・新人戦への出場決定を「君が伝えろ」とカトケンに言う小津。すでに去ってゆく身としてカトケンを前面に出そうとしているのがうかがえる。
・小津やカトケンの指示を待つのでなく、どこをもっと練習すべきなのか部員たちが自分で考えるようになっている。光蔭高校バスケ部の黄金時代と呼ぶべき時期。
彼らを見つめる小津の笑顔が嬉しそうで、そして彼らと別れねばならない寂しさも滲み出ていて・・・。
・「後輩がいるんだ。若いコーチだ」 よく考えてみれば光蔭高校では、いやそもそも教師としても小津の方が後輩なんだが。
・夜の広場?でバスケに興じるバスケ部5人組。私服なのとリラックスした笑顔のせいで、練習というよりはみんなで楽しく遊んでいるかのよう。
学校での練習を終えたあとでこれなのだから、いまやみんな根っからバスケが好きなのですね。
・生徒たちを見守るカトケンとみゅー先生の会話。
「ちょっと尊敬、かーのこと」と微笑むみゅー先生に、照れ隠しにおちゃらけて、あえて過去の「ダメ」な自分を踏襲するような台詞を言ってみたりして、「軽蔑」なんて言われちゃうカトケンの不器用さは相変わらず。
これ、この二人の黄金パターンの会話の流れですね。でも口では「軽蔑」とか言いながら、みゅー先生はちゃんとカトケンの「照れ」を理解したうえで「可愛い奴」だと思ってるんじゃないかな。
・なんだかんだでみゅー先生はカトケン宅にやってきて二人きりでお酒を飲んだりしてる。初期に比べて二人の距離がぐっと縮まっているのがわかります。
でも乾杯の時の、「僕と君のために」「僕と君の、何?」「僕と君の・・・新人戦のために」「それならよーし!(明るい笑顔)」というやりとりの後、一瞬カトケンが「ちぇっ!(まだ色っぽいネタはダメかー)」という顔をしているあたり、恋人同士になれるのはまだまだ先かな?という感じもします。
・わざとらしく小津が「87年のブランムートンがないな」と言ったときに、カトケンとみゅー先生が居心地悪げに腰をずらすタイミングがぴったりで笑ってしまいました。
反応がツーカーというか・・・こういうシーンを見ると、この二人お似合いだよなあと思います。
・「単に酔っ払うのが好き」「本当は私レモンサワーが好き」。ダンディなイメージを崩す発言を繰り返したあげく「ワイン好きの振りするとさ、女性にもてるじゃないか」。
みゅー先生は「やっぱりただのオヤジだったんだ」と言うけど、むしろこういう女好き(これも「振り」だと思いますが)な発言も、小津という男のダンディズムをより際立たせていて、格好良いと思うんですが。
・遥が井本だけに弁当を作ってきた件で拗ねてみせる小津と井本たちとの会話。「今度の小テストで五点マイナス」「えっ、俺関係ないでしょ」なんてやりとりから、彼らの信頼関係が伝わってくる。
そして小津にシュートを打って見せてくれと繰り返す井本。その表情もちょっと幼い口調も「ねだる」という表現がぴったり。
前回で井本が父に「捨てられた」こと、出会った当時の小津に父親(の悪い面)を重ね合わせていたことが描かれているので、彼が(おそらくは無意識に)小津を父親のように慕っているのが感じ取れます。
校長先生に「子供がね、甘えてきました」と苦笑気味に話す小津の顔もまるで息子のことを語るかのようです。
・体育館で集団で小津を囲む男女バスケ部員とバスケ部関係の先生たち。
険しい表情も含め一見吊るし上げめいて見えますが、それだけ彼らが小津を慕っているのが伝わってくる。新人戦についての説明なんて誰も聞いちゃいないし。
ただ年若い生徒たちはまだしも、カトケンたち先生までも(彼らの方がキャリアは長いのに)小津に依存する気持ちが強すぎるきらいはありますね。
佐野先生に「小津先生にすがろうなんてそんな甘いこと考えてるから」と言われて「違います」と言ってるけども。
・「わかるだろう君たちだって。私が先生に向いてないことは」。確かに型破りではあるかもしれないけれど、ある意味これほど先生にふさわしい人もいない。
