詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

すうぃーとこみゅーたー1

2016年02月03日 | 
窓についたしずくの流れ方は
走行速度と角度で決まる
これから飛び立とうとして
ぐんぐんスピードを増していく飛行機なら
流れ方というより
レ点チェックで散っていく命のようだし
目を赤く光らせて
後退しながら列を作っている車は
暗がりの中でヒョウやトラを泳がせる
長い体でレールをていねいになぞりながら
容赦ない椅子取りゲームを丸ごと運んでいく
この電車では
耐えられなくなると
あみだをなぞるように
だらだら流れていく

窓は体温でくもり
朝なのに
帆掛け船のように
白い絵の具ばかり目立ち
ばかに明るい

誰かがそっと吐き出すため息を吸い込む
いねむりの夢も
いびきを弾(ひ)いて
大きくふくらんで
ぎゅうぎゅうになって
ぱちん
ドアが開くといっせいに駅にはみ出す
いつも同じ場所に向かうのだけれど
いつもどこかへ行きたくて
昔住んでいた家にまで

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