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俳優・勝地涼くんのこと。

『機動戦士ガンダム00』(1)-17(注・ネタバレしてます)

2025-03-31 21:06:44 | ガンダム00

カティ・マネキン

AEUの戦術予報士にしてMS部隊の戦術指揮官。階級は大佐。その後地球連邦軍発足にともない連邦軍に移り、アロウズから招聘を受けて(いやいやながら)アロウズに移る。
ブレイクピラー事件を機に完全にアロウズに愛想を尽かし、行方をくらました後ひそかにカタロンと協力、ヴェーダ奪還をかけてのアロウズ対ソレスタルビーイングの最終決戦時にソレスタルビーイングに加勢、彼らの勝利とアロウズ解体に大きく貢献する。その後新生地球連邦軍に所属、准将に昇進する。

“女傑”とか“鉄の女”とかいったフレーズがぴったりくるような、知的でクールな美貌と男性的というかいかにも軍人的な、高圧的ともいえる話し方が印象的。それは初登場シーン、遅刻してきたコーラサワーをいきなり張り倒す場面で鮮やかに示される。
不意を打たれたとはいえ大の男、それもエースパイロットなのだから運動神経は人一倍優れているはずのコーラサワーを一発で吹っ飛ばすあたりに、彼女の鍛え方がわかるというものだ。
下の者を甘やかさず上の者にへつらわず堂々と正論を述べる彼女を煙たく思う人間は多いだろうが(アロウズの上級士官、グッドマン准将やリント少佐などが好例)、部下からはその公正さ、媚びない態度で案外慕われてるのではないか。
美女なのに色っぽくない(というより意識的に色気を振りまかないようにしていることで、その毅然たる態度がかえって凛とした色香を醸し出しているようでもある。コーラサワーがマネキンに一目惚れしたのは、彼女の顔の造作だけでなくその〈色っぽくない色香〉に捕まってしまったのでは?と思っている)のも男女問わず周囲に好印象を与えていることだろう。

しかし回想シーンの大学時代など見ると、髪を下ろし薄い水色のワンピースを着ているのもあって、雰囲気がずっと柔らかい。
まだ軍隊入隊前で、ビリーの台詞からするにすでに彼女が発表した戦術が実戦で利用され戦果を挙げているそうだが、本人が直接に作戦指揮を取って命のやりとりに関わってはいないのだろうから柔らかくて当然ではあるのだが、マネキンを作中のような“鉄の女”たらしめたのは、やはり例の同士撃ちの件が大きいのではないか。

マネキンは初登場の時点ですでに若くして(30前後くらい?)大佐の地位にある。ビリーの情報が正しければ大学時代に佐官待遇でスカウトを受けていたというから、入隊時から少佐とかだったのかもしれないが、きわめて順調に出世を重ねているように思える。
この件で降格処分を受けていればこうはならないだろう。つまり友軍同士の同士撃ちという事態を招いたのは誤情報が原因で、その情報に基づいて戦術を立てたマネキンやリーサ・クジョウ(スメラギ)に直接の非はないと見なされたのではないか。
スメラギの回想で事件後上官から「優秀すぎたんだよ、君たちは」と言われる場面があるが、これも叱責という口調ではなく嘆き節という感じだった。スメラギたちの優秀さが結果的に被害を拡大させたのは事実だが、彼女たちを責めるのは酷だというのが上層部の共通認識だったものと思われる。
とはいえ実際に作戦立案をした立場としては、責任を問われずとも良心の痛みを感じずにはいられなかっただろう。リント少佐にこの件について当てこすられた時にリントの胸倉を掴むほど激高していたことからしても、マネキンがこの件で受けた衝撃が相当大きかったのがわかる。
しかし一方の当事者であるスメラギは軍を退役したのに対し、マネキンは軍に残ることを選んだ。そしてその時点で彼女はある覚悟を固めたのではないか。

想像だが、戦術予報士とは語感から連想される気象予報士同様、過去に使用された古今東西の戦術を分析し目下のミッションに最適な戦術を割り出す、それも考えうるあらゆる状況の変化に対し、その時々で打つべき手も前もって考案し、“プランBからプランCに移行”のように細かく戦術を切り替えてゆく仕事なのだろうと思う。
状況の変化にリアルタイムで対応する必要はあるが戦術予報士自らが武器をとって戦うわけではないので、戦況を把握できる環境さえ確保されていれば本人が前線にいる必要はないのだろう。
ファーストシーズン前半のスメラギも、ガンダムマイスターたちが戦っている間戦況に応じて指示は出しても彼女が乗るプトレマイオスは後方の安全地帯にいた(だからこそ初めてプトレマイオスが直接攻撃にさらされた時クリスが怯えるあまりパニックに陥った)。甚だしきは三国家群による合同軍事演習(という名のガンダム鹵獲作戦)の時、マイスターたちが十数時間も敵の大物量攻撃にただただ耐え続けていたとき、スメラギはじめマイスター以外のクルーは王留美の別荘に滞在していた(もちろん前線の仲間の無事を案じながらだが)。
しかしマネキンは彼女が関わっているほとんどの作戦において最前線とはいかずとも戦場に身を置いている。セカンドシーズンの初期、リント少佐立案による海中のプトレマイオス2を襲撃する作戦の際など、ソレスタルビーイングの反撃に遭い、ミスター・ブシドーが現れるのがもう少し遅ければ彼女やリントの乗る空母はダブルオーガンダムの攻撃で撃沈されていたはずだ。
現役軍人、それもMS部隊の戦術指揮官であるマネキンと民間組織に所属するスメラギでは立場が違うのは確かだが、彼女は望んで積極的に現場に出ているのではないか。そのために戦術予報士というだけでなく、MS部隊指揮官をも引き受けて危険を承知で戦場に立っているのではないか。
同士撃ち事件の時に自分が現場にいたなら相手が友軍だともっと早く気づけた、あれほどの惨事に至ることはなかったとの思いがあって(現場にいなかったというはっきりした描写はないが、いたならああはならなかったろう)、直接前線の空気を肌で感じることを自身に課すようになったのではないだろうか?
スメラギが「二度と間違えない」と決めてソレスタルビーイングに参加したように、マネキンも「二度と間違えない」覚悟で戦場に出ているのではないか、そんな気がするのである。

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