でなければ何年も教師をやってる人々が、こないだまで銀行員だった彼を教師として信頼・尊敬したりしないだろうから。
・小津が学校をやめるのを「誰かのためなのかな」と看破する一葉先生。
実際小津の行動は(教師を辞めることで新人戦に出場できるようにする、銀行に戻ることでコモリやワンコのような「銀行の貸し付けの被害者」に償いをする、という二つの理由で)生徒のためだった。
「先生に向いてない」なんて言いながら、まさに先生そのものだと思います。
・「ヒーローになりたいのかよ。俺、あんたのそういうとこ嫌いだよ」。「嫌い」と言っているのに、「好き」だといってるように聞こえてしまう。そのあとの「やめんなよ!泣いちゃうぞ、俺」といういい年した男とも思えない言葉も。
そして「俺も・・・」と言葉を詰まらせる小津。しばらくの沈黙のあと、「飲むか」「高いワインじゃなきゃ許さねえ」。男たちの友情が切ない。
・教室の窓から校庭へと飛ぶ紙飛行機。この映像だけで、それを飛ばしたのが井本であること、彼をはじめとするバスケ部員たちが再び心を閉ざしてしまったことが伝わってくる。第一回を踏まえての、ごく簡素にして見事な演出。
・「あんたは俺たちのさ・・・」 直接小津に向かい合い、そして肝心なことは言えないまま皆の先陣をきって教室を後にしたのは松沢だった。
父親の横暴から助けられた経験のある松沢は、井本同様小津に「あるべき父親の姿」を見る気分が一際強かったのかも。
・「気づいたんだ、ヘタだって」 ストーリーの初期から時折挿入されてきた妙にヘタクソなブラスバンドの演奏には何の意味があるのかと思ってたんですが、ここに来て彼女たちのヘタさ加減ががバスケ部とリンクしていたのに気づかされました。
ちょうどバスケ部員らが小津に対する態度を硬化させてるタイミングでこの短いエピソードが入ることで、彼らの再奮起が遠くないのが示されています。
・職員室で小津に「ずっとそばにいてくれると思ったから!見てくれると思ったから!」と気持ちをぶつけるみゅー先生。
ほとんど愛の告白のような台詞ですが、続く言葉は「お父さんの代わりに」。いまだ恋愛よりも父親に対する想いの方が彼女の中では大きいみたい。カトケンが報われる日はまだ遠いようです。
小津が彼女を突き放したのはその「ファザコン」気質に冷水を浴びせる意味もあったんでしょうね。
・「コートを広く使え」と言う小津の指示を受けて、カトケンは「ディフェンスの練習」と別の指示を出す。それが自分の後を引き継がせようとする小津の意思に叶うことだと信じて。
この時、小津はカトケンに向けて目配せどころか目を合わせもしない。そういったわかりやすい合図は全く出さなくてもカトケンには通じると思っている。
そして皆がカトケンに従って動いた後で、はじめてカトケンの視線に頷いてみせる。二人の信頼関係がよくわかる場面です。
・小津の悪口雑言に「あんたが今まで言ってきたこと何だったんだよ!」と食ってかかったのは井本だった。
やはり彼がバスケ部メンバー中でも小津に対する想いが一番深いのでしょうね。井本を止めるカトケンの表情が何とも言えず切ない。
・「あんたなんかいらない!」「俺がこいつら勝たしてやるよ!」 小津に向かって怒鳴るカトケンもそれを聞く小津も密かに涙目。
小津の真意を何も知らされていない佐野先生が「あなたはやることがいちいちひねくれてる」と彼をちゃんと理解してくれていたのが何だか嬉しい。
この場面、二人とも後ろからのアングルで顔は映らないのに、声のトーンでちょっと苦笑してみせてる佐野先生の表情が自然と浮かんでくる。小日向さん、さすがの名演です。このあとの「やっとスリッパが似合ってきたのに」の泣き笑い顔も。
・小津の志、ダンディズムに敬意を払えばこそあえて彼を引き止めなかった校長先生。
生徒のみならず、先生たちからも深く信頼され、一葉先生や佐野先生のように何も言わずとも本心をわかってくれる理解者もいる(むしろ小津に精神的に寄りかかるところの多い先生―カトケンやみゅー先生、まなび先生―ほど、他人から聞かされるまで小津先生の「本心」を察することができなかった)。
