6ページといっても見開きなので3枚のみ、1枚目は遠景なので一瞬「どこにいるんだ?」という感じだったりしますが(笑)。
2枚目の俯き加減で地面を軽く蹴っている(ように見える)横からのショット、3枚目の正面からの写真とも、とくに表情を作っているわけではないのにどことない翳りがあって、ちょっとミステリアスなナイーブそうな空気を漂わせていました。
インタビュー記事のほうも非常に読みごたえがあって、写真と連動したのか全体に「悩み多き青年」といった趣き(むしろこの時の彼が抱えていた「悩み」が写真に出てしまったというべきでしょうか?)。
このインタビューを読んで改めて感じたのは、本当に「正攻法」の人なんだな、ということ。
もっと小手先だけで、怒るべき場面では怒ってみせ泣くべき場面で泣いてみせることも技術的には十分可能だろうに、「彼(演じているキャラクター)はここで何故怒るのか、その背景には日頃のどんな考え方があるのか」まで突き詰めようとする。
その役の考え方、感じ方、人生までも限られた場面の中で表現しようとしている。
もしも脚本の不備で設定が破綻しているキャラを演じるはめになったとしたら、さぞや苦労することでしょう。
そして、「経験豊かな俳優は、もしかすると、そういう(注・役の感情に自身の感情がシンクロする)感覚を常にコントロールして、スイッチを入れることができるのかもしれないですね」という質問に対して、
「そういう方は、一緒に演技をさせてもらっているとわかりますよ。」
――正直、「怖いな」と思いました。彼の前で気の抜けた、上っ面だけの芝居をしようものなら、あの綺麗な目で見切られてしまうわけですよ。
舞台『父帰る/屋上の狂人』を演出された河原雅彦さんが勝地くんについて、
「あの瞳を見てると気が引けちゃいますよね(笑)。美しすぎて目が合わせられないっていうか(笑)」
「こっちがごめんなさいって言いたくなるくらいキレイな目」
と語っていましたが、やっぱり「見透かされてしまう」感覚があったんでしょうか。
それから、アギトの心についての、
「いくら純粋でも大人にはなっていくじゃないですか。自分の力ではどうしようもなく。それがすごく歯がゆくて、いろんなことに〝何でだよ!?〟て気持ちになる。それは今の僕と似ている気がしました。」
という分析に、役に対する理解の深さを感じました。
そして「今の僕と似ている」という部分。
つねづね「早く二十歳に(大人に)なりたい」と発言していた彼ですが、おそらく大人になりたい気持ちが強いほどに、実年齢に精神年齢がともなっていかない苛立ちがあるのかな、と思いました。
傍目には実年齢プラス5歳くらいの精神年齢に思えるんですが、本人としては至らないところばかり目に付くんでしょうね。
他にも一番印象に残った場面の話などしていたのですが、これについては『アギト』について書くときに取り上げたいと思います。