多いから食いしん坊のめぐるで、ということなんでしょうね。
・塾長は最後の挨拶がわりにヅラを外して床にそっと置く。この時の自分に酔った表情が最高です。これ山口百恵さんのラストコンサートが元ネタなんだそうで。バックに拍手や音楽まで流しながらの大仰なシーンが静かな笑いを呼ぶ。
ここで塾長が第一回以来の塾名のすべてを口にするのですが、さすがにちょっと噛んでいる。メイキングを見ると、このシーン噛んで噛んで10回くらいやりなおししてます。
武田さんが悪いのではなく、台詞の方に無理がある。ほとんど嫌がらせのような長台詞ですからね。よくぞやってのけたものです。拍手。
・塾解散を宣言したところに中三クラスの今市くんが入ってくる。彼が都立の二次募集に落ちたから引き続きこちらで世話になりたいと切り出すと、全員これで塾が存続できると大はしゃぎ。
気持ちはわかりますが、高校浪人が決定したばかりの今市くんの目の前でいかがなものかと。まあこうあけっぴろげに喜んでくれると、かえって落ち込まなくて済むような気もします。
この一連のシーン、ヅラ取ったあとの塾長の頭が不自然に見切れてたり、ライトが頭頂部にあたってたりと、あまりにあからさまな隠しっぷり。今市くんは塾長の頭にとくに反応してませんが、内心は気になってたでしょうね。
・はしゃぐあまりに塾長のヅラでキャッチボールをはじめる講師たち。
最初塾長は「やめろよ~」と笑ってますが、ヅラが窓から落っこちてトラックでいずこともなく運ばれるに至って一気にブチ切れたらしい。そのブチ切れの様子を結果―あちこちに傷を作った講師連の顔のアップで表現してるのがベタながら笑えます。
みちるの顔がほとんど傷ついてないのは、さすがに女の子の顔は殴れなかったのかと思ったら、めぐるは口の端が切れている。みちるが来て以来めぐるの扱い悪いよなあ。
・そして塾長はグレた時のめぐるよろしくカラーギャングのなりで鉄パイプ抱えて座り込んでる。
こんなに先生が次々にグレる塾ってのもすごいよなあ。グレながらも塾には出てくるし。
・ちょうど塾を訪ねてきたユーキにめぐるは「ユーキくんに頼みたいことがあるの」というが、ユーキは内容を聞きもせずに「いやー無理っすね」と即答。
「めぐるの考えてることは大体わかるんで、尺がもったいねえっす」というなり、いきなり場面が代わってはまるとユーキが会ってる場面に。「つーわけで自分が代理の吉田ユーキっす」。
「尺がもったいねえ」の一言でいきなりの場面転換をギャグとして成立させてしまう力技が素晴らしい。さらにめぐるの父に向かって堂々入り婿宣言してるに等しいユーキのストレートっぷりはさすがです。
・永作と遭遇した定食屋「丸顔食堂」でカツ丼を食べるはまる。ユーキに永作の消息を伏せておくのみならず、永作の潜伏場所にあいかわらず出入りしてるってのもなあ。
一応妻や娘と義理の弟の間で板ばさみになって苦しんでるはずではあるんですが、永作の身内特権でただ飯食いに来てるように見えちゃうんだよなー。
・永作が潜伏している「丸顔食堂」の二階には「人間だもん」の掛け軸が。さらにその隣に飾られた色紙には「Aランチ最高」とある。
これ永作が書いたのか?つくづく小ネタが楽しいです。
・マスコミが何を言おうと、それが真実であるかどうか関係なく、母の命の恩人だからと永作を尊敬し守りつづける「丸顔食堂」の主人。
おじいちゃんとの会話の内容からしても、彼は永作がインチキ教祖であることは重々理解している。永作が何度も訪ねてきてはガンを宣告された母親に「絶対治る」と繰り返したのも純粋な親切心からではなく実質ただ飯食いにきてただけだとわかっている。
それでも藁にもすがりたい心境だったはずのこの親子には永作の自信たっぷりの断言口調が心の救いになった。だからインチキであろうと彼が自分たちの心を救ってくれた事実は消えない。永作の正体をわかったうえでなお忠節を尽くす主人の生き方は愚かしくも実に清清しく美しい。
社会的刑事的な事件を起こした宗教団体の信者さんがなお教祖を見放そうとしないのはこういう心理なのかなとふと考えました。
・ご主人は、自分を褒め称えるのを聞いて居心地悪げに出て行く永作を見送って、「また嫌われてしまいました」と薄く微笑む。彼はきっと永作が根っから腐っていないことを信じてもいたのでしょうね。
・おじいちゃんが見た20年後の「丸顔食堂」の母子はお母さんのほうはいまだに元気で息子のほうが鬼籍に入っている。しかも見た目がそれほど変わってないので数年以内にお亡くなりになるものと思われます。
思わず主人に「保険入ってますか?」と尋ねてしまうあたりは昔取った杵柄ですね。
しかしお母さんの見た目が変わらなすぎなのは何事でしょうか。
・夜永作と二人で酒を飲みながら、自分はいつ頃死ぬ予定なのかと尋ねるおじいちゃん。
見えないのを承知で質問したのは主人の話を聞いて、全てわかったうえで永作を恩人と立て慕っている人の存在を知り、永作の人間性を試してみようと思ったからでしょう。
そして永作は以前「もう長くない」といった言葉に反して「長生きするんじゃないんですか。散歩とかしてるし」とぶっきらぼうに言う。
主人の時と違って、おじいちゃんを嬉しがらせるようなことを言っても、ただ飯食えるとかの恩恵はなんらついてこない。それでもおじいちゃんの気が休まるようなことを言ってくれたのは永作の優しさであり、そのぶっきらぼうな口調や、前に主人に「よけいなことは言うな」と言ったのにも、永作が自分の優しさを表に出すのをよしとしない存外照れ屋で不器用な男なのが感じ取れる。
だからおじいちゃんは嬉しそうな含み笑いをもらしていたんでしょうね。ここから二人の関係は再び父子らしい絆を少しずつ取り戻してゆきます。
(つづく)