第一回の時点では問題教師の集まりと見えた彼らが小津との関わりを通して一つ成長していればこそ。
・「殴るんなら腹にしてくれ。顔は私の命だ」 こんな気障な台詞が嫌味なく決まってしまうのはさすが小津。むしろ田村さんがさすが、というべきだろうか。
・小津に渡されたファイルをめくったみゅー先生は、はっとした顔で校門の方を見つめる。これだけ詳細なデータを残してゆく人がバスケ部をどうでもいいと思っているはずがないと気づいたのだろう。
・井本の、ひいてはバスケ部の生徒たちの思い出の品ともいうべき紙飛行機を手に、タクシーの中で静かに嗚咽する。彼が泣くのは第一回で銀行員としての再起を断念し教師になる決意をして以来。
あの時の涙は古巣の銀行や銀行の仕事への愛着よりも、再起が叶わなかった自分の無力さ、挫折感に対するもののように思えたが、今度の涙は光蔭高校とそこの先生、生徒たちとの別れを惜しむがゆえ。
最初は根っからの銀行員と見えた小津がいつかすっかり教師になりきっていた。だからこそ全てが片付いた後、彼は銀行ではなく学校を選んで戻ってくるのですね。
〈最終回〉
・不良債権の処理を行うにあたって、債務者を最優先にすると宣言する小津。
小津が銀行に戻ったのは、バスケ部を新人戦に出場させるために教職を引いたから、というだけでなく、コモリ(父親経由でワンコも)の人生を揺るがした「銀行屋」として、彼らのような犠牲者をこれ以上作るまいと思えばこそだったのが改めて伝わってきます。
・小津が残したノートを破れとカトケンが迫られたさい、まなび先生が泣き出す。
「あんたも何か知ってんだな!」といつになく興奮気味にせまる佐野先生。小津先生を本当に好きになってたんですね。ほかの先生たちとの息も実にぴったり。
まなび先生の「自白します」がいかに良心の痛みを覚えていたかを表していて絶妙。
・小津先生の真意を知らされたバスケ部員たち。
「引っ掛かったか」と例のニヒルな笑みを見せる三上と「汚いよな、あいつ」と一見罵倒めいた言葉を口にする松沢。その乱暴な言い方を咎めないどころか「本当よね」と肯定するみゅー先生。皆小津先生を慕っていればこそ。
・バスケ部一同を先導して興洋銀行に乗り込むみゅー先生。いざ入る段になると彼女が一番気後れしてるのが可笑しい。
受付でも「小津先生・・・」と言いかけて松沢につっこまれ、「社会見学ですね」との受付嬢の言葉にも一人反応が遅れてるし。
そしてこの時真っ先に「ぼくたち光蔭高校の・・・」と切り出したのがワンコだった。絵理を連れ戻しに地下クラブ?に乗り込んだときといい、案外度胸のいい一面がある。
そして終始三上がニコニコと機嫌が良い。受付嬢が美人だったからかな?ピースまでしてるし。
・いきなり銀行まで訪ねてきたバスケ部員たちに対して小津は嫌な顔をしない。また訪ねてくるからには自分の真意がバレたのもわかったろうに動揺も見せない。
バカ正直なカトケンがいつまでも自分を悪者にしておけるはずはない、知れるのは時間の問題だと思ってたんでしょう。
・役員専用のレストランで食事するバスケ部員たちが、意外にもマナーがよさそう。
・小津に問いかけ、また思いを口にするバスケ部一同。
「そうなんでしょ?」と言ったあとのワンコの目には、静かな中にじっと訴えかけるような強い光があって思わず引き込まれてしまった。
・「新人戦見に来て」と繰り返す井本。少し幼い言葉つきの中にすがるような真剣な響きがある。表面はクールなようで、一番小津先生を求めているのは彼なんでしょうね。
・「サボッたことを問題にしてるんじゃない。会いに行ったことだ。小津先生は銀行に戻った。いつまでもすがってちゃいけない。自分たちで新人戦を戦いなさい」。
授業をサボッたこと自体は無問題と言い切るのは「学校組織の一員としての教師」にはあるまじき発言ですが、後半部分は「生徒を教え導く人生の指南役としての教師」にふさわしい言葉でした。
