ソーマ・ピーリス(マリー・パーファシー)
人革連の超兵第一号の少女。人間離れした反射能力に裏打ちされた高い戦闘力を誇り、登場当初は戦闘マシンのような無機質な厳しい表情と態度が印象的だった。一方で外見的には華奢で顔立ちも幼く、14、5歳としか見えない。スミルノフ大佐が「乙女」と評するのも無理からぬところ。
14、5歳で正規に軍隊に所属できるのかという疑問は超兵だから例外と解釈するとしても、セカンドシーズンの回想シーンを見るかぎり、彼女はアレルヤと同年配に見える。アレルヤがファーストシーズン時点で19~20歳(超人機関破壊ミッションの直後に20歳を迎えた)なのは確定なので、実はピーリスもああ見えて20歳前後なのか?
彼女はアレルヤと出会った頃、脳をいじられた関係で全くの寝たきりになっていたから、その分骨格の成長が遅れたとかあるのかも。
そんな彼女も4年を経たセカンドシーズンでは大分大人っぽくなった。第一話の私服のシーンなどは雰囲気も柔らかく、マリーと差を感じないほどだ。これは4年間ガンダムが現れなかったこともあり軍人ながらも比較的平穏な時間が続いていたこと、セルゲイ・スミルノフ大佐が一緒にいたというのも大きいのだろうが。
実際マリー・パーファシーとしての記憶も失い超兵として戦うことだけが全てだったピーリスが人間らしく変わっていったのは上司として父親代わりとして親身に世話をしてくれたスミルノフ大佐(ファーストシーズンでは中佐)によるところ大である。
ピーリスは超兵である自分が人間らしい幸せを求めていいのかという葛藤を抱えつつも、大佐の養女になるという話を受けようとしていた。それだけスミルノフ大佐に対する愛着が強く、彼との関わりの中で生まれた人間らしい感情を大事にしたいという気持ちもあったのだと思う。
ピーリスはアレルヤにフルネーム(マリー・パーファシー)を呼ばれたのをきっかけにマリーとしての記憶と人格を思いだすが、それも大佐との交流を通して人間らしい情緒がピーリスの中に育っていた、本来のマリーの人格に近づきつつあったからかもしれない。
マリーはピーリスとしての記憶も愛情もそのまま継承していたし、大佐の死のショックで再びピーリスが表に出てきた時、ピーリスは(主にアレルヤに対して)厳しい態度を取りながらもプトレマイオス2から脱走しようとはせず(これは彼らと共に行動した方が大佐の仇であるアンドレイ・スミルノフ少尉と戦える確率が上がるからというのもあるだろうが)、最終的にはかつての敵だったガンダムマイスターたちと共闘することもマリーと呼ばれることも受け入れた。
マリーがピーリスの感情を共有しているように、ピーリスの側もマリーの記憶と感情を共有しているがゆえに、マリーがアレルヤに抱く愛情や他クルーへの友愛も我が事のように理解しているのだろう。人格は異なっていても体だけでなく記憶も共有する彼女たちは、アレルヤとハレルヤの関係に近いものがある。
アレルヤハレルヤのように会話したり同時に表に出たりという場面はないが、劇場版だとハルートで戦っているときの彼女の言動は、マリーのようでもピーリスのようでもある。
マリーからピーリスに人格が切り替わるシーンがないのでマリーのままなのだろうが、アレルヤも戦闘時は彼女を「ピーリス」と呼んでいたりする。超兵としての名前を呼ぶ、呼ばれることで気持ちを戦士モードに切り替えているのかと思うが、ファーストシーズン最終戦及びセカンドシーズンのヴェーダ奪還作戦からの最終決戦時のアレルヤたちのように、マリーとピーリス二つの人格が同時に表に出ているもしくは融合しているのかもしれない。
かつてハレルヤはピーリスに〈脳量子波で得た超反射能力の速度域に思考が追いついていない、反射と思考の融合こそが超兵のあるべき姿〉と言い放ったが、劇場版の彼女は「反射」のピーリスと「思考」のマリーが一体となったことで、「超兵のあるべき姿」にたどり着いたのではないか。
脳をいじくりまわされた結果もう一つの人格が期せずして生まれてしまったアレルヤと、実験のせいで切れてしまった脳と身体の連係を繋ぎ直すため別の人格を植え付けたマリー。意図的が否かの違いはあれど、反射と思考を二つの人格で分担することが超兵が真の力を発揮するためのベストな形なのかもしれない。
とはいえ何で別人格を植え付けると脳と身体の接続が復活するのかはよくわからないんだが。
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