詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

夜想曲2

2021年08月24日 | 
胸が音符をかき分けて
ぽたんぽたんとためらいながら落ちてくる
思いと痛み
湯船で膝頭を水面から沈めたりのぞかせたりするように
見えない線を上下させて
いま感じていることが
隠されているのかもしれないほんとうと
露のような透明にねじれた金色の線
未来からの景色と
釣り合っているかを確かめるように
思い出すことで学び続ける

頭の中の雨をなだめながら
もっと深くへもっと、とこわれる
街灯の明かりがじんわり
開きかけた貝のようなカーテンの足あとをたどると
夜の向こうにある夜の
満ち足りない砂漠のような海がこぼれる
部屋の中の頭の傾きに向かって
グラスの水も重心を移し
どこからか拾った光の粒を投げ返す
手には何も持たないで
生誕から指の先まで
塩を舐めて(暮らすような)
あなたの美しい幾夜を思い出す
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ブルーノート

2021年08月09日 | 雑記
前回の記事に、最近お気に入りの曲としてクープランの『神秘のバリケード』を挙げました。なぜお気に入りになった(=その曲を初めて知った)かというと。

きっかけは、音楽好きの友人が誘ってくださった鈴木優人チェンバロ@ブルーノート東京でした!

なぜかしら、私、ブルーノートは一般人は行けないところだと思っていました。その感覚は、あらためて考えてみると、「青山のあたりにあるらしいけど、一般の人には入り口が見つけられないようになっているらしい」という、子どもじみたものでした。

恐らく名門ジャズクラブという謳い文句→有名人が、ブルーノートに行ったことを書いていた→私には縁がなさそう→そもそもどこにあるの?(青山あたりにあるらしいけど、それらしいの見たことない)という流れから、いつのまにか育まれたイメージと思われます。

ところが行くとなったら、それは謎の場所から突如、青山の知っている通りを入ってすぐのところに出現し、一般人の私でもなんなく入ることのできる場所なのでした。私にとっては贅沢な金額ではありましたが、これまで経験のなかった雰囲気に、入り口からワクワクでした。

そしてブルーノートでジャスでなくバッハ!1988年にオープンして以来、チェンバロが入るのは今回が初だったそうです。とはいえ、さすが音楽プロデューサーとしても活躍されている鈴木優人さん、曲目も工夫があり、音楽仲間の豪華なご参加もあり、盛り上がりました。

ドラム 百井裕範さん
ホルン 福川伸陽さん
バリトン 大西宇宙さん
ヴァイオリン 廣津留すみれさん

音楽の世界はもちろん、なんだかいろんなものがきらきらとしているようで、こういう贅沢の仕方もあるのだな!と思った素敵な夜でした。そんな中で、その旋律に特に心惹かれ、後で調べよう!と心にメモを書いたのが、クープラン『神秘的なバリケード』でした。

「『神秘的』と『バリケード』という言葉の組み合わせが、まったくもって意味がわからないですが(笑)」という印象的な解説がメモを手伝ってくれました。

クープランは自作に独特な曲名をつける人だったそうですが、「ブルーノートに入れない」という思い込みのように「神秘的なバリケード」が心の至るところに知らぬ間に築かれている私には、勝手な解釈ながらも共感を覚える命名で、抑制されたパッションを感じるメロディーと響き合い、魅力的です。

この日、神秘的なバリケードがひとつ破られた私は、新たな神秘の魅力を発見したのでした。





コメント (2)
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