詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

短歌5

2017年07月18日 | 短歌
われの名の漢字かわいくなりにけり
君の手にある水のラベルに

天空の雲の嵐の物語
ミルク溶けてくアイスコーヒー

わかれ道 次に会うのはいつだろう
手を振ることで励ましている

満月が東京の夜を浮かばせて
とり忘れたる洗濯物よ

バッハ鳴る夏の夕べの涼しさに
遠い海まで心たなびく
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短歌4 秋

2014年09月11日 | 短歌
腹を見せコンクリートを褥とす
蝉は帰らず夏を過ぎても

聞こえるは雷と雨 笑い声
夕闇のように暗き部屋にて

濡れそぼち毛乱れた猫
紫の星散る小花今日はさびしき

ホーム下 繁茂している葛の葉は
突風に耐えうなずき続ける

終点の高架で切れる駅なれば
その先の空いと遥かなり

静寂はしんしんと音のするという
こんな音かと秋の虫の音(ね)

我知らず頬杖ついて川渡る
電車の灯りコオロギの声

本の中 額で支えた手の影に
文字は離れて空(くう)へ漂う

炉の色のランプの線が瞬いて
魔法のように幻影揺らす
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短歌3 眠れぬ夜

2014年09月07日 | 短歌
サイレンと胸の鼓動がエコーして
もっと早くと指揮する者あり

冷蔵庫と電子レンジを繰り返し
ぼろぼろになる予感がしてた

かまわない 畳の間に挟まって
揺れる紙片の身代わりになる

携帯の連絡先をひとつずつ
消していく夜 雪の祝祭

禁断の鍵は開けないドアのもと
光の矢見て時の音聞く

ゼロイチサンキュウロクゼロゼロナナ
図書館の本のバーコード

狂うとはなんてずるいと言いながら 
君は朝日を引っ張ってきた
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短歌など2 秋の気配

2014年08月25日 | 短歌
はし置きの犬の瀬戸物けんかして
そっぽ向いてる二人の食卓

秋の風 連れてきたのかかもめたち
いつもより空 広く高くて

夕日浴び黄金色なるとんぼ見て
立っている場所わからなくなる

ガラスのはうちは無理なの妻壊す
スタンドの傘 体温計など

道端で笑いさざめくねこじゃらし 
私の記憶くすぐっている

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