当初は前者のタイプの教師の典型として登場した佐野先生が、本来の意味での「教師」に変化していった(元々の彼の在り方に返った)のがこの台詞に集約されているようで、なんだか嬉しくなりました。
・荷造りする小津先生の台詞「カトケン、君さ、恋人と同棲解消するわけじゃないんだからさ」に対して、「似たようなもんだ」と素で返すカトケンに驚く。
小津先生をあれだけ迷惑がっていたカトケンなのに、今やすっかり彼なしの生活は考えられなくなってるんだなあ。
・「みゅー先生の弱点教えようか」の言葉に「知りたい」とにやけ声で応じるカトケン。
「耳の後ろに息吹きかけるんだよ。みゅーはそこに弱い」というスケベチックな小津発言に「なんでそんなこと知ってんだよ」とツッコむのはいつものノリだが、口調に笑いが含まれていて、別れを前にいつも通りのしょうもない掛け合いの一つ一つを大切に、愛おしさをもって噛み締めているのが感じられる。
そのあとのやりとりもすべて口調に鋭さはなく、いつまでもこうやってくだらない言い合いをしていたい、小津先生と過ごす時間を少しでも長引かせたいというしみじみした思いが伝わってくる。切ない場面。
・「あいつらにコートに忘れ物させるな」 シンプルな中に感慨の詰まった名台詞。
・銀行で不良債権処理に取り組む小津とバスケ部の練習の様子(カトケンの頑張る姿を主軸に)が交互に描かれる。
小津は仕事の合間にボードにフォーメーションの図を書いてみたり紙飛行機をもてあそんでみたりしているし、生徒もカトケンも小津を思いながら練習に励んでいる。
離れて別々のことをしていても彼らの心はちゃんと繋がってるのですね。
・試合を前にカトケンの言葉を表面は淡々と―おそらく内心ではプレッシャーにつぶされそうになりながら―聞いていた部員たちが「小津先生からみんなにメッセージ」と聞いたとたんはっと顔を上げる。
小津本人はその場にいなくても彼の言葉は部員たちにもカトケンにも圧倒的な影響力をもっている。
・以前は井本と三上を中心として攻める試合運びをしていたが、この試合では、やはり二人の間でパスが行き交うことが一番多いものの、ワンコや松沢にボールが渡る場面も結構あって、全員一丸になって戦っている、それができるほどに全員に実力がついてきたのが示されている。
個人的には初めてワンコがシュートを入れる場面があったのにちょっと感激。
・久々のコモリ登場。髪もすっきりと短くなって、荒っぽい現場での肉体労働を「教室で座ってるよりは楽です」と(強がりであろうとも)さらっと言う彼は以前とは別人のように精神的に逞しくなっている。
そして「親父が応援してこいって」との言葉に、かつて倒産・夜逃げの危機に瀕してもなお体面ばかり気にして、息子の気持ちなど考えていなかった(ように見えた)父親との間も上手くいっていることがうかがえます。
・島谷(大杉漣さん)の「生徒か?」という問いに小津は「いや」と答える。それは続けて説明するようにコモリが正確には「元生徒」だからという意味も勿論あるだろうが、自分はもう「教師」ではない、「銀行屋」としてコモリのような子供の不幸に対し責任を取るのだ、と言っているように思えました。
島谷がコモリに「先生今行くから」と言うのも、小津の言葉を受けたうえで「おまえは銀行屋じゃなくて教師だ」というニュアンスを含んでいたのでは。
・第一回から一貫して銀行側の勝手な都合の代弁者として小津の人生を左右しつづけてきた島谷。ここで初めて彼は「自分の責任」によって行動し、小津を教師に戻してやる。
興洋銀行の一員としても個人的友人としても小津を必要としているはずの彼があえて小津の背中を押すところに静かな感慨があります。
・相手側のファウルで松沢が失神・退場して光蔭高校は4名になってしまう。ここでコモリが参戦する!と思ってしまったのは私だけでしょうか。
ところで意識を失ってる松沢に皆が呼び掛けるシーンで「ベースケ」と言ってるように聞こえるんですが・・・ニックネーム?ひょっとして「スケベ」のもじり?
