詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

若いみそら

2022年11月19日 | 
灰色猫の毛並みのような雲の隙間に
驚くほど若い空が現れる
同じ空を見たことがある
もう15年も前のこと
不安で憂鬱で若かったが
いまも同じくらい不安で憂鬱で
若くない

15年の間に
3回引っ越して
3回勤め先を変えた
たくさんの人に出会った
でもそれは世界の人口の1億分の1くらい
いろんなとんちんかんな努力をして
成長したつもり
でも他の人にはわからない
知識や知恵よりも、皺やシミが増えたことくらいしか
わたしもときどきわからない

若いかんじは苦いに似ている

若い空がひろがる
遠慮深げに退いていく雲の縁は
白く光っている
だんだん若い空が見えなくなってくる
最後になつかしさみたいにオレンジ色になって
夜に隠れる
月が出る
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すべての月

2022年11月15日 | 
たくさんの目の中に皆既月食があった
たったひとつの月はいま
赤銅色のカーテンに覆われた
たったひとつの宇宙には
たくさんの銀河があり
そう思うわたしはひとつだと思えた
そういう目がたくさんあって
どれひとつとして月をこぼすものはなかった
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だらしない文章

2022年11月01日 | 雑記
ビジネス文書ではないのだから。
良い文章には、適量のだらしなさが必要なのかもしれない。

だらり、としているところに、気持ちよくなるこころ。
それは休日のからだの私、でもあるか。

ひとのこころのおもしろさは、もやもやとした自分でも把握できない周縁の繁み、なのではないかしら。

さきほどふと思ったこと。
私にとっての詩へのスタンスは、いや、詩にとっての私へのスタンス、いやいや、つまりは、私の生活の中での詩の位置とは。

クリーム入りのビスケットサンドからはみ出たクリーム。

これだ!これが理想なのではないか。
しっかりとしたビスケットがあって、それは仕事かもしれないし、何か勉強(個人的な興味による研究でもいいな)でもいい、積み上げのしやすいものがまず中心にあって、それらにぎゅっと根を詰めることによって、はみ出すクリームが、おいしい。


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