詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

ある晴れた五月の日

2018年04月30日 | 
ある晴れた五月の日
木立の中のベンチに座る
風が吹いている
ついさきほどまで
室内で踊る影として見ていた枝葉と
わたしも同じ空気に
色彩の部屋として溶かされ
さらわれている

煉瓦の小道を木の葉が駆ける
すべてが一体となり
同じ向きへたなびく
わたしはなにもしなくてもわたしで
ずっと昔のある日から
立っている一本の木
地層のように積み重なった
あまたの風の層を貫く
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片割れ

2018年04月28日 | 
夢には独特な作法があって
あなたの感触がある
無造作にペンキの刷毛を沿わせた壁のように
ベッタリとあなたがわたしに塗られている
あなたが誰なのかも不明のままで

意識が均等に分け与えられているはずの
この世界に目覚めたいま
わたしに塗られたペンキは
他の人にも見えるだろうか

鮮烈な青を抑えた日々は過ぎ
窓から流れてくる淡い色だけ受けとめる
そのようにわたし自身さえ思っているからだに
朝の若葉さえ招き入れない
強い透明が反射している




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生放送

2018年04月23日 | 雑記
いまお昼を食べて、ラジオを聞きながら書いています。

そう、新しい職場ではラジオを流しながら仕事をしています。良さそうでしょう。

始めは私もそう思いました。でもすぐにわかりました。ラジオを聞きながらの仕事は私には向いてません。

もともと集中力がありません。動物的本能が優れている、と言っていただきたいところですが、現代ではちょっとした刺激にいちいち反応しているようでは、仕事も勉強も、まして詩を作ることなんて、とてもできませんよ!

集中力の乏しい人間には、人の話し声やら歌詞やらがひっきりなしに流れてくるラジオはハードルみたいなものなのです。押し寄せる音たちを飛び越え飛び越え、がんばって目の前のことに向かうのだけれど、見事に気持ちは散漫爛漫。

ラフマニノフとスクリャービンは歳が近くて音楽学校でライバル同士だった、という話が耳に入ってきたときは、そうなんだ!と一人密かに興奮したり。私はスクリャービンをあまり知らないのですが、習っていたピアノの先生のところの大人の生徒さんたちにスクリャービン好きな人が多くて、知るようになりました。発表会でみなさんたくさん弾くのですが、私にはまださっぱりわからなくて、興味はあるけれど、ついつい眠気が勝ってしまう作曲家です。

ついこないだのラジオでは、突然ジンギスカンが流れ始めました。「この曲、替え歌じゃなくてもジンギスカンて言ってるんだ……」とつぶやいたら、隣の席の人がカタカタカタと無言で検索をし始め、「ラスプーチンの歌をうたっていたボニーMと同じくドイツで同時代のグループだったんだ!」と驚いていて、しかもボニーMに影響を受けてジンギスカンは作られたと新しい発見までして、なぜにドイツ?しかもまだベルリンの壁も壊していない頃なのに!そんな時代だからこそ!?と驚きの時代考察?が始まり、ひとしきり盛り上がってしまいました。

そんなわけで、ぜんぜん、集中できない……。

ぜんぜん関係ないですが、ラスプーチンは名前は知っているけど誰だっけ?という感じだったのに、不思議なことに、つい先日ちょうどその話を聞いていたところだったので、「ラスプーチン」と聞いた途端にすかさず私も「怪僧?」と返すことができたのでした。「カイソウ?」なんて聞いたって、普通だったら「回送」とか「改装」とか「回想」「階層」「海藻」じゃないですか。なんですか怪しい僧って。その言葉自体が異様に怪しいではないですか。

3月末頃、父が2週間ほど入院をしたのですが、お見舞いに行った際、なぜかラスプーチンの話になったのでした。なぜか、などという言葉では表現できないほど、なぜか!!という感じではないでしょうか。どういう経緯でそんな話になったのやら、まったく思い出せません。

私はボニーMを知らなかったし、ラスプーチンの曲も知らなかったので、この前の週末に検索してみたら、この曲なのかわからないけれどそっくりな曲を聞いたことがあるぞ、と思い、あれこれ検索してしまい、ついでにジンギスカンをYouTubeで見て爆笑し、ついでにラスプーチンについて調べてしまって、やるべきことはたくさんあったのに、そんなこんなのネットサーフィンで一時間経過……。

なんてどうでもいいことをダラダラと仕事の合間に書けるわけもなく、ラジオを聞いている影響か、生放送したくなった私はいま帰り道で生放送しているつもりというわけなのでした。さすが、注意力散漫会社員、仕事が遅い!


怪しい空のもと快走

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連鎖

2018年04月19日 | 
動いているわたしがそこにあるはずなのに
空気がそこに満ちているはずなのに
わたしのインクは広がるには不器用すぎて
わたしはわたしの書くことにうんざりする
だから他の人の書いたものを読む
他の人の文章にもときどきうんざりする
読んでいる心が剥がれかける
すると言葉の連なりがふいに
布のようになって波打つ
見えない形のまま隠されている何かに
ぐいと押されて
まだ現れてもいない言葉を
書き留めたいと思う
嘆きでも昂ぶりでも意味でもなく
柔らかく吸い寄せられそうな布に
触って手ざわりを確かめるように
その一瞬の肌に少し溺れる



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時間がない、らしい

2018年04月15日 | 雑記
仕事で本を読まされているのだけれど、それで私もがんばるぞ、と思うのだけど、もともと目的のない時間、目的のないことが好きなのだった。だから詩、というか文章の周辺を、言葉の砂漠地帯のような私なのに、なんとなく続けているのだった。でも新しい職場では、目的地が大事っと言われていて、私も聞いてる時はふんふんふん、そうですよねそうですよね、と思って聞いている。

土日に、近所のスーパーにたらたら歩いて買い物に行くのも好きよ。








そしたらこんなかわいいお花も見つかります。
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