2007年2月号(2006年12月発売)。「試行錯誤から生まれてくるもの」というタイトルで、翌月発売(12月レンタル開始)のDVDドラマ『ソウルトレイン』を特集。
初主演(勝地涼)、初演技(掟ポルシェ)、初監督(三浦大輔)三人それぞれへのインタビューを載せています。
正統派若手俳優、雑誌連載からバラエティ出演まで幅広く活動する異色ミュージシャン、赤裸々な作風で知られる劇団の主催者という異なるフィールドから集まった彼らですが、この作品で大きな「初めて」に直面したのは三人共通。
それだけに全員が「自分はまだまだ」的コメントをしていて、とくに勝地くんのインタビューは不安感が色濃い。何か後半インタビューというより悩み相談みたいになってるし(笑)。
もっとも彼の場合は『ソウルトレイン』に対してというより、当時すでに撮影に入っていただろうドラマ『ハケンの品格』が主たる原因だと思いますが。
「(どの現場でも)顔合わせの日は必ずお腹が痛くなる」というのは『イージス』の時にも言ってましたが、この時期あちこちのインタビューでこの話を見かけました。
2004年の『それは突然、嵐のように』以来3年ぶりの連ドラ出演とあって、かなりナーバスになってるんだろうなと感じたものでした。
案の定「もう久々のドラマなので、最初のうちは雰囲気にのまれてましたね。」「じつは最初のころ、緊張しちゃって全然話せなかったんです。」(『POTATO』2007年3月号)だそうで。
勝地くんは公式の場で愚痴ったりする人ではないですが、ことさら自分を装うこともしないので、かつての事務所公式メッセージ(不定期更新)と違ってスケジュールの決まっている雑誌取材だと、精神的なコンディションがはっきり出てしまいますね。
といっても多少発言が後ろ向きなだけで、笑いを交えた語り口調はいつも通り丁寧で穏やかなので特に問題はないんですが。こういうところ彼はプロだなあと思います。
(『POTATO』2007年7月号のインタビューで「勝地くんの思うカッコいい男とは・・・?」という質問に「何があってもフラットにいられる人かな。だけど自分の弱さもちゃんと人前で出せるような男の人がカッコいいと思います」と答えているのを読んだとき、すでに理想の男性像を地で行ってるなーと思ったものです)
むしろしんどい時に無理に陽気に振舞われるより個人的には嬉しかったり。
何というか、彼が辛さを隠して明るく装ってるのを見て「元気そうで良かった~」とか思い違いしたくはないのです。一ファンとして、何も出来ないなりに心配くらいはしていたいなと。
一方で「初主演」に関しては意外なほど気負いがない印象。
「主役は初めてですね。」というインタビュアーさんの振りを「そうですね。」とあっさり流し、初主演それ自体への意気込みや感慨などは一切語らない。
代わりに「ひとつのシチュエーションで、ほとんどがたった2人で展開する物語自体、初めての経験でした」「作品を通してずっと出ている分、気持ちをつなげて演じれることが嬉しかった。」と演技環境について述べる。
初の主役に浮かれる発言がないのは彼特有の謙虚さもあるでしょうが、彼にとって「主演」の効用がクレジットの順番などでなく、作品全体の流れに深く関われることにあるからなんでしょうね。この人は本当にお芝居が好きなんだなあと再認識しました。
(つづく)