詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

テーブルの上の手紙

2017年01月16日 | 
テーブルの上に手紙がのっている
もうポストに投函するばかり
封筒はふくらんで
封がしてあり
封印がわりのシールも貼って
宛先も差出人も書いてある
重さに合った料金の
封筒の色に合わせて選んだ切手も貼付済み

この厚み
この充実感
投函せずにしばらくここに置いておきたい
みかんとか会社でもらったお菓子とか新聞
まわりのものを手で押しやり
テーブルの上には封筒しかないかのように
そういう写真を撮るかのように
構図を決めるように
頭を傾げて眺め入る

下手な字で
つまらないことをだらだら書いた
思いの詰まった手紙

子供の頃、中身をいっぱいに詰めて
ぱちっとフタをして渡されたお弁当箱を
かちゃかちゃ持って学校へ行くときの
満たされた気持ち

満ちている気持ちが封筒の中
いまは無言でそれなのに堂々と
ぎゅっと集まっている
ひらかれるまで

手紙
という
静かな充実感
ふくらみのせいで
四隅が少し浮いている
そのわずかな影


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