詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

メロディーライン

2017年08月30日 | 
窓がどんどん変わっていく
ビルや喧騒が後ろに流れていく
置いてきた人も物も
骨になり星になる

夜空の川は大らかな優しさにこぼれる乳白色
草地は黒い影に
たなびくのは音で揺れで伝わる
からっぽの胸に

歌が聞こえる
虫になり鳥になる
世界は奏でられている
息を吹きこんでいるのは誰

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緑のライン

2017年08月28日 | 雑記
毎年恒例の家族旅行に行ったり、『ミレニアム2 火と戯れる女』を読んだりしていたら、ブログがすっかりお留守になってしまった!

いけないいけない。

『ミレニアム1 ドラゴンタトゥーの女』はしばらく前、確か1年くらい前に読んだのだけれど、私の話を聞いて、読んでみると言った友だちは、電子書籍で購入して『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』まで、とっくに読み終わっているのだけれど、私はいまだに2を読んでいなかった。

なぜかというと、こういう本は必ず、途中から途中でやめられなくなって、日常生活に支障を来すようになるからだ(その友だちはいつでも途中でやめられるらしい。鉄の意志の持ち主か?)。時間がある時に読まないと困ったことになる。それで読み始めるには勇気、というか、えいやっ!という思い切りが必要になる。

今回の旅行に上下巻の上巻だけ持って行ったのは正解だった。最初は自制心が働いているのだけれど、途中から坂を転がるみたいにどんどん気持ちが加速していってやめられなくなる。もしも下巻まで持って行ったなら、ずっと本を読み続けてしまって、せっかくの家族旅行が台無しになる。

そんなわけで、なんとか本の誘惑を退けて、夕食後、甥っ子も楽しめそうなトランプゲームをした二日目の夜、みんなが寝静まったあとに、スタンドを点けて本を開き、こっそりと読み続ける。スタンドの灯りに呼び寄せられて紛れ込んだ小さな虫を、湯呑みをカポッとかぶせて閉じ込め、読み続ける。眠くてもう登場人物の誰が誰やらわからなくなりながら、上巻をなんとか読み終えた。

当然、翌日の朝は起きられない。
「どうしたらミオは起きるのかねぇ、枕元にこの干し梅(私が梅が苦手だからか?)でも置いてみるか」などという話し合いまで行われていたらしい。夢うつつに干し梅がどうとか聞こえてきたが、まさかそんな話だったとは。

旅行から帰ってきてからは下巻を、我慢して通勤電車の中など、ちゃんと隙間時間だけで読んでいたのだけれど、物語も佳境に入ってきたある日、夫から「今日は飲み会」との連絡が入ったため、晩ご飯も食べずに読み耽り、いいかげんおなかが空いたところで、冷蔵庫のおかずを温めて適当に食べ、読み続ける。登場人物たちはやたらとコーヒーを飲む。私もコーヒーが飲みたくなる。カフェインレスのインスタントコーヒーを入れて読み続ける。

スティーグ・ラーソンさんも下巻あたりはかなり夢中になって書いていたと思われる。勢いも展開も激しく、なかなかすごい話になっている。1もすごい話だったけれど。ようやく読み終わって、ふぅ〜23時。3も気になるなぁ、早く読みたいなぁと思いつつ、あわててお風呂に入る。本に読み耽っていたことが夫にバレないようあわてて寝る準備。帰ってきた時には普通の顔で、ふらふらする頭で、おかえりー。

忍野八海


ちびっこたちも大人もみんなで大騒ぎ
西湖のコウモリ穴


ヴィーナスライン



から見る白樺湖


メロディーラインが楽しい
なぜかスカボロフェアー
でも草原の風でなびく様がよく合う、と気が付く



『ミレニアム2 火と戯れる女』上・下
スティーグ・ラーソン
ハヤカワ・ミステリ文庫
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アイスティー

2017年08月16日 | 
まだ眠りに落ちる前だったのに
夢の淵のむこうのひとへ
話しかけようとしていた
薄荷のようにひんやりした

ずっとここに座っていたい
本も開かずに
わたしの代わりに
レコードが回り続けてくれる

そのように思うことは
ありそうであまりない
いつもせわしなく落ち着かないから

いまこのときに
すっぽり収まっているとき
わたしはいまを超えて
この場所を超えて
とおくに行ける

アイスティーのなかで
レモンが踊る
日が差し込み
色が明るくなる
しずくがながれる
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危ないことのために

2017年08月12日 | 
もう夜だし危ない

危ない
と思う先になにがある

という不思議なもの

生きている限り
守るために
生きている限り
その終着点に
もう命はないのに

目の前にいない限り
そのひとは生きているのかもしれない
目の前にいない限り
そのひとはもういないのかもしれない

本当に確かめることができる時は
点線状になっていて
私自身ですら
私を確かめられるのは点の上でしかない

あの道の先には
夜に際立つ赤い灯台
あのひとけのない道の先には
空との境目もわからない真っ暗な海

おーい
と叫んでみたくなる
自分の中の夜に向かって

落ちるものは突然覚めるものなのに
夢とか恋とか
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花火大会

2017年08月10日 | 
花火を見送っているひとの
瞳に映っているだろう
きらきらと流れていく色の粒子
闇に溶けていくだろう粒子

同じような顔をして並んで
静かに脈打っている
それぞれのあきらめや希望やさみしさを
流れていくのを見ている
今だったりこれからだったり昔だったりする
音だったりする
何度も打ち上げられる

会場から少し離れたところで
川べりや橋の上に立っているひとびと
立つとそんなに場所を取らないから
ひとはただ黒い棒のように
ただ二本の足で土とアスファルトと
電気を伝えあっていて
離れるとき少し痛む

黒い川も流れることを忘れて
街灯やビルの白い灯りを
ゆれながら湛えている
こんなにも大きな音が聞こえないのだろうか
(そんなにもゆったりとして)

買ってきたばかりのコーラが
喉にあたってパチパチ弾ける
ここにも花火
涙が出る
沁みるね
沁みるね

建物に隠れて見えない花火が
対岸のビルの窓に
カラフルなシャワーを浴びせる
窓の向こう側にいるひとも
カラフルなシャワーを浴びながら
コーヒー片手に見ているだろうか

足の下は平らなようだけど
実は不安定な大きな球体であるらしい
目の前にも360度ぐるり
透明な夜の巨大な球体があった
そのひろがりにあざやかな球体が
あらわれては消えていく
離れるとき少し痛む
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