一葉先生に色っぽく迫ってた?前科があるだけに、そんな仇名が付いてても不思議じゃないような。
・コートに颯爽と入ってきて、松沢を揺り起こすコモリの挙措にも言葉にも表情にもかつてない自信が満ち溢れている。
それは若くして自力で生計を立てているという自負心と、何より一度は帰りかけた小津先生を試合場に連れて来た(帰りかけた事情はよくわかってないでしょうが)ことへの誇らしさゆえだったんじゃないか。皆を促すように観客席の小津先生を見上げたコモリの晴れやかな笑顔を見ていると、そんな気がしてきます。
そして松沢を抱き起こすさい「ちょっとどいてくれ」と三上を突きのけている。抱き起こそうとすれば位置的に三上をどかすことになるのは自然なんですが、それが他ならぬ三上―コモリが抜けた後に入った新メンバー―であるだけに、この時瞬間的にコモリが光蔭高校バスケ部一員としての立ち位置を回復したことが暗示されているのかな、と思えます。
・「銀行改革のための草案」を発表する島谷。新体制づくりはいいとして、「皆様経営陣の抜本的刷新」の言葉に驚いた。
たしかに大幅な改革を行おうというのだから体制の大幅刷新が図られるのは当然なんですが、首のかかっている経営陣から相当な反発が出るのは必至。
それを容易に予測できたはずの島谷が、あえて一人で反発の矢面に立つ選択をした(「抜本的」という発声の力の篭め方に彼の覚悟のほどがうかがえる)ことに改めて小津に対する彼の友情を感じました。
・観客席の佐野先生がカトケンの采配に「何やってんだよー」といらいらしたりしているのに、彼が前の高校でバスケ部顧問だったことを思い出しました。
バスケ部員に刺されたのがトラウマになり生徒に真剣に向き合う気力を失っていた彼が、今やバスケ部の戦いぶりに一喜一憂している。小津先生を媒介に心の痛手を乗り越えられたのですね。
・「これで満足だよな」と言う井本を見る光蔭高校のメンバー(コモリ含む)はそれぞれにいい顔で笑っている。対して勝ったはずの浅倉側のほうがすっかり負け犬の表情。
彼らもそれがわかっていたからこそ光蔭に自分たちだけの試合を挑む。「やろうぜ、俺たちだけで」と井本が言ったときの浅倉キャプテンの笑顔が印象的です。
・「教えることはない。教わったのは私だ」。会議の席での島谷の「小津くんが学校で教わったことだそうです」と対応する台詞。
先生が生徒に一方的に教えるのではなく、彼らからも教わり成長してゆく。成長してゆかねばならない。それがこの作品のテーマなのでしょう。
・自分たちでタイムをとり作品を決める部員たちの晴れやかな顔を離れた場所から見つめる柳沼先生。彼らのこんな顔見たことなかったんでしょうね。思わず熱く指示をとばす彼が竹刀を放り捨てる場面が象徴的。
・勝利に躍り上がって喜ぶバスケ部員+先生たち。佐野先生まで文字通り飛び上がってる。ピカとワンコが抱き合う姿。この二人本当仲良いんだな。
そして皆が喜びにひたる中、井本が相手キャプテンに握手を求める。真っ先に冷静かつスマートに動けるあたり、やはり彼がキャプテンなんだな、と感じさせます。
そしてもちろんダンディが身上?の小津先生ははしゃぎまわったりはしない。さすがです。
・いかにもやる気なさげな新入部員たちの傍若無人ぶりを微苦笑で見守るバスケ部五人衆。
バスケットボールでサッカーする新入生たちを直接叱らないのは、小津の「一つだけ教えてもいいか」を待ってたんだな、というのがラストシーンで明かされる。
この新入生たちも小津や先輩達に感化されて立派に成長してゆくのでしょうね。
そして翌年先輩たちが卒業したあとは、必然的にワンコが一人でこの後輩たちを束ねていくわけだ・・・ちょっと不安が(